2008年12月20日土曜日

20081220の記録

ランドリ・どーでもいい・まめちしき。」 from ゆるゆる+メリハリ+バランス
Landreaall好きの人はより興味深く本編が読めるおがきちか(作者)御本人のメモ。

いや、やはりこの人はいろいろとバックボーンがあってあの物語を描いているな、というのが改めてわかる。主に舞踏会編と、DXが大苦戦した竜葵戦の裏話的な話の数々が!
しかし、DXの格闘技術も結構奥深い。「勁」についての条件なんて、ははぁ、なるほど。やはり中国武術の発勁に似ている考え方なんだな、と。

(ランドリ世界の勁、DXが地面の接地部分からエネルギーを作っている、というのはおそらく中国武術の「発勁」と似ているんじゃないかな。
作品表現では体を円を描くような、螺旋のような"気"が取り巻く表現が多いから、硬い地面に体を保持し、そこから運動量を発生。体を伝わって相手との打撃などに使う、みたいな形じゃないかなぁ。息を整えるシーンが火竜の戦い、アカデミーでイオンとのトレーニングでよく出てくるけど、これも、体の中の波を整えて...というイメージじゃないかな、と。
イオンがノアルド先生に教わった技でDXを吹っ飛ばしたのは、この波を伝播させるために増幅している最中に外乱させた、と思えばははぁ、なるほどね。というのが正直なところ)

あと、アカデミーの慣習などを読むとアカデミー騎士団編などもより興味深く読めること請け合い。
(男子はフィルみたいにフリンジ出でも奨学制度でアカデミーに入れるが、女子は貴族のみ。ミュージカルパルは基本的に貴族のみなので、フィルがああいう形で出入りしていたのも理解。あと、DXがアンニュイな小石っていうのも絶妙すぎて笑えますw)

そんなわけで、Landreaall好きは是非読んでみてほしい。ランドリ世界の奥深さがよりわかるんじゃないかと。そしてまた再読したくなるんじゃないかなぁ。自分も改めて1巻から読み直してみたくなりました。



2008年12月19日金曜日

携帯乗換...W63CAへ。

mixi には書いてましたけど、携帯を乗り換えました。名機と言われたW41CAからW63CA・・・。

いや、ヘタうって液晶を壊した自分がバカでした。乗り換えたくないなーと思っていた矢先だったのに・・・。ヤフオクでW41CAの白ROM買うっていう方法も教えてもらったんですけどね、まぁ、しかたがないかと思っていたんですよ。

W63CAのインプレですが・・・まぁ、夏のモデルに比べれば早くなりましたよ。
W41CAから比べると雲泥の差の遅さですけどね!(嫌味たっぷりに)。

アデリーペンギンもいない、ミジンコじゃ液晶のゴミかと思うし。こんなんじゃ癒されねーよw
カシオには是非、W63CA用のアデリーペンギンにアレンジできるようにDL対応することを切に願う。

何が不満って、KCP+!

これで良いと思う奴は一度出直してこいというぐらいのもっさり感。バカじゃねーのというぐらいに腹立たしい。

夏のモデルのあまりの重さに洒落にならないと思ったけど、まだ遅い。
アドレスボタンを押すとレスポンスが帰ってくるのに1秒近くかかってんじゃないの?

ショップの店員が「いや、データ廻りは早くなってるんですよ」といってくれたけど、携帯電話だから!まずは優先されるのは携帯としての基本機能のレスポンスじゃね!? 開発チームにインタビューしてそこんとこどう考えてるのよ?とITmediaあたりに聞いてもらいたいね。

共通プラットフォームのおかげで微妙にインターフェイス廻りが変更されててそれもイラつく原因でしょうけどね。
あとブラウザの反応も最悪です。
それからアラーム音がデフォで2つしかないとはどういう条件よ。そのアラームも貧相すぎる・・・。

あと携帯デザインとしても首をかしげることが二、三。SDカードは電源パックをあけないと入らないというヘタレなデザインなのもいただけない。センター下の「クリア」ボタンが微妙に下で腹立たしい。などもうアレコレと・・・。

auもW41CAあたりはノリノリだけあって面白い機種を出していたけど、ここ最近の低迷気味がそこはかとなくわかったような気がするよ・・・。

まぁ、W41CAから無理して乗り換える必要はありません。春モデルを待つのが無難です・・・。

2008年12月11日木曜日

俺の妹がこんなに可愛いわけがない 1・2 / 伏見 つかさ

俺の妹がこんなに可愛いわけがない (電撃文庫)
俺の妹がこんなに可愛いわけがない (電撃文庫)伏見 つかさ

アスキーメディアワークス 2008-08-10
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おすすめ平均 star
starシリーズものではないラノベの中では最高級
starちょっときつめの作品です。
starたまにはこんな妹も

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俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈2〉 (電撃文庫)
俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈2〉 (電撃文庫)伏見 つかさ

アスキーメディアワークス 2008-12-05
売り上げランキング : 11

おすすめ平均 star
starスイスイ読める
starライトノベル好きで妹のいない人は読むべきです!
star熱い、厚い、第二巻!

