2008年6月30日月曜日

Landreaall 12 / おがき ちか

Landreaall 12 (12) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
Landreaall 12 (12) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)おがき ちか

一迅社 2008-06-25
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star傭兵と騎士、それぞれの成長

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ウルファネア篇終了+アカデミー騎士団?篇。
DXの働きとアカデミーの書簡による援護もあってか、リドと五十四さんは無事アカデミーに戻れることに。望まなない力=出自を用いて事を収めたことを含めて、まだ力が足りないことを自覚したDX。
一方、夏季休暇を祝う催しが行われていたアカデミーは謎の生物による襲撃事件が発生。アカデミーの生徒達が閉じ込められる羽目に。DXがいない中、彼らは?

ってなわけですけどね、いや、ほんと丁寧な作品ですよ。

外交的修辞言語による陰険やり取りでリドの兄をやりこめるアンの顔がまぁ...wといったとちころですが、今回もDXのやんちゃをアンちゃんが上手く帳尻合わせた。という展開でしょうが、何度も物語で描かれているように、DXのその傭兵気質を何よりも買っているのもアンちゃんで、今の気質そのままに逃れられない王位継承権という出自すら使いこなさなくてはならないのだとDXに示唆します。
DXはDXでそんなアンちゃんの思惑も理解しているんですが、今回はそのものずばり、という展開になって、まだまだアカデミーで勉強しないとならない...と思っているのかいないのか。

一方のアカデミー騎士団篇。
ウルファネア篇の導入部でネタだろと思っていた「猫はしか」が最後のキーになっていたように、こちらはウルファネアに向かうDX達が遭遇した謎の生命体がキーとなっているようです。

作者がLandreaallという物語を丁寧に作っているおかげで、アカデミーの内部が王国の縮図となっているのが明確にわかります。昔からの貴族=騎士、新興してきた商家、能力の高さで抜擢された平民。彼らの間にはわだかまりがある。
...貴族は能力の有無に係らず口を出そうとし、新興商家は能力もないクセに反発し、平民は口ではなんのといいつつ見捨てるのは貴族だろ?というわけです。

しかし、とは言っても守らねばならない幼少部の子供たちと女子たちがいる。
ティティをリーダーとして、護衛を騎士候補生のカイル、脱出組のリーダーにハルがついてそれぞれ結束して事に当たります。


物語中、カイルがDXがいてくれたら...と呟きます。たしかに普段、いくら呆けているように見えてもDXならば王位継承候補として制度的な面でも問題なし、実力についても火竜との戦いで有名だし、腕が立つのも知れているので問題なし。(その様子とは違って)思慮深いところがあるのも一部の生徒達は知っている。
とはいえ、DXがいない今、残った生徒の中で最上位のティティがリーダーを務めるしかなく、カイルは激を飛ばして生徒達を纏め上げることになるわけですが、ここの一連のやり取りが面白い。貧民層出ということもあって色々反発を買っているフィルについてティティは無論のこと、カイルであっても彼の能力を正当に評価するわけです。

...まぁ、これは中世から近代になるにつれ国家が体験せねばならない問題ではあるのですが(既得権益の再構成は結構、外乱によって発生するもんです...)、それを次世代の国を担うアカデミーの若い子息達がいきなり体験する羽目になったところを描いてみせているわけですよ。混乱の中から立ち直り変革の時代を向かえつつある王国の子息達が! この作者のことだから、この騒動ですら次の物語の種(伏線)を蒔いていることでしょう。

DXが間に合うことは理屈的に不可能であること(連載中出てきたあの書簡が、ウルファネア篇でのアレだとすれば、同時進行だということがわかります)、いままでどちらかというとDXのみに焦点があたっていた物語が、一気にDX不在という状態で個々の人物に焦点があたるわけです。

どちらかといえば参謀役の役どころであるティティがリーダー足りえるかというのも面白いですし、お気楽な一匹狼を気取っていたフィルもそのままではいられない。それはライナスにもいえるわけです。いままで兄と六甲の庇護の下にいたイオンにも。
今までどちらかというと、DXの周囲を回る星。といった役どころだった面々が、DXがいない状態で組織をつくり困難に立ち向かう、という非常に美味しい物語の展開なわけですよ。

連載中の物語では、ティティに組織のリーダーが下さなければならない決断や、あらん限りの手を尽くそうとするフィル、騎士(貴族)たちの騎士たるが所以を見るライナス、そして恐れを乗り越えようとするイオンの姿も描かれているわけですが、本当に続きが楽しみな作品です。


2008年6月29日日曜日

20080629の記録

#お、重い...。
MT4.1にしましたが、重い設定画面には閉口しています。
いきなり編集画面が操作できなくなるトラブルがありましたが、FAQを見て解決。
ブログ記事の編集画面で、本文を編集出来ません」 from Six Apart
というわけで上のエントリに基づき、mt-config.cgiの設定を見直して、いままで「http://ore.to...」と設定していた部分を正規に「http://www.ore.to...」に変更して対応。

#な、慣れません...。
Movable Typeをいままでの3.3から4にバージョンアップしました。テンプレートなどはそのままなので、中途半端ではありますが...書き込みテストを兼ねてエントリを入力中です。

入力周りがかなり洗練されているようでなによりです。
...こんなこととかデフォルトでできますからね。

とはいえ、本当はインデックスとかCSSとか色々見直さねばならないのは確かなんですが...そんな時間もとれそうになし...です。


2008年6月26日木曜日

20080626の記録

今日びXP信者ってちょうどXPが出た頃の2000信者みたいに廃れていくよな? from ワラ速

時代は繰り返す。いつの日もw
Win2K→Xpのドタバタ劇を見ていた自分からすると、今のXp→Vistaでワーワー騒いでも仕方がないだろうに…というのはある。まぁ、OS確かに98/Me(NT)→2000のときのようなOS入れ替えによる恩恵はないけどね…。Xpだって無印の頃は散々言われていたよ…安定したのはSp2が出てから。VistaがMe化するかはわからない。Sp2とか偶数パッチが出ないと安定しない妙なジンクスがあってですね…>MS

