#なでしこジャパン、おめでとうございます。
色々と書きたいことはあるのですが、時期に逸した感もあります。
簡単に書くと、サッカーに時折ある奇跡でしたね。まるでアトランタ五輪の日本対ブラジル戦を見ていたような気持ちに陥りましたが、先行され追いつくことを二度も繰り返すようなシーンをこの目にするとは思いませんでした。
賢しらに女子サッカーの経済的苦境を口にしたり、マスコミやTwitterのなでしこジャパンから日本人論を語ったり、それを忌避するコメントとか色々あるかもしれません。
ただ、自分が言えることがあるとしたら...。
「心を振るわせることがあるとしたら、それは君にとってのリアルな出来事なんだ」
「そこには、どちらが大きいとか小さいとか優れているとか劣っているとか、そういうことはないんだよ」
「その出来事を消費するだけじゃなくて、誰かに伝えていくことはどんな些細なことであれできるし、君しか出来ないことなんだ。もし君の心にフックがかかったのなら、それをどうしたいのか考えてみることはできるんじゃないかな」
とはいえ、そうは言っても自分にとって不快なことをいう人がいるかもしれませんが、そこはそういう人もいるぐらいでスルーしてみましょうよ。
そして、過去と今を振り返るとこれからのことが楽しみでなりません。
自分が女子サッカーをTVで見たのは野田朱美さんがブラジルに得点...えーっといつだろう、ネットで調べたら、1995年のワールドカップか...の試合からでしたから、ほんと、あれから15年ですよ...。ここまでくるなんて。色々な紆余曲折がありましたね。
本当に今大会で見せた日本のサッカーはいいサッカーを見せるときもあれば、おいおい。というというときもありました。でも総じて素晴らしい戦いでした。
無論、これからも戦いは続きます。地力ではまだアメリカ、ドイツ、ブラジルには適わない点が多いです。が、この勝利を自信としてより日本らしさを追及していくしかないでしょう。その道は険しいですが、楽しみでもあります。挫折せず進むことが出来るのでしょうか。日本サッカーは。
そうそう早速Twitterで炎上騒ぎとかいろいろありますけど、いや、ほんと、彼女たちは大変だなぁ...今頃、先輩に大目玉くらっているかもしれませんね(汗;
若いうちは失敗もよし。佐々木監督も大人な対応でスルーしてくれたので(実際はわかりませんが)、熊谷選手にはいい経験じゃなかったんじゃないかと。まぁ、ドイツのクラブチームに移籍しますから、しばらく合コンもなにもないんじゃいかなぁ。
#そんなことはアイマス2にもいえるわけで。
PS3移植か...まぁ、いろいろゲハ界隈は盛り上がっているようですが、まぁ、スルーで。
で、バランス修正はいいから、竜宮小町をプレイさせろ。と念じている人はきっと多いだろうなぁ(苦笑)。
#最近読んだネット小説紹介
「新高山秘録」(酒井冬芽)
架空戦記ものです。関東大震災とその後の虎ノ門事件をうけて早々と倒れる羽目になった山本権兵衛首相。ところが、その後任人事は誰しも予期しない、誰も文句のつけられない人物が出ることなった...。
近代日本を舞台にした架空戦記小説なんですが、大体、当時のことを知れば知るほど「こんな貧乏国でよくまぁ無茶しやがって...」と暗澹たる気持ちになるのですが、そういう状況をひっくり返すパターンは大体出揃っていますよね。ただ戦場でいくら勝利したところで日本の国そのものを改変しないとどうもこうもいかないのは、ちょっと考えればわかるわけです。
大体あの当時の日本は貧乏だは社会基盤が足りないわ、チート国家であるアメリカと対峙するためには何やっても時間も金も足りないのです。
となると、起こすは時間犯罪者で知られる佐藤大輔氏的アプローチ、いかにアメリカをチートにさせないか?が必要になってきます。