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色々な意味で痛い作品です・・・。いやね、ネタは面白いんですよ。
外見的にもパーフェクトな妹をもつ平凡な兄貴。その兄貴が妹の秘密を知ってしまうことに。そう彼女はどっぷり浸かったエロゲーマー・・・。腐属性は身に着けてないようなんですが。

妹の人生相談に付き合わされて、彼女のオタクデビューに付き合う羽目にそこに立ちふさがるは現実の偏見という壁!というのが大体の流れ。

妹がツンな言葉の裏、態度に見せる兄貴に対するデレ気質とか、なんだかんだ蹴られ白眼視されても健気に妹のためにアレコレと尽くす羽目になる兄貴。という面白い話です。

そうそう、あと特徴的なのは時事ネタを多分に含みつつ、実名サイトがアレコレと出てくると。
カリ×アン・コムのあたりは受けたけどねぇ。

ただ、まぁ、確かに面白い。面白いけれど、面白いだけ。というべきか。一過性の笑いだなぁという気がする。普遍性のない、一過性のリアクション的お笑いを見ている気持ちというべきか。

悪い意味じゃないんだけど、数年後、このネタで盛り上がれるのか? そういう疑問がある。

あと、この話はそうそう長くは続けられないぞ。どう引っ張るつもりなんだろう。ここらへんは作者、イラストレイター、編集者(二人らしい)の共同作業というから、そこらへんの手腕が問われるんだろうなぁ。

というわけで読了記録として。

2008年12月9日火曜日

20081209の記録

ニコニコ動画プレミアム推進ユーザーアピール
誰だろうと思ったら尻Pこと、野尻抱介先生じゃないですか。色々な意味で大人だなぁ。
まぁ、自分もプレミアム制度がスタートして二ヶ月ぐらいで入ったのかな。もう1年はかるがると金を払ってます。500円そこいらですよ。すべてはニコマスの捨て銭のようなもんですが。

はてブのコメント見て思ったのは、金を払わない理由なら人はいくらでも考え付くのだな、ということ。

しかしだからこそ、いいものには代価を払うというスタンスは維持したいな、と自分は思っています。払わない理由を探すのではなく、払う理由を探す。そんなもんじゃないかと。

今、自分がプレミアム会員でいる理由とは畢竟、自分が好きな動画たちを上げてくれる場所を維持しつづけるためでもあんですよ。
お金にもならない労力を払い、決して安くはないソフトを整備し、貴重な時間を費やして作った動画をいい環境で見たい。この場を維持するための努力は惜しみたくない。

いつかは飽きてやめるかもしれないが、今は好きだ。それだけの話。それがお金を払う理由です。

そうですね、今の気持ちを言うならばこんなカンジです。リンPの「GAME」に続く「E3 - intEr mEdia artists and spEcialists」。作者コメントがまたふるってます。

「3分でわかるアイドルマスターとその患者。」



「この熱狂はいずれ過ぎ去り 僕の思い出はやがて消え去り
 いつか彼女たちのことを忘れてしまうのも確かなことだが
 今はこの服を脱ぎ去り彼女への想いを形にしないと居ても立ってもいられない」


そう、だからこそ今この祭りを楽しもう。そのためにリアルにお金を投資しているわけさ。

��たとえドワンゴの放漫...無秩序な経営っぷりに呆れるているのは確かだとしても、ね)


※2008/12/9 午後。文章を見直してリンPの作品のリンクを追加。

2008年12月7日日曜日

良き物語のための条件、世界という名の舞台

「テメレア戦記」本当に面白かったです。

テメレア戦記〈1〉気高き王家の翼テメレア戦記〈1〉気高き王家の翼
Naomi Novik 那波 かおり

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本文のほうもちょっと追加してます。もし興味のある方は下にあるエントリを読んでいただける嬉しいかも。

で、こういう面白い本を読み終わってしまうと、つらつらと考えちゃうんですよね。

「日本の元寇を"神の風"(訳文から察するところ、つまりは『神風』だと言いたいんだと思う)で打ち払ったという"ライデン(雷電)"がいたわけか。
 んー、どうなんだろう。オリエンタル種が中国原産だとすれば、多分邪馬台国はムリにしても平安時代あたりで中国から竜種を貰ったんだろうなぁ。遣唐使との絡みがあったりして。以後、日本刀よろしく日本で品種改良が進んで行ったとすれば面白い。
 中国では制空権を得ていたのであまり竜に特殊戦闘能力(火吹きとか毒)を持たせることはなかったという設定があるけど、そのかわり天変地異的なスパロボで言うところの広域MAP兵器を持っているのがテレメアのアレなんだろう。オリエンタル種の中でも日本原産の竜は戦闘能力が高いという設定だから、多分チート的能力の竜がいるかもしれない。

 ふーむ。と、なると天皇家直属の竜がいて、その後守護職級の大名などに竜が与えられたかもしれないぞ? まぁ、18世紀のナポレオン戦争時代でも英国には竜が少ないという設定もあるし、ローマ時代は小型竜が主体だったという記述もあるからパーンの竜騎士みたいな、竜+人一人、みたいな乗り手だったんだろうし。そう考えると日本も小型竜かもしれないなぁ。あまり大型竜は必要とされない(その攻撃能力からしても、地形的な問題からしても)かも。

 あはは、想像が広がるぞ。

 おそらく元寇の戦いは鎌倉幕府直轄の竜がいたとしたら? 元寇の知らせを受けて、急遽大宰府から飛び立ったとか・・・。向うはドラゴンはいないかもしれないなぁ。で、その後戦乱の時代を迎えて、各地の有力な戦国大名がそれぞれ竜を一匹?か二匹抱えていたらとしたら。うーん、戦力バランスが崩れるかなぁ。ほんと、F.S.S.のMH見たいなもんかなー。
 最後の戦いは竜と竜の一騎打ち、みたいな?