とはいえ、職場の上司が持ってきた富士通製ノート。VistaHomeBasicだけど、メモリがデフォルト512MBはないでしょう…グラボのメモリで128取られてはgdgdな速度で驚いた。速攻で2Gメモリを買わせて、まぁ満足できる速度にもっていきましたけど…。
感覚的なものを言わせて貰えれば、XpSp2が快適に動くスペックでメモリ2G/グラボに256MがあればほぼVistaでもストレス無く使えるんじゃないかと。

北方領土奪還作戦 4 / 大石 英司

北方領土奪還作戦 4 (4) (C・Novels 34-70)
北方領土奪還作戦 4 (4) (C・Novels 34-70)大石 英司

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北方領土を占領、数次にわたる戦爆連合を退けた日本だったが千歳強襲から雲行きが怪しくなる。ロシアの特殊部隊アルファに侵入を許し、小型携帯用核"ヴァストーク"が放たれて自衛隊は大損害を受ける。
陸自特殊部隊サイレントコアの土門隊長らがをアルファ追跡するが肝心なところで悪天候と不運のおかげで取り逃がす始末。

特殊部隊の浸透で補給を脅かされることを悟った陸自は爆心地跡に司令部を進出、断固として踏みとどまることを意思表示する。一方、ロシアも爆心地跡に向けて爆撃機による低空進入で空挺降下を行おうと画策していた。迫り来る戦爆連合。ここにきて自衛隊内部、海自と空自の足並みは揃わず(統合運用の意味はどこに…)、ここに決戦が始まろうとしている…。


…ええー、なんかすんなり戦術核が放たれてビックリしています。もうちょっと盛り上がるかと思いましたけど、あっさりだったなぁ。まぁ、0.5キロトン程度の核じゃ司令部全滅が限界か…。
ちなみに核物質が0.5キロトンという意味ではなくてTNT換算で、という意味ですね。プルトニウムは多分1kgにも見たないんじゃないのかな。

それはともかく、TK-X(10式戦車)、まだ計画途中の将来装輪装甲車シリーズが試験目的で投入されてしまいますが、や、役に立ってねーなぁ、もう。いや、まぁ、これからだと思いますよ。空挺、特殊部隊が降下してきますからね。そうそう前作の変態姉妹(よく自衛隊に入れたな)が作ったUAVもある程度は活躍。

…しかし、音無隊長の悪辣っぷりも中々です。いつも美味しいところをもってくるが、今回に限って裏目の連続な土門隊長が散々の言われようです。まぁ、ここ数作、ほんとリザードの狙撃能力におんぶに抱っこだったのは確かですからね。

さて、多分次回はクライマックスの白兵戦だとは思いますよ。ほんと、あのblogの公約を果たすつもりなんでしょうか。つーか、使う機会があるんだろうか、あれ…。


20080625の記録

日本の歴史上福田より最悪な総理大臣は存在するの? from あんそく

阪神大震災などの不手際で村山総理かね? もしくは、せっかくバブル崩壊後回復基調に乗りつつあった日本経済に対して大蔵省のチャチャ入れ(増税)を容認して「失われた10年」を生み出した橋本総理? 任期途中で亡くなったことでチャラになったけど、結構迷走していた小渕総理?

欠点を上げればキリがない。政治の世界について民衆は常に文句しか残さない。良かった探しなどは誰もしない。良かったといわれるとすれば、ケネディのような任期中に不慮の事態で亡くなったケースの場合などだ。こんなのでは政治家の成り手はいないかもな。と思うときがある。

民主主義の政治家とはつまるところ、「駄目か、より駄目か」の違いでしかない。とはいえ50年立てばちゃんと評価されるだろう。まぁ、そんなもんで、ここ二十年近くの総理に評価は難しい。

日本経済を学ぶ (ちくま新書)
日本経済を学ぶ (ちくま新書)岩田 規久男

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【海外・話題】「サムライばあさん」のシゴキにイタリア兵士たちは参っています…イタリア(写真あり)from 中の人
昔の話? と思ったら実は今の話らしい…。
恩年七十七になる日本女性武術家との訓練が成立しているらしい…大丈夫か、イタリア軍空挺旅団の新兵達w








2008年6月24日火曜日

雑記的記録

米ヤフーで相次ぐ人材流出--「傾く船」を見捨て始めた幹部たち from CNET

過去の歴史とかを学べば、勢力争いにおいて第二勢力は第一勢力を組するのではなく、第三、第四勢力と結びつくことで力の均衡状態を生み出すことのほうが最終的にメリットが生じる。
第一勢力と結びついても短期的に安定というメリットは生じるが、長期的にもイニシアティブは取れないし、取るチャンスも生じることは少ないし、あとは吸収されるだけ。というわけで米ヤフーは終了です。ありがとうございました。というカンジ。(バッサリしすぎかな?)