で、この作者は近代日本のキーパーソン、あるいは時勢かなわず主流に慣れなかった人物などこれでもかとオールスター戦のように投入してきて、日本の未来を捻じ曲げてみせますので、近代政治史などをちょっとつまんでいるだけでも笑ってしまうほどの組み合せなどが出てきます。
大体、西園寺公望、高橋是清、田中新一、犬養毅、平沼騏一郎、濱口雄幸、広田弘毅といった戦前日本の命運を担った政治家たちが絢爛のように物語を動かします。
高橋是清の老練な経済対策、犬養毅のあまりのジョーカーっぷりと無双っぷりに呆れ、田中新一の人の良さには感心しつつも政治的な面倒さに頭を抱え、西園寺公望の執着と老獪さなどが描かれ、そして若きホープとして石橋湛山らも出てくる。後藤新平のとんでもない発想による関東大震災の復興費用調達が描かれ、日清日露を戦った男達の友情と確執、そして日本に対する責務が描かれるわけです。
道を誤ろうとしている日本を軌道修正できるのか。近代日本を知ればしるほどニヤリと笑える人物や事件が予想外の形で現れ、そして未来が変化していく。老人たちの最後の戦いでもあるのですが。
個人的に読んでて吹いたのは、鈴木商店の延命と変化だったり秋山好古と上原勇作のやり取りなんですけどね。内部に銀行が無かったため資本調達が出来ないため解体していった鈴木商店がこの作品では以外な組み合せで延命し、そして新たな商売に乗り出すくだりは上手すぎます。
また秋山元帥と上原元帥ですが、この物語では色々な意味で無双すぎるぞ、二人ともw
上原元帥の愉快さは大山格氏の著作で知っていたのですが、工兵出身でありながら元帥まで上り詰め、九州閥ともいえる人脈を作り上げたこのお方が物語ではかなりいいカンジで日本陸軍の進路を歪めてくれます(笑)。
何しろ、秋山と上原二人のやり取りで陸軍に機甲兵総監と航空総監が誕生。騎兵を戦車に置き換える秋山の意見にそれじゃ足りんと自動車化された諸兵科連合による戦線突破を上原を口にし、これで電撃戦の萌芽が始まっていたり(史実でも塹壕を突破する浸透戦術を機械で置き換えたところに電撃戦が始まるので正しいアプローチだということと、歩兵の直接火力支援としての戦車ではなく騎兵の延長とした戦車運用がスタートするわけですからね)、工兵主体による航空兵力の掌握と海軍との機材共通化が進められたりするわけです。
これじゃもう空軍の母体だよ!w(史実でも昭和初頭に防空のためには空軍省を設置するという言葉を残しているほど、上原元帥に先見の明はあったのですが)
まぁ、物語中、本当に上原元帥無双っぷりを見せてくれるんですけどね汗;
また、史実上不遇だった渡辺錠太郎も物語では次代を担う将官として、陸軍の予算削減を鮮やかにこなします。確かに、史実の宇垣軍縮のために日本陸軍を襲った前線指揮にあたる士官不足とそれを補佐する下士官の払底という出来事を防ぎつつ、軍事費を削減するためには作中で述べられた方法は有効だと思いますね。
これだと陸軍の面子がたつ形でうまく予算を削減できます。他にも様々な(日本以外の)軍人たちが予想外の形で現れたりします。
また当時の日本を襲っていた有形無形の面倒さがこれでもかと描かれます。
夢を見たとはいい言葉だが暴虐さをあらわにする大陸浪人たちや、日本に憧れ、頼り、そして裏切られ、失望していくアジア諸国の独立派指導者たち。
貧乏から脱却できない日本の産業構造の問題点。戦争に焼け野原にならないと変えられなかった農地や産業構造をいかに変質させていくか。この物語はかなり突っ込んだIFを描いていると思います。なにより架空戦記にありがちな日本無敵とはならず、英国、アメリカのこれでもかと政治的手腕と老獪さにも翻弄されるのはバランスが取れているのではないかな。
ネット小説ですが、骨太の架空戦記小説といえるでしょう。惜しむらくは更新が今年の秋まで中断中とのことですが、続きを待つに足りる物語だと思います。
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