 織田家にはどんな竜がいるだろう。そもそも信長とウマがあうのだろうか。川中島の合戦では上杉謙信と武田信玄双方が乗る竜が戦うとか? まぁ大名が乗り手になるのはないだろか。
 あと伊達政宗が虎哉和尚ではなく、エンシェント・ドラゴンみたいな長老格竜に仕込まれたとしたら中々面白くないか? で、政宗を担い手と選んだ小さい竜もその脇にいるとか。
 島津には恐ろしく戦闘能力に特化した竜がいるとか。

 その後、徳川家による治世が始まるから竜は基本的に徳川御三家、あるいは外様でも規模が大きい、仙台、加賀や長州、薩摩などが抱えるだけになるとか...うーむ、竜が肉食だけど魚も食べるから食事はどうなんだろう。

 うはー、想像が色々ひろがるぞ」

とか、やくたいもない想像を考えてもみましたが、良き物語の条件は読み手がその物語世界に没入できることも条件の一つだと自分は思います。ま、ある種の中二病的装いではあると思いますが。
 テレメア戦記は極々最近、そんな創造を広げてくれた作品でした。

 読み手が物語の文中にちりばめられた世界を語る言葉を元に、脳内に一つの世界を作り上げる。イメージがどんどん広がり、その中で物語の登場人物が、いやそれ以外の人物が動き出す。
それが物語の醍醐味だと自分は思います。

以前も取り上げたランドリオールも、そういう作品の一つです。おそらく作者のおがきちかさんの頭の中では、登場人物がどこでどうしてどうなっていくのか。というポイントと世界が(それほどかっちりという姿ではなくとも)あるのだというのが読んでいてわかります。

Landreaall 13 (13) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)Landreaall 13 (13) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
おがき ちか

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あちこちで声が上がる傑作の声は読めばわかると思います。主人公不在というシチュエーションで逆に光り輝きだす登場人物たち。それが可能になるのも、それまで物語で語られた登場人物たちの断片が蓄積となり、背後には作者のそれぞれの人物に対する思いいれが可能にするわけです。作者の頭の中には登場人物一人一人のいままでとこれからがちゃんとある。だからこそ可能な物語なんですよね。

このアカデミー騎士団編でしか出てこないキャラも多いでしょうが、その一人一人にいたるまで、今後どんな形でアカデミーで、国に携わっていくのか。それに思いを馳せれることの出来る一級品の物語なわけです。無論まだ革命の真実も描かれていない。(読み返して気がつきましたけど、戦乱の余波のせいか騎士団がまだ十分ではないようですね)

だからこそか、その世界について色々と思いを馳せることが出来る。くしくもアカデミー騎士団編でわかったように、DXたちのいる王国は革命にも似た騒動を経ているだろう、とかその未来に思いを馳せることが出来るのだと思います。

良き物語は読み手にもその世界の住人であるかのように想像を膨らませることができるんだろうな、と。

 ここからは私見で自分の知識や思い出だけで語っていますが、よりとそれまで物語の年表とか世界感を構築してから物語を作ったものとして代表的なのが指輪物語だと思います。 ちがったかな?

 逆に少ない設定から世界感を逆構築したケースで有名というか筆頭といえばガンダムですよね。「ガンダム・センチュリー」が今に至るもガンダム世界の古典的教書であるにはそれだけの理由があるわけで。

 日本では90年代冒頭からこの手の物語の舞台となる設定がいやに緻密になり、F.S.S.みたいな副読本がないと辛いぞ、というのも出てきました(無くてもいけますけど、面白みがないといえば無いのですよね)。

ファイブスター物語 (1) (ニュータイプ100%コミックス)ファイブスター物語 (1) (ニュータイプ100%コミックス)
永野 護

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F.S.S.DESIGNS 1 EASTER;A.K.D.F.S.S.DESIGNS 1 EASTER;A.K.D.
永野 護

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今だとTYPE-MOON関係の作品は背景に奈須きのこの世界感があってこそ、というのがわかるようになってきましたね。空の境界、月姫、そしてFateは同一世界感にあるのがわかりますしね。

こういう物語の世界感を統一して利用しようとする流れもやはりあるし、そういうのがシェアードワールドものになるのでしょう。D&Dなどゲームをベースにしたものが多いのかも。グループSNEのフォーセリアシリーズは、ソード・ワールド、ロードス島、クリスタニアがそれに入りますね。
あとは蓬莱学園シリーズ、七都市物語ですか。
自分が最近読んでいるシリーズでは、本家とはまったく別ルートになりつつあるが、それはそれで面白い榊ガンパレと呼ばれる榊 涼介氏のガンパレードシリーズですね。

ガンパレード・マーチ 九州奪還〈4〉 (電撃文庫)ガンパレード・マーチ 九州奪還〈4〉 (電撃文庫)
榊 涼介

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ゲームとしても複合世界感な設定なのですけど、この小説はもはやそういうくびきを突破しそうな勢いで突き進んでいます。

テメレア戦記もそうですが、榊ガンパレも我々とはどこか違った世界なんですよね。だからこそ想像の余地がもっと広がるのかもしれません。架空戦記的テイストが色濃いせいでしょうか。

では架空戦記はどうなのか...。実は2chの軍事板スレでアレコレと語られていたことのある作品が自分にとっては記憶が鮮明です。

征途〈上〉衰亡の国 (徳間文庫)征途〈上〉衰亡の国 (徳間文庫)
佐藤 大輔

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ご存知佐藤大輔ただひとつの完結作品。太平洋戦争のレイテ沖海戦で日本が勝ってしまったがために北海道で分断された日本。
物語は色々な事情からかなり端折った説明が多いんですよね。だからこそ読み手たちは色々と想像を膨らませる余地があるのだと思います。「記念艦やまと」で探すと色々とでてくるかも。
あのスレでは統一戦争により日本が再統一果たしたあと、超大型護衛艦「やまと」が東京お台場の船の科学館に展示されるという設定からアレコレと妄想がスタートするんですよね。