日本文化の模倣と創造 / 山田 奨治

日本文化の模倣と創造―オリジナリティとは何か (角川選書)
日本文化の模倣と創造―オリジナリティとは何か (角川選書)山田 奨治

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starオリジナリティ神話を越えて

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最近、著作権とデジタルデバイスについての問題が喧しい。Youtube、ニコニコ動画についてもそう。著作権団体は権利を求め、デバイスを作るもの、使うものはどこまでそれが広がるのか危惧している。

というわけで手にとって見たのがこの本。目から鱗の話とかがあって面白かった。
全文を事細かに引用すると始まらないので要点だけ。

---------------------

・人類文化に見る模倣と創造は成長に欠かせないが、今はオリジナリティを過度に追及しているきらいがある。
・そもそもオリジナリティとはどういう観点か?
 観測できない主観的な側面。
 日本文化も西洋絵画もある時期までは基本的には真似たり、再創していた。
 果たして、オリジナリティ=独創という観点が生まれ、持てはやされるようになったのはどういう理由か?
・著作権成立までの動き
 イギリス法、フランス法、二つの著作物に対するアプローチ
 日本での著作権法成立の動き
・日本文化における再創主義と海外に波及する再創。古典詩歌から、コンピューターのハッカー文化にみる再創思想、そしてアニメ、AMV…つまりMAD(!)まで。

---------------------

基本的に著作権法に待つわる話が自分にとって目から鱗でしたね。
イギリス的コピーライト法(出版業者の海賊版防止を目的とした時限が限られた法…これが今の日本の著作権に係る50年という問題)。
フランス的著作権(一部の作家が言っている、作り手に対する永続的な権利の確立)
という二つの考えは元々別のシロモノであったこと(日本は色々な理由から混ぜた結果となったこと)、結局はそれぞれ権益の確保という点から発生している点。

詰まるところ、法とは権益の確保という側面でしかない。という自明のことを過去に遡って説明しているわけです。

一部の著作権団体が言っているように著作権に対する負担は「文化の保護」なんてのは、単なる出版、あるいは音楽業界の既得権保護のための口当たりのいい建前だということが如実にわかるわけです。

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とはいうものの、昨今の著作権をめぐる問題とは当時の出版物に対する海賊版と同じよような側面があります。本は昔から海賊版問題に悩まされていましたが、最近は音楽、映像もその範囲になってきました。技術の発展が劣化のない複製技術を可能としたためです。自分の記憶が確かなら、音楽の複製問題に係る著作権云々が喧しくなってきたのはDATテープ、つまりデジタルによる劣化のないコピー技術が登場してからのはずです。

一方で技術の革新は、作り手-産業-貰い手という構造を微妙に変化させようとしているという点もあります。従来の出版業界、音楽会社、取次ぎ、という様々な中間に存在していた業界をバイパスして、作り手→貰い手という関係を作り出しやすくしている一面があります。

結局のところ、既得権益の保護である。という点から言えば、今の過剰な著作権保護に対してどう接していけばいいのでしょう?

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著作権問題に纏わる話はここまでにしておいて、興味深かったのは日本文化における再創主義、すなわち元本をもとにアレコレと手を加えていく連歌や本歌取りなどの日本詩の手法説明ですね。色々説明できないので、どういうものかというと…

連歌(wikipedia)
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連歌(れんが)は日本の伝統的詩形のひとつで、複数の人間で和歌の上句と下句を繋げていくものである。
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本歌取り (はてな)
-------------------
すぐれた古歌や詩の語句、発想、趣向などを意識的に取り入れる表現技巧。
(中略)
オリジナルの存在と、それに対する敬意をあきらかにし、その上で独自の趣向をこらしている点が、単なるコピー(パクリ)とは異なる。
-------------------

つまり、先人の歌をたくみに取り込んでアレコレと改変していくわけですよ…と読んでいたら、これどこのニコマスMADの文法よwというくだりがあって笑ってしまいました。例えば本歌どりの作法の場合…

---------------------------------
①本歌どりをする際は歌の半分までとする。
②上句の七五や下句の七七をそのまま使わない。
③本歌からどの部分をもってきたかを判りやすくする。

---------------------------------
見たいな決まりがあるようで。これってニコマスにも似たようなのがありますね。
①グレーゾーンで暗黙知的ですけど、アイマスオリジナル曲のフル引用禁止(ただしRimixみたいな場合は除く)。
②イベントでもありましたがアイマスの曲「まっすぐ」に使われているダンスシーンだけを使ってMADを作成する…。見たいな「しばり」ですね。

元々の歌に尊重しつつも微妙な改変を加え、違う価値観、感じ方を提示する。それを可能にするのは、その場の共同性…つまり、元となる歌を知らないとどう何をイジって、何が面白くさせているのかわからないじゃないですか…であると。

これってニコマスネタですけど、春香が黒いのか白いのか。元々無個性と呼ばれた平均的な設定付けの春香に、「実は腹黒なんじゃないの」「閣下ですね、わかります」「いいや、実は白いんですよ。純粋なんですよ」「のワの」とか勝手に曲を組み合わせてアレコレと言い合っているのに近いことを昔の人達もやっていたっていうわわけです。
これ、笑わなくてどうするよ、とw

皮肉なことに明治の後、正岡子規などは「発句こそ文学。連歌などは文化ではない」みたいなことを言い張る論壇が出てきますが、これもまた「MADなんて文化じゃない」に似て苦笑してしまいした。真似てきた上での個性なんですが、過去の連続性ではなく今あることを独創として捉えて、これをありがたがる…まぁ、確かにありますよね。それは悪いことではないのですが、それが正だといわれても、無から何かがいきなり生まれるわけではないのですから…。

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そして、コンピュータ文化。まぁもともとハッカーって一風変わっているし、わりとヒッピー文化とか遅れて取り込んでいるところもあるから、東洋風味が強いのは確かだと思います。
ここの章はちょっとこじつけくさいかなぁとは思いましたけど、確かにコンピューター/プログラムの世界で習得する手っ取り早い方法は、先に作ったプログラムを自分でも入力して、エラーが出れば直して、それを改良していく…というやり方で学んでいったほうがいい場合もあります。これも真似る、という側面ですね。
そして、オープンソースの考え方もそこには出てくる。オープンソース・コミュニティの有名なリポート「伽藍とバザール」のある種の見方は意表をつかれました。

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またアニメにも当然触れられていて、後半、アメリカでのAMV、つまり日本アニメ作品を編集して、海外の音楽と組み合わせる作品にも言及されています…。

いや、正直言ってその本の著者の幅の広さにはびっくりしましたよ。よもやMAD文化にまで言及するなんて…。ちなみにこの本、平成14年刊行ですよ。今のニコニコ動画とかYouTubeを見たらどう書くんだろう?

さして最後にはそもそも文化とは他の文化からの影響を受ける場合があり、どれがオリジナリティだとか言ってもせんがないことを著者が述べていますが、ああなるほどね。と思いますね。

というわけで、色々な示唆に富む本。著作権とネット、デジタル問題について興味がある方は読んでみてソンはなし。色々と勉強になりましたです。オススメです。


2008年6月23日月曜日

20080622の記録

ちょっと色々やることが多くて気が滅入ってます。現実逃避にHoI2をやるのもどうかと思うし(もう粗方制圧してしまったので…)。

すっかりとりあげませんでしたが、BSマンガ夜話、「へうげもの」と「ハチクロ」の回を見たのですが、どれも絶賛でしたね。
「ハチクロ」は最近の漫画批評としてのテクニック"視点誘導"をベースにした表現方法と、物語の反復対比構造(例えば、スクラン、コードギアスなどに出てくる一つのテーマを複数の視点と構成で反復して対比してみせる)が表に出てきた注目すべき回だっといえますね。それにしてもいしかわじゅん、貴方まで青春スーツを着用してどうする気よww
視点誘導については「ピアノ・ファイア」のいずみのさんの本で。反復構造についてはGiGiさんのホームページ「未来私考」でギアスを中心に例が語られてます。いずみのさんの本、取り上げようと思って先のばしです…。

実はハチクロ回を見終わったあと、実家で書籍の整理をしていて、ついついハチクロを手にとって、9巻あたりを見たら泣けて泣けてしょうがなかった。才能あるものとそうでないもの達の相克とか葛藤がそこにある…。読み返すたびに新たな発見がある作品だなぁ。
やはり自分の新しい本棚に収まる作品の一つです。


#購入記録ほか
萌えよ!戦車学校III型
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…買っちゃった。ちなみにMCあくしずの連載を纏めたもの。WW2前半の戦車戦を取り扱っております。
いやー、ほんとイタリアとは肩を並べて戦いたくないよねw 使えない味方は強力な敵より嫌らしいw

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小学館 2008-06-18
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starプロモDVD付の限定版もあります。
star皆本とチルドレンの出会い・・・
starザ・ハウンド!解禁!されるのはいつなんだろうなあ・・・?

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というわけで定番購入メモ記録

2008年6月21日土曜日

20080621の記録

#それはないわ…
空自の“自虐ポスター” 情報漏洩防止に効果!?」 from 産経ニュース to Web魚拓
…これはヒドイ(いい意味で)。

何気に笑ったのは「ピクルス王子の防衛論」。やるな、空自…。

#道のりはまだけわし。
日本にくる途中に火災発生で1ヶ月ほど修理をする羽目になったCVN-73<ジョージ・ワシントン>の、広報マンガをチラリと読む。
原子力空母「ジョージ・ワシントン」の広報まんが、ウェブで公開開始」 from Garbagenews.com
う、うーむ、そのなんですね。ベタな広報マンガです。最近時勢の流行でもある視線誘導をもう少し…ってないですか、そうですか。




2008年6月19日木曜日

[ニコマスP私的Pickup] orgoneP

ニコマスネタが続きますが、好きなPを集中的に取り上げてみようと思い立って書いてみたのが下のエントリだったりします。これまた長くなりそうなので興味のある方のみ続きを読んでいただくのがいいかもしれません。

最初のとりあげる人は誰にしようか・・・とマイリスト見ながら思っていたのですが、やはり一番最初に個人的に衝撃をうけた人でいこう。実はデビュー1周年だし…ついでにアレだし?というわけで…

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ちょうど一年前、それまで「おっさんホイホイ」タグ経由でしかニコマスを知らなかった自分が加速度をつけてニコマス動画に激ハマリしていく羽目になった動画がアップされました。

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2007年06月19日 07:54:58 投稿
モニタ前で思わずリズムとっちまったらオレの勝ちなんだぜ。

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と挑発的(wなコメントと共にアップされたのが下の作品。



James Brownとアイマスという異色のコラボ。通常のMADが曲+アイマスキャラのダンスシーンだった当時、JBのライブ映像+ダンス映像のコラボも見せて脅威のグルーヴをかもし出してました。誰が呼んだか、別名「負け動画」。

それを作り出したのがorgoneP (オルゴンP)。

詳しくは「The iDOL M@STER ニコニコ動画まとめWiki」のorgonePの欄をみてもらえるといいのですが。
http://www33.atwiki.jp/imas/pages/167.html



デビュー時期を考えれば10本弱と、わりと公開作品のすくなめなPといえますが、ニコマス界の中でもトップアベレージのセンスで他者の追随を許しません。
今では"抜き"と呼ばれる背景画像を切り抜いたアイマスキャラを使った動画がわりと多く見られますが、orgonePはわりと初期にブルーバックで動画アップして見せています。
(それも二作目で!)