というわけで良き物語は、読み手がその世界についてアレコレ想像できるだけの余地があるものだと思います。願わくば今後もそういう物語を読んでいきたいものです。

ちょっと別件で書いていた話なのですが、こちらのほうがまとまってしまったので先に書いてみました。

2008年12月3日水曜日

テメレア戦記1  気高き王家の翼 / ナオミ・ノヴィク

[テメレア戦記] I 気高き王家の翼
[テメレア戦記] I 気高き王家の翼那波かおり

ヴィレッジブックス 2007-12-20
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おすすめ平均 star
star新しいシリーズの登場
star読みたい本に逢えた
starどっしりとファンタジーを楽しみたい人に、是非読んで欲しい

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昔日から人と竜が共に過ごしているこの世界。中国では漢帝国を築いたドラゴンがいれば、日本では元寇を竜巻で追い払ったという"ライデン"という竜がいる。サー・フランシス・ドレイクも竜と共にスペイン無敵艦隊を打ち払うような歴史をもつ、我々が良くしる歴史に竜が共にいるとしたら? という設定で語られる物語。

貴重種である竜は国によって保護され、交配による品種改良が行われる一方、空軍として一つの兵科として、海軍や陸軍とも戦うようになっていた。大型の竜には多数の兵士が乗り込み、互いにライフルで打ち合うなどの戦いも行われるようになっている。

そして時代は、ナポレオンによる猛威が欧州全土に吹き荒れる戦乱の世。ナイルの戦いが終わり、英国艦隊による綱渡りのようなフランス海軍封鎖が続く日々。

英国海軍の艦長、ローレンスは拿捕したフランス軍艦艇の中に一つの卵を発見した。それは竜の卵だという。戦争により竜がもとられるこの世では、竜に見初められた者は、竜と共に空軍に身を投じて戦うこととなる。

平等にくじ引きを行い、若き不幸な士官を竜に引き合わせようとしたものの、殻を割って出でた竜が話しかけたのはなんとローレンスだった。動揺しつつも彼は生まれたての竜に"テメレア"と名づけるのだった。
いままでの苦労により手に入れた艦長という地位を捨て、空軍に身を投じる羽目になったローレンスと、実は貴重種たる竜でももっとも貴重な中国原産の竜、テメレアの戦いの幕が上がる。

いやね、面白いわけですよ。ぐいぐいと読めます。

そうですね、
・ホーンブロワーやオーブリー&マチュリンなどナポレオン戦争時代の海洋小説が好き。
・ナポレオン戦争時代に興味がある、知識がある。
・人と竜のような異種知的生命体が共存する世界が好き。
・皇国の守護者などガチな架空戦記ノリが好き。
という人ならオススメできます。

物語世界では幾人もの方が言うように、竜はまるでFSSにおけるファテイマとMHのような位置づけですね。竜によってバラつきがあるものの、知識を持ち、主人公のローレンスと共に戦うテメレアにいたってはローレンスに読書をねだるというかなりの知識欲。かわいい奴です。他にも様々な竜が現れます。訓練地での教官役は人間ですら敬意を払うような竜だったり、他にもヨーロッパ原産の竜が現れたり。一方、竜を道具として扱わない乗り手もいます。


竜の担い手も大変です。竜に見初められれば人里はなれた場所に住む(何しろ、大型竜に成れば人が10人規模で乗り込むほどの大きさですから)羽目になり、俗世間とは切り離されたような世捨て人のような生活を送る羽目なる。
まさしく騎士とファティマ(MH)のような関係。各国の竜も品種交配で特徴がある中、テメレアの貴重ぶりが際立ちます。物語の中でもかわいいところを見せてくれます。水浴びしたり、宝石を嬉しがったりと色々です。健気で律儀なんですよね。

戦闘シーンですが、ナポレオン戦争時代の海洋モノならありがちのマスケット銃での打ち合いから、接触しての乗り込んでので斬り込み戦闘など、空中戦+接舷乗り込みといった形ですね。
イメージとしては、「マスター・アンド・コマンダー」の戦闘シーンを思い出すといいかもしれません。
マスター・アンド・コマンダー [DVD]マスター・アンド・コマンダー [DVD]
ピーター・ウィアー ジョン・コーリー

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作品時間軸は、ちょうどトラファルガー海戦前夜。竜の数で優位にたつフランス軍に対して、竜の数が足りない英国軍。海上兵力ではネルソン以下英国艦隊に練度では劣勢にたつフランス・スペイン艦隊という状況です。

ローレンスとテメレアの戦いは、後半になるにつれダイナミックなものになりますよ。

そしてこの物語、今月に続きが出るんですよね。

テメレア戦記II 翡翠の玉座
テメレア戦記II 翡翠の玉座那波 かおり

ヴィレッジブックス 2008-12-20
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いろんな意味で面白い。この世界観も楽しみです。というわけで続きを購入決定の物語でした。


2008年11月28日金曜日

Landreaall 13 / おがき ちか

Landreaall 13 (13) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
Landreaall 13 (13) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)おがき ちか

一迅社 2008-11-25
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star「学園」を舞台にした意味がここでわかった!
star待ってました!