南国の海とアイマスとMONDO GROSSOという組み合わせで、コメントにもwikiにもあるようにまるで旅行会社のイメージビデオかってノリです。
この"抜き"。他のPの抜きが基本的にはキャラを背景から独立させる方法なのは先にも書きましたが、その際にどうしてもキャラとその後の背景のギャップが生じてしまう。
わかむらP、慈風Pといった"抜き"が多いPはその場合、背景を思い切り白にするか、黒くしたり、光源系のエフェクトをかけてそのギャップを生じなくさせてしまいます。
ですが、orgonePが選択した方法は重ね。
髪を背景の海の画像に重ねて解け合わせてしまう方法です。
冒頭のヴヴィッドな赤いハイビスカスの色使いなどで観ている者の視界を釘付けにしたと思ったら、音楽のリズムに合わせていきなりブルーをベースとした画像に持っていく…。鮮烈な動画です。その後もダンスシーンを織り交ぜながら南国の風景を切り取っていく。そして舞台を夕闇へと誘っていく…。ほんと綺麗な映像です。
その後、数ヶ月おきに作品がアップされていきます。そのスタイリッシュなセンス、クールな色使い、MONDO GROSSOやDoopとかをもってくる曲の選曲、どうも他のMADとは違う雰囲気をかもし出しています。

このアクエリオン主題歌(英語版)が有名です。この動画、今でもたまに見るぐらいのお気に入りだったりします。
あと、CMというには手の込んでいる作品も。

orgonePの作風は、他のニコマスP達に比べるとどことなく異質です。それは基本的にアイマスMADという領域内にいながら、orgonePのバックグラウンド(嗜好とかそういう意味で)が、他のPとは違うような気がします。どちらかというと海外のスタイリッシュなセンスの高いPVを見ているようなノリ。
"描いてみた"系とは違って独自画像素材を多用する点もそうですし、タイポグラフィの大胆な映像に対する組み合わせもそう(JBのころからそうでした)。大体色使いのセンスも他のPとは微妙に異なります。プロ疑惑が出るのもむべなるかな。DTVかVJ畑の人かなぁと思うんだけど…。
わかむらPが奇しくも語っているように、ニコマスMADは基本的に「ベタ」な色使い、画面構成、動画展開が可能な造りです。元々モーションキャラとはいえアニメ的キャラがダンスをしているわけです。いざとなれば(その技術がうれば)アニメOP/EDのような動画だって作れるし、現にそういう作品は数多い。
それは見ている人達の大半が日本人であるが故に、それまでのアニメの画面構成、アイドルPVの画面構成といった、暗黙知的(お約束、とも言いますが)なバックグラウンドを持っているせいでもあります。
つまり、ここまでやれば、こういう風なイメージを惹起したいんだよ。っていうメッセージを作り手も送り手もやり取りしているんだと思います。だっていくら抜いたりなんだりしても結局はアイマスキャラを使っている以上限界は生じるのですから。
ですがorgonePはそれを大きく逸脱していく作品をときに送り出してくる。

もう、なんていうか、ここまでくるとMAD云々じゃなくてアイマスを素材にした一つの映像作品になってきます。
この作品を観る前に、アイドルマスターの作品世界における如月千早の物語がどういうものであるかを知れば、彼が作り出したモノクロームの映像がプロデューサーと出会う前であろう彼女の心象風景であることを示唆しているだろうということはわかりますが、アイマス成分が少ないのも確か。
ぶっちゃけ、自分も最初「またorgoneP、極端なシロモノを…」と思ってましたけど、実際にアイマスをプレイして千早でクリアしてこれを見ると、ああ、なるほどね。と頷いてしまったり。様々なPが千早の物語を描いているので実際にプレイしなくても千早の物語がどうであるかを知る人は多いのですが、さらに実際にプレイすると、基本彼女の立ち位置は孤高というより孤独なのがより分かるわけですよ。それを独自映像をベースに描いている。
ラストシーン間際、河辺を飛ぶ鳥を捕らえているのですが、その鳥は飛び立つのではなく周囲を飛ぶだけ。まだ飛び立てない…とイメージを促しているようです。
��
MAD製作者達の中でも色々なパターン、アプローチがあると思います。
例えば自分のキャラに対する愛情を昇華させんばかりの勢いで(まぁ、つまり、俺ならこんなプロデュースをする、みたいな)動画を作る人。自分の好きな音楽でキャラを躍らせてみたい人。シンクロベースな人、エフェクトベースな人な人も。
そして肝心なのは、アイマス作品世界にとどまることを選択するか、逸脱=自分の作品世界に取り込むことを選択するか。二者択一ではなくて、複数の要因の複雑に絡み合って作品は生み出されます。一人のPの中でも作品によって、取り扱うキャラによってその割合が変わるのはありがちな話です。
他のPの話になりますが、特定のキャラに対する愛情が強いPほど違うキャラを取り扱ったときに客観的になれるせいか、それまでとは違った作品になりやすいですね。この話はまたいずれ取扱いたいですけど。
orgonePはそういう中でも、基本的にはアイマス作品世界とは別に自分の世界を作り上げていくタイプの人ではないかと思っています。もしくは既にある自分の作品世界という引き出しにアイマスを組み込んでいくタイプの人と言うべきか。
ニコマス界の中でも屈指のスタイリッシュなセンスと引き出しの多さ、高レベルな映像加工技術を持ち合わせた稀有なPだと思います。
(このタイプのPの極北にはえこPが存在すると思うのですが、えこPフォントなどを見ていると「もはやアイマスという名を借りた動画素材」っていうか、曲+アイマス画像という正統系MADを激しく逸脱しちゃってます…。
そういえばプライベートでも親しいみたいで、えこPフォントについてくる壁紙も作っていたり(実は自分の今のPC壁紙はこのorgonePのあずさ壁紙だったり)、blogにも二人でイベントにいったりしているという記述もありましたね、たしか)
で、そんなorgonePの最新作が下の作品。
冒頭に話をした、iDOLM@STER feat. AZUSA LIFEがセルフ・リプロデュースで戻ってきたからですよ。さらに強烈になって!

それまで色の問題で一人抜けていなかった真の髪も青に透過させて作られたこの作品。なんで来月公開にしなかったんだろう? ああ、夏も近いから1ヶ月前の今でもいいのかもね。と観ながら思ってもいたり。
…で、ここでこんなのを書いていて衝撃だったのが、先日行われた24時間アイマスTV!の1時間おきに流される告知導入を兼ねたCM動画。冒頭にそれぞれPが受け持ってタイトルコールを担当していたのですが、Pたちが自声でコールするのを聞きながら「あー、緊張してるなー」とか「うは、ディープP、いい声してるなって、あずさは俺の嫁言うなww」とかコメントつけてながら聞いていたのですが、衝撃の事実が。

…ちょ、ちょっとwww orgoneP、その声は! ボイスチェンジャーだよな?w
タグにまで「衝撃新事実」とまで書かれる始末! それは俺も予想外ですよ…ネタか、ネタなのか!?(ってコレ書いていたら、やっぱりネタらしいw
真実は知りませんが、CM動画見た中で無茶苦茶驚いたよ、俺…。(DSPも、だけど)
追記。
公開されているorgonePのマイリストも結構興味深いです。興味がある方は覗いてみてもいいかも。
追記の追記。
で、実は最初のJB&アイマスの動画をUpしたのは2007/6/19。というわけでデビュー1周年だったりします。おめでとう、orgoneP。これからもいい作品を待っています。
ちなみに24時間アイマスTVのCM動画でどの時間帯にどのPが担当していたかはwikiで告知されていますのでそちらをどうぞ。タイムテーブルで直接飛んでもいいですけど、CM動画もネタ満載ですw
http://www33.atwiki.jp/imas/pages/1031.html

2008年6月18日水曜日

20080618の記録

#ガラパゴス? 知ったことかいな
iPhoneが日本に来ることで、まぁ色々な論調がありましてね…。
保護されないと絶滅する珍獣、ガラパゴス化する日本 (1/2)」 from ITエグゼクティブ
iPhoneがうらやむ“ガラパゴス”日本」 from NBOnline

日本の明治維新後いやに多い、「海外のもの見る」=「無条件にいい」(信者)的な側面が多分にあって、iPhoneもその文脈で見てみると、そんなに大騒ぎするもんでも…という気がしてます。いや、ガジェット好きな人はwktkなのはわかるんですけど…。

確かにAppleの最近の隆盛はすごいけれど、iPhoneってそんなに売れてるの?って正直な疑問が。携帯世界を革新させたガジェットなのか? それにしては他者があまり追随してないよなぁ。PC界でいうeePc
見たいに、あちこちのメーカーから類似ガジェットが出てこない…。これはあとでネットで調べてみようかと。

ぶっちゃけ、ガラパゴスだろうがなんだろうがパラダイス鎖国だろうが、それを受け入れたあとのメリットとしてはどうなのよ。っていう点について考えないといけないんじゃないかと思います。
なんか、海外だから無条件にいい。とか駄目だとか、国内だから駄目だとかいいとかそういうのは、一概に言えないケースでしょう? 

時代的には、バブル期のオレオレみたいなノリがなりを潜めて、失われた10年で自信喪失。海外のものマンセー的な側面もあって、今は逆にその反動で国内マンセーみたいな揺り戻しの最中かなと思います。ほんと両極端でやんの。
麻生太郎氏が書いた本のように、日本は確かに先駆的リーダーみたいな、世界の厄介ごとはまず日本で何らかの形で起こる・・・っていうのも、わからんでもないけど海外でも大なり小なりそんな揉め事はあっただろうし・・・。

日本の携帯業界が保護されていたのは確かでも、ユーザーはその保護を受け入れて新製品を欲求していたのも事実。日本がハードとしての精緻さを求めたわりに、ユーザー・インターフェイスというか「おもてなし」の面で立ち遅れたのも事実(おお、ほんと歴史っていうか軍事関係の歴史を見ていると、ハードウェアの優越がソフトウェアというかシステムでひっくり返されるのはまたかよ…っていう気が猛烈にするけど)。とはいえ、得手不得手は確かにある。
iPhoneの導入で、日本の携帯メーカーがどうそれに対する反応を返すかが楽しみだなぁ。
(で、ところでiPhoneってネイルを伸ばした女性はタッチパネルで操作できるんだろうかって疑問が…)

パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)
パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)海部 美知

アスキー 2008-03-10
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star開国への第一歩
star日本にシリコンバレー的文化を開花できるか?
star海部さん。僕は勝手にどんどん「開国」しちゃってます。

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#ちょっとした設定変更。

blogの文字が見辛いのではないかと思ったので、スタイルシートの設定を見直して、メイリオ>ヒラギノ角ゴ>MS Pゴシックの優先順位にしてみました。いい加減blogのデザインも変えたいんですが、中々意欲が沸きません…。
Firefox2/3 & IE7で表示は確認しましたが、もし問題がある(多分、macで出るかも・・・)人は教えてください。

#あ、こんなのあったんだ。

「空想無印」であったら便利だな。と思っていたミラー型ホワイトボードだけど、担当者コメントを読んだら類似製品があるとか。ネットで検索したら出てきましたよ。


ミラーマグネット ペンボード


なんだ、こっちでいいじゃないか。というわけでメモ。



終わらないものと終わるものへの物語。

「24時間アイマスTV!~みんなまとめてアイドルマスター~」



いやね、もう最初に企画告知をニコ動で見たとき、本当にやる気か?とか思っていましたけど、実際やってみれば面白い。流石に若くはないのでw貫徹してリアルタイムに付き合うことはしませんでしたけど、1時間~2時間遅れで番組表見ながら「これははずせない」というのをチェックしていっても面白い。残り最後の数時間はギアスで中断したもののフィナーレをリアルタイムで追いかけてましたよ。