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もう、アチコチの書評系で大絶賛なのも頷けます。それぐらい物語として面白い。

主人公がリドを救うために、リドの故郷ウルファネァに向かった直後のアカデミーを襲う怪物(モンスター)。アカデミーは怪物の網に閉じ込められ、残っていたのは生徒達ばかり。

年少組と負傷した女生徒を網の向こう側に待つ大人たちの下へと送り届けなければならない。

彼らは即席で騎士団を結成。家柄として最上位であり能力もあるティティをトップに、騎士候補生のカイル以下階級制度を無視して能力優先で騎士団を組織する。建物に残った女生徒達も負傷者の看護に当たることになる。そして、囮役の部隊と脱出組に分かれての戦いが始まる・・・。


あちこちで触れられていますけど、この物語世界の舞台であるアトルニア王国は現在国王不在で貴族たちによる集団指導体制。
どうやら身分制度に変化が起こりつつあり、商人たちも貴族や騎士の位を手に入れることができるようになり、それは民衆にまで及び始めているような時代ですね。
貴族の子息向けが通うアカデミーにも、奨学制度で庶民出の生徒が幾らか入ってきているようです。フィルみたいなフリンジと呼ばれる下級階層出はなかなかいないようですけど。

とはいえ、彼らの間には公言はしないものの、身分制度が色濃くあるんですよね。貴族の子息でなければ騎士(候補生)にはなれず、フィルにしても護衛兵志望から抜擢という形をとって従騎士の立場になれる程度。
無論、フィルと末位とはいえ王位継承候補であるティティのような友誼はありますが、ある意味珍しいわけで(なのでティティとフィルは今もわかりやすい貴族息子の下についた庶民という格好を装っている)わけです。
そういうモロモロの社会の縮図もあるアカデミーの生徒達は目の前の危機に一致団結するわけです。そして、様々な形でDXのことを口にするわけです。

王位継承権でもトップに近い位置。火竜の事件を収めた経験も能力もある。フィルなど身分で人を差別する人物でもない。まさくしパーフェクトな役回りですけど、

主人公であるDXとその妹であるイオンは、辺境開拓領出。しかも放棄したとはいえ王位継承権付きで高名な将軍を父に持ち、母もこれまた伝説の傭兵。田舎でしかも領民達はみな傭兵か兵士上がりなので非常に立場に対して自由でいられた。彼らは「坊ちゃん」とDXを慕っていた。

その立ち振る舞いはアカデミーにきても変わることなく、拗ねていたフィルの心を解きほぐし夢を見ることができるまでになった。まさしく周囲が語るように立場は貴族でも、行動原理は傭兵のように自由。
ただ、貴族、王族として振舞うことがどのようなことなのかを知っているDXはあれやこれやと理由をつけてその面倒な話から逃げ回っていたのですが、どうしてかをこのエピソードでイオンは思い知るわけです。

��Xがリドへ発した言葉の意味を思い知って彼の故郷へ向かったように、イオンは自らの言葉によって「命も惜しくない」と戦う騎士候補生たちの姿を見て、自分の発言や行為がどれだけ周囲に影響を及ぼすか恐れを抱くわけです。そして兄であるDXと、今、指揮を執るティティの苦悩を知るわけです。

いや、ほんと面白いわけですよ。
大体、メインのストーリーが動き出している一報、ウルファネァの一件に片を付けるため、学長と寮長のR.ケリーがアレコレと動いていた(結果は、前の巻で述べられるとおりというのが上手い)というサイドストーリーもあるわけです。
レイ・サークを経由して届けられたあの書類が、ウルファネァでのDXの願いをすべて叶えさせる魔法の杖となるわけですから...。なんともはや、上手いつくりだとしかいいようがありません。


物語は色々な事情があって、急速に畳むのですが致し方ない。本当は作者も続けたかったのでしょうが、連載自体が続かないとなぁ...。なぁに、またの機会があるんじゃないかと。
��Xがいないとつまらないと思う人もいるでしょうし、それは否定できないもんですからね。

今しばらくはDXを中心とした物語を堪能することにしましょう。
イオンとメイアンディアの城でのエピソードの全容、それとメイアンディアとの恋愛は始まるのか。大体、物語の発端である彼の父親に纏わる事件の全貌は? 細かい話だけど、"レッセ・フェール"は元に戻るんだろうか、とか。物語はまだまだ続くわけですから・・・。


2008年11月27日木曜日

最近の出来事とか。

いやー、仕事が忙しくて最近すっかりインプットもなくて、そうするとアウトプットもないというていたらく。意識してあげてくことにしました。

ビッグ3は真珠湾」 from 債券・株・為替 中年金融マン ぐっちーさんの金持ちまっしぐら

えっとわりと興味深く読んでみたり。まぁ、アメリカという国はなんであれ、自分が負けたと思ったらドラスティックに自己改革だけではなく世界のルールすら改変させてしまうところですよ。
ただ、車。という観点で考えると、アメリカ車産業が一朝一夕にトヨタクラスに追いつくことはできないまでも、違う視点(たとえばバイオエタノールなど代替燃料)でパラダイムシフトさせてしまうこともアリでしょう。同じルールで戦うと不利であればルールそのものをひっくり返すまでです。そこがあの国のとんでもなさであり、日本が不得手な部分でもありますし。

...とはいえ、何度も書きますが世界で自国内で車産業が完結できる国はいまやアメリカ、日本、ドイツぐらいです(もう危ない、という話もありますが)。世界車企業のグループ構成で傘下に入っていたスズキなどが独立してしまう流れもあり、これから日本の車産業はちょっと正念場を迎えると思います。「湾岸ミッドナイト」ではないですが、もうそろそろ日本の車産業のステージを変える車が出てくるような気もしますしね。いつまでもガソリン使うようなご時世ではないだろうと思ってます。