このニコマス界隈の盛り上がり、色々なblogでフォローされていますね…。
なんだか波に完全に乗り遅れたし、最初の原稿から何度も書き直してしまったけれどいい加減Upすることにしました…。

(以後長いので省略してます…)



24時間アイマスTVに見る、ニコニコ動画におけるニコマス民の異常性」 from そっと××
紹介系としては有名な「敷居の先住人」さんのところでも総括がされていたり。
歴史に残る一日。~24時間アイマスTVをふり返る」 from 敷居の先住人
もう上のところ見てればいいや、ってなぐらいの総括なんで自分も取り上げるネタを書きたいものだけに絞ってしまいましたw

色々面白い作品ばかりなんだけど、やっぱり皆が取り上げているように上の作品が個人的に最高だった。なんて大人な作品なんだろう。
「はじめてのC」さんのところで、的確に語られている。
ニュー・ニコマス・パラダイス前後編」from はじめてのC
名作の「ニュー・シネマ・パラダイス」&ニコマス動画。
ウソ字幕モノで秀逸な作品を作っている木曜洋画劇場Pが提供した一大ドラマ。
予告で「ニュー・シネマ・パラダイス」をもってくるなんて…と思っていたら、Pいじりネタ?と思っていた予想を大きく覆されました。
去年の6月あたりからどっぷりニコマスに浸かった自分には涙なくして語れないような、直球ど真ん中で、ニコマスの本質と問題に立ち向かった衝撃作。

駆け出しMAD職人のトトと観客たちが集うニュー・ニコマス劇場。様々に発展していくMADを見ながら愉快に人々は楽しんでいた。しかしいつしかその内部は不協和音が生じていく。寛容さをなりを潜め、ファンの対立が発生する。商業活動に加わったP達への非難。とうとう新作そのものの上映さえ難しくなり、トトはMAD製作そのものに情熱を失いニコマスを去る…。

ニコマスのいままでをちゃんと総括して、そこに起きたトラブルも恐れず切り込んでいる。
正直、ここまでシリアスにニコマスネタとその問題(例えばランキングにおける架空戦記問題や、カルタ問題など商業ネタへの進出など)に踏み込むとは思わなかった。また、ちゃんと作中、映画のキャラにニコマスの危うさをちゃんと語らせるとは思わなかったですよ。
無論、お笑いネタもはずしません。 しかし本質はそこではない。
シリアス度は加速をつけて後半へ続きます。


幾星霜がたち、トトは故郷へと戻る。彼にMAD製作の心構えを説き、故郷を離れるときに励ました老職人は亡くなった。ニュー・ニコマス劇場は廃屋となり取り壊しを待つだけになっていた。そしてかって一緒に映画を楽しんだ人々たちと一緒に、爆破解体される劇場を見送る。
トトは老職人が彼に託した一本のフィルム・ケースを劇場で流して一人、流される映像を見続ける。それは様々な理由で削除され、もはや見ることがかなわない過去の作品達…。

エンディングはもう心が泣き笑い状態でしたけどね。本当に自分にとってももう見れない(ローカルに保存していないのもあり)動画を見ながら、主人公のトトが浮かべる泣き笑いのような複雑な表情と同じだったに違いない。
ハタから見ればバカバカしい。いや、いつか未来の自分が見たとしたら、どうしてこんなのにバカみたいな情熱を燃やしていたのだろうと思うかもしれない、今はもう見ることが出来ない動画の数々。
いや、それ以上の衝撃的な映像があります。
ラストシーン間際、トトたち劇場に通い詰めた面々が見守る中、廃墟になった劇場は爆破処理され崩れ落ちます。
そう、それはいつか必ずある光景が提示されている。
祭りは必ず終わり、愉快だった場所はなくなっていく。そんなことは言われたくなって判っている。アイマスが52週という期間限定でアイドルのプロモーションをして、あとは否応なく必ず終わりを告げるように、ニコマスの世界もいつかは終わるだろう。終わりのない祭りなんてどこにも存在しない。
ムーサの加護にあって、ムーサに教えられたことを語ろう」 from はじめてのC
ここに語られているように、参加している人々は心のどこかで、この祭りが一過性であることを認識している。あやうい場所でのあやうい遊びに興じているだけにすぎないということを。
ニコマスが誕生してから1年とちょっと。恐ろしい速さで技術が進歩していく一方、様々な問題を抱えこんだまま、終わりがあることを受け入れても、それでもなお、その場を維持するための労力も惜しんでいないのもまた事実なんだろうなと思います。
ニコマスに関わるすべての者(P、見る専門)達が、この不思議な場に対して何らかアプローチをしている。MADを作成し、イベントを企画し、wikiを整備し、blogで紹介し、ニコ動でタグをつけ、コメントをつける。
精神的な意味でのフリーライダー(ただ乗り)が増えてくればいずれこのバランスは崩壊する。それは自明の理。この世のムーヴメントが抱える寿命は必ずある。
この祭りがどんな形を終息を迎えるのか。
いつか、苦笑いして崩れ落ちる劇場を見守るのか、古いフィルムケースに収まった動画を見るのか。いずれにしても祭りに参加しちゃった以上は楽しまないとウソではありますね。
いつかのためにではなく、今、このときのために楽しむことにだって意味があると思ってます。
…あー、話が長くなってしまったかね。24時間アイマスTvネタに戻ると、色々面白いのはあったんですが、その中でも面白かったのは以下のこれとか。
まだこれ以外にもあるでしょうに、見直したら追加されるのも出てくるかもしれませんが!