ガソリンと言えば、最近すごい勢いで価格下落中ですね。いままでの騒ぎはなんだったんだ。というノリです。週に一度はWTI原油先物市場や、TOCOM(東京工業品取引所)を見ていると、かなり下がったな。というのが印象です。もうそろそろ灯油を買う時期ですので、どんな按配かな、と思ってみてますけど、例年並みかそれ以下に落ちるかもしれませんね。

最近の買い物

数学ガール 上 (1) (MFコミックス フラッパーシリーズ)
数学ガール 上 (1) (MFコミックス フラッパーシリーズ)日坂 水柯

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star「数学ガール」を漫画化。"僕とミルカさんとテトラちゃん"の関係は"1とωとω^2"?
star数学×青春=∞?

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きのう何食べた? 2 (2) (モーニングKC)
きのう何食べた? 2 (2) (モーニングKC)よしなが ふみ

講談社 2008-11-21
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star食べることは、生きること。
star作って楽し、食べて嬉し♪
starさらに料理熱の高まる2巻

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GIANT KILLING 8 (8) (モーニングKC)
GIANT KILLING 8 (8) (モーニングKC)ツジトモ

講談社 2008-11-21
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star売りはそこじゃないだろう
star監督の対大阪のシナリオが見え始める

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テメレア戦記 1 (1)
テメレア戦記 1 (1)那波 かおり

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star「テメレアの卵に躓いて、今までの人生から大きく、すっ転んだローレンス」の様な感じ、からの始まり

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魔法先生ネギま! 24 (24) (少年マガジンコミックス)
魔法先生ネギま! 24 (24) (少年マガジンコミックス)赤松 健

講談社 2008-11-17
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おすすめ平均 star
star集まる仲間、集まるココロ
star賞金首も悪くない
starフェイトVSネギ

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※本当はDVD付のを買いましたけどね(苦笑)


2008年11月18日火曜日

最近のニコマス的何か。

実は一週間前にエントリしてたんですけど下書きのままに今更気が付きました(汗;)
時事的ではあるので今更...とは思いますが、Upしてみることにしてみました。


最近、おひさしぶりだったので。集中してニコマスネタを上げようかな、と。
どうして最近ニコニコ動画のリンクを張らないの。と言われると正直、アカウントもってないと観れない動画リンクはどうなのよ。とか、はてなでこの手の話題を集中的に振ったほうが色々とつながりが出来るのかも、とか考えてしまうため。でもまぁ、しばらくは本家であるここでやろうかと。

まずは、最近楽しみにしているものと言えば、週末の敷居の先住民さんのネットラジオ。

先週、ゲストに嘘字幕動画やら、ニコマスイベント系CMなどで有名な木曜洋画劇場Pと京都クラスタでどうも怪しげな仲wの「はじC」さんを招いた回は、もう屈指の面白さと深さで2時間あまりがあっという間。

もう、のっけからハイテンションの木曜洋画劇場Pが語りまくり、その内容の深さは、ニコマスだけではなくネットでの創作系ムーヴメントやら、2ch、ニコマス暗部のギロカクまで波及するし、ニューニコマスパラダイスで実は語らなかった話というのは、本当にネットとそのムーヴメントを見続けて人だからこそ理解しているが語らなかった話でもあって、懐の深さをカンジさせるに十分。いや、楽しめた!

勢い余ってまた「ニューニコマスパラダイス」を三作一気観したぐらい。






で、次回は一回お休みしたあと、現在決勝まで行ったMSC3の主催者、江頭Pことcx0101P。これまた楽しみ。


でもちょっと面白い現象なのは、週末になるとニコマスP達、あるいはその周辺で必ずネットラジオ企画が進行していること。
非同期型コメント動画であるニコニコ動画をキーにして、アイマスつながりのメンバーが、ICQだけではなくtwitterでもなくリニアなネットラジオ&掲示板でアレコレと語らうっていうのは、結局のところ、「時間を共有している」ことをさらに求めているからなのだろうか、とか思ってみたり。

結局、人はネットを介在したとしてもつながりが必要であるのだろうか? それはいいことなのかもしれないけれど、日本の北に住む自分としてはうらやましいよーと七転八倒したくもなります。

最近のお好み動画。

ダムPwwww アンタはやっぱりどこかおかしいwwww その類稀なるスキルとネタ度は大好きです。


ひょうげものでどうだ。というわけで、はにゃとした味わいがいいんじゃないかと。





2008年11月17日月曜日

軍事とロジスティクス / 江畑 謙介

日本語で兵站、あるいは後方補給とも呼ばれるロジスティクス(logistic)の語源は、
ギリシア語で「計算を基礎にした活動」を意味する「logistikos」、またはラテン語で古代ローマ軍の管理者を意味する「logisticus」である。 from 「兵站」wikipedia

というもので、日本語でよく対訳として出されるlogistic=「物流」ではPhysical Distributionとなりますので、本質と意味からすればとは一風ことなるものです。

英語から日本語への翻訳は素晴らしいものもあるのですが、漢字が本質を誤らせてしまうときもあります。「兵站」と言われると軍事用語にピンときた方でも「補給」の意味ぐらいしか捉えてしまわないときがありますが、本来はもっと広範囲のものをさします。ここらへんは小学館(Bookshelf)の辞書がよく言い表していますね。
軍隊の戦闘力を維持し、作戦を支援するための、国家から末端の兵士にいたるまでの補給、整備、回収、交通、衛生、建設、労務などのいっさいの機能の総称。

となるわけです。しかし、これらを総称するの使う「兵站」と呼ばれると、「補給」あるいは「物流」としか考えなくなるきらいがあるようです。

抽象化するのに長けた日本語(漢字)ですが、なまじ漢字を当てはめると矮小化されるきらいも確かにありますよね。疑問に思ったら語源を探るといいかもしれません。ローマ時代の「管理者」といわれれば、塩野七生さんの「ローマ人の物語」とか読んでいるとイメージがわきやすいかもしれません。

...話がズレました。というわけで、この本は湾岸戦争以後、主に米軍、NATO諸国を中心にイラク戦争、アフガンでの戦いでどのようにこのロジスティクスが様変わりし、どう今後は変わっていくのか。ということについて纏められている本です。

要点は以下の通りだと思います。
・物資補給についてコンテナ単位にRFIDタグをつけることで、コンビニなどである「ジャスト・イン・タイム=カンバン方式)が可能になった。
・イラクで知った砂漠地帯、アフガン地域での山岳地帯での補給路維持のための様々な装備導入。
・従来まで軍組織が中心となって行われていた補給、根拠地設立、整備などの後方支援業務の数々を民間企業にアウトソーシングする。


あまりこの本には書かれていませんが、基本的に米軍は陸上戦闘においては欧州大陸でワルシャワ条約機構(WTO)軍とのガチンコ対決を考えていたので、主戦闘地域は欧州同盟国内部だったので、ロジに纏わる大抵のことは同盟国のインフラが使えたんですよね。環境も大きく様変わりすることはありませんし。これは極東でも似たような話です。

ところが湾岸戦争はその前提を根底から覆してしまいました。
確かに緊急展開部隊をはじめ、米軍にしてみれば規模の小さい(それでも結構な組織ではあるのですが)外征部隊はありましたが、よもや複数師団による軍団レベルの派遣まではあまり考慮になかったのだと思います。いや、考えていたのでしょうけど、さすがにそう簡単に出来るレベルではなかったわけですからね。


湾岸戦争の兵站に纏わるゴタゴタ騒ぎは、パゴニス将軍の「山、動く」でも書かれているので、興味のある方はこちらをどうぞ。

山・動く―湾岸戦争に学ぶ経営戦略山・動く―湾岸戦争に学ぶ経営戦略
William G. Pagonis

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結果的にアメリカ軍は半年をかけてWW3でWTO軍とガチンコ対決するために作り上げた師団をサウジに動かすわけですが、補給もとんでもないことに。コンテナで荷物は送り届けられるが、荷揚げした途端にそのコンテナの中身を見て、そこからさらにもう一度パッキングする羽目に。
前線補給担当は、何が届くかわからない不安から余剰物資を溜め込むはめに。
必然と、前線のすぐ背後の物資集積所にはうず高く詰まれたコンテナと補給物資の山が...。

あとあまり描かれてませんが、湾岸戦争後物資引き上げも結構大変だったという話も「山、動く」では描かれています。

イラク戦争では、コンテナ単位にRFIDタグをつけることで、港から荷揚げしたまま軍用トレーラーに積み込んでスムーズな物資搬入が行えた。というわけですが・・・。よくぞ10年程度でそこまで大進化したと見るべきでしょう。

��T関係でもRFIDタグのもたらす恩恵について色々と書かれている文章もあるし、RFIDタグによる物流改革は、ちょっとした社会人の人なら経営雑誌などを目にする方であれば何度か目にしたはずです。
なので、この話を読むと「今更かよ、米軍大丈夫か?」と思われる向きもありますが、実際アメリカ軍とも成れば組織が大きいので変化するのも大変ですしね。

ところが、事はそうそう簡単ではないことも明らかになってきます。イラク戦争はアメリカ軍も想定しないほどの猛進撃のために陸上補給路が薄く延びてしまい、各所で断絶。整備も弾薬も滞りはじめ、一時進軍がストップする羽目に。理由は簡単で、あまりの進撃スピードで前線の部隊がどこにいるのか後方部隊が把握しきれなくなったということで。

ともかく、イラク戦争では湾岸戦争の失策を元に、様々な兵站革命が行われますが、まだまだ道は途中。
一方通行だった補給手順のために前線では決して安くはない空コンテナがうず高く積まれるわ、そもそも部隊に届いた補給物資だが、それをどうやって個々の兵士まで手渡すのか。結局は足で歩いてコンテナ内部の物資を探さないいけない羽目に。
その一方で、決して陸上とは言え砂漠の過酷な環境で、ルートが限られる道路を狙ってIED攻撃も頻発。IED対策に重装甲の車輌によるコンボイを組むと今度はコストがかかるわ、時間がかかるわという始末。
米軍はその一方でトランスフォーメーションなどで、正面配備の兵士率を上げようと後方支援業務の数々を民間企業にアウトソーシングしますが、今度は民間企業がその過酷な情勢でどれだけ信が置けるのか・・・。命がけで任務にあたることを民間企業に要求など出来ませんからね。

とまぁ、色々な最新装備と現状の問題がいろいろ浮き彫りになるいい本でした。

米軍、それも陸上兵力の話だけですが、本の中では海軍、海兵隊、意外と問題だらけで大変なNATO諸国、特にイギリスなど(自衛隊と同じかそれ未満の海上兵力で外征やるんだから大変だ・・・)の苦労はハンパではないようです。

翻るに自衛隊もどうすりゃいいのよ?と頭を抱えているんじゃないかと思うんですよね。
いままでのPKO任務は特段小規模でしたし、その延長線上でサマワもなんとかなりましたけれど、本質的には外征軍ではありませんし、極々小規模ならイザ知らず、例えば連隊規模の陸上兵力を外地に送り込みも日常補給すら面倒を見る羽目になったら・・・。何年にもわたる海自のペルシャ湾派遣だけでも海自が疲弊している現状を考えると、待ち受ける苦労たるやサマワ以上なのはわかるというものです。

そんなわけでいい本でした。実例というよりカタログ的なノリでもありますが、今、米軍を中心としたロジスティクスの変革と問題点を考えるにはいい本じゃないかと思います。



2008年11月5日水曜日

20081105の記事

#FLASHのアイマスガールズ記事を読む。
たかだか3Pの企画だとわかっていても買うところが搾取愚民たる責務。
それはともかく、みんなミンゴスの写真にある意味釘付けだなwwwと書いて見る。
でも、笑わせてもらったのはいまだにオンナノコに「智秋クン」とか「クン付け」なんだ、。という点。
あれ?と思ったら、声優板で面白い比較表を見せてもらう。

http://news.ameba.jp/imgs/27kun.jpg


を見てはげしく笑う。そっかー、30代で「クン」付けなのはほしのあきだけか。
はて、アイマスガールズは...おっと、誰かが来たようだ(ry

#んな事かいてもね。
森公美子に見るムラ社会とガラパゴスケータイ」 from 狐の王国 via はてブ
正直、そんなシャカリキになって否定せんでも。という気がするが。
iPhoneが素晴らしいガジェットかもしれないが、それを操作できない人がいた。じゃどうするか。で、「使い手の頭が悪いせいだ」っていうのは、そりゃIT系マインドの持ち主だけだって。
はてブじゃないけど、多分任天堂なら、本当の直感的インターフェイスを持ち出してくるんじゃないかと自分も思う。任天堂はどちらかというと商売は好きになれないが、ああいう「万民に対して考えた」スタンスはさすがだと思うんだよね。
他iPhone関係の意見は以前も書いたのでスルーで。何度も書いているけど、「信頼しても信用しても信仰だけはするな」ってことで、それはブランドだけじゃなくて、自分の立ち位置にも同じことがいえる。

#もう、これで一国の空軍トップなんだからどうしてくれよう。
KY空幕長の国益空爆」 from NBOnline.
色々な意味で稚拙すぎて突っ込みどころが多すぎる論文でしたね。更迭に近い形で職をはずされたのにも理由があります。指揮官の任にいる以上は国のスタンスに従うのが軍人の責務です。内心色々思うなら退職後に発言すればよろしい。元陸自の北部方面隊総監だった志方さんのような形もあるわけです。

まぁ、あの発言内容じゃどうなのよ、っていう気もしますが。あれを論文とかリポートというのがおかしい。ぶっちゃけ、blogエントリレベルですよ。大体、戦争責任云々に関して国士様気取りの面々が言うような話でしかない。すべてが伝聞であり、自らの発言を補強する資料や論文を引用しているわけでもない。それが一国の空軍兵力を束ねる航空自衛隊のトップがいうレベルかと。

本当にこんな人がトップだったのかと思うと色々な意味でゲンナリです。





何度目の再読だろうか。

今月の新刊に向けて、予習として再度1巻から読み直して、「俺ってどれだけこの作品が好きよ」状態なのが、「Landreaall」。

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「ぱふ」のインタビューも興味深いので、おがきちかさんの物語が好きな人は要チェックです。

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「ぱふ」のインタビューも読んだけど、たしかに「猫はしか」のくだりから、リドの物語はスタートしたいたという作者の発言にうなづく。

インタビューを読んで吃驚したのは、作者はある程度の物語の筋を考えているものの、緻密に伏線までを張り巡らせているのか?というこちらの想像を裏切られたこと。とはいえある程度、物語のベースになるものは考えているようだが。でないとストーリー間の連携はとれないだろうなぁ。

確かにDXの見合いネタなどもはさんでいるが、逃れられない出自の定めについての一貫したテーマが続いていたのがわかる。

改めて読み直すとほんとうに「次はリドのターンだよ」というシグナルがもうその前から繰り返されている。(例えば女装の下り、五十六さんからのお説教のあたり、とリドのDXの対比が多くなっているのも確かだし)

アカデミー騎士団編のティティについても、DXがアカデミーを飛び出したあとフィルとの会話(将来と夢、そしてDXに対する視点)もちょっとした示唆になっていると思う。

この「ランドリオール」という物語で、上のような合間合間に挟み込んだエピソードがあとになってきいてくるのは、作者が、登場人物の端役にいたるまで、どんな人生を重ねてその場所にいるのか。という背景をちゃんと作りこんでいるからだろう。(インタビュー記事より)

だからこそできる物語がある。それは巻末にインサートされるショートストーリーで明らかにされる場合もあるけれど(R・ケリーの話はまさしくそれ)、物語に出てくるアカデミーの生徒達の成長譚にもなっているのもわかるだろう。

そういう、「書き割り」じゃない登場人物を作り出してくるあたり、本当に作者は「物語が好き」なんだろうなと思うわけで、だからこそ場面場面のやり取りが伏線となって生きてくるのだと思う。

海外ファンタジーとか好きな人はぜひとも読んでほしい一級品の物語ですよ。この話は。