ニコマス界隈定番となりつつあるイベント"Kaku-Tail Party"とMSCこと"Im@s MAD SURVIVAL Championship"が合体して"KAKU-tail Survival"となり、キャラ・テーマのシャッフルによる動画作成&視聴者参加による投票というネタを2日間でやる。というとんでもない展開に。
ついでに連絡トラブルで発生した空き枠をめぐってさらに予選で数組がほんの数日で動画を仕立てて参加。という展開に。いや、エンコ時間考えるとおかしいぞ、それ。とか思いつつもちゃんとしたててくるあたりさすがは手馴れたスタッフ達。
本選はやっぱりあの人か。と思ったけれど、さすがとしかいいようの無い出来でした。

タグの「紳士動画(綺麗な意味で)」は伊達じゃないぜ。いつでも全裸でネクタイ一つの変態紳士動画だけじゃないw  深夜と酒が似合うニコマス動画。


当然、ガチなMAD系もあるわけです。
「勇敢なあずさの恋のうた」は、ミスチルのアレに乗せた曲ではありますが、おいおい、こういう単品でもイケそうな作品をこういうイベントで搦てくるとは!
いや、いい作品ですよ>「勇敢な」

こちらは小鳥さんネタで…面白かったです。で、いい加減小鳥さんメインのアイドラとかどうですか、バンナムP! いや、マジなところ!w

2008年6月12日木曜日

20080612の記録

まーったく本が読めてない生活ってのはそれはそれで荒みますね。
ちょっと週末、体制を立て直さないと…。

※読み直したら文章がおかしいところがあったので加筆修正(赤色)を行っています。(6/12)

#い、今更とはいえ…。
サイバーパンクの傑作ってなんですか?」 from アルファルファモザイク
…またえらく古いエントリがきたな。最初の書き込み2002年じゃないか…これ、読んだ気がないような。

って、読んで気が付いたけど結構絶版本多いのね。 というわけで私的オススメ、サイバーパンクは以下のようになっております。

クローム襲撃 (ハヤカワ文庫SF)
クローム襲撃 (ハヤカワ文庫SF)ウィリアム ギブスン

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starギブスン入門書
star襲撃的売買。
starやっぱりギブスンはよく分らん

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上のエントリにもあったけど「クローム襲撃」などの短編から入るのがサイバーパンク的にはオススメかと。

ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)
ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)黒丸 尚

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おすすめ平均 star
star暴力と荒廃とハイテクの混沌
star80年代SFの金字塔
star理解できたのは最初まで

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…初めて読んだのは高校生の頃で、当時学校の英語教師にアレコレとスラングとかを聞いていたのを思い出す。しかし、ストーリー、今北産業で説明できそうなんだよな、あれw
しかし、何よりも訳者の黒丸氏の文章がすべきを決定したといってもいいと思う。

重力が衰えるとき (ハヤカワ文庫SF)
重力が衰えるとき (ハヤカワ文庫SF)浅倉 久志

早川書房 1989-09
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star近未来のアラブ世界を舞台にしたサイバーパンク&ハードボイルド・・
star簡単な解決法
starサイバーパンクの傑作のひとつ

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…えええー、エフィンジャーの作品絶版かよ! なんだよ、このプレミア価格(\1500)。
ともかく、サイバーパンクの一つの側面に異文化と技術のハイブリッドもあるので、そういう意味ではこの作品もアラブちっくな世界で非常に面白かったです。

ハードワイヤード〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)
ハードワイヤード〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)酒井 昭伸

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star現実の21世紀は...。って此ればっかだが。

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これがサイバーバンクかっていうとちょっと微妙な立ち位置であることは確かだけど、それでも好きなので。

邪眼(イーヴル・アイズ) (ハヤカワ文庫JA)
邪眼(イーヴル・アイズ) (ハヤカワ文庫JA)柾 悟郎

早川書房 1988-10
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star表題作「邪眼」はかなりの傑作

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サイパーパンク・ムーヴメントがアメリカが巻き起こったとき、日本でも同時進行で柾 悟郎がサイバーパンクと同じ立ち位置にいたことはあまり知られてないんじゃないかと。一応上の短編集、ブルース・スターリングが序文書いているんだけど…俺、好きなんだけどなぁ、あまり回りに読んだって人すくないんです。 ちなみにこの人の「ヴィーナス・シティ」もオススメ。

ヴィーナス・シティ (ハヤカワ文庫JA)ヴィーナス・シティ (ハヤカワ文庫JA)
柾 悟郎

早川書房 1995-12
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おすすめ平均

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ラッカーの「ウェットウェア」「ソフトウェア」「フリーウェア」も嫌いじゃないんだけど、ラッカー博士はちょっと人を選ぶよなぁw とかあるので、除外。

基本的にサイバーパンク・ムーヴメントはほんと80年代末期の時代の仇花的な一面もあったと思う。
あれがどうして生まれたかを説明するには、SF史でも読んだほうがいいんだけど…(ニューウェーヴの問題もあるしな)。

今北産業的にまとめると、宇宙に進出しようが何しようが変わらない人間に異を唱えて、地に足付けて技術と人間、異文化(それまでドコまでも言っても欧米中心だったので)との融合が見せる異世界。というのがサイパーパンクの一つの側面だったと思う。
ところが、ブレードランナーの影響か、酸性雨降り注ぐスラム街でジャック・インみたいなベタなサイバーパンクイメージから抜けだしずらかったのも事実だしなぁ。

今から読んでみる。というオススメはあまり出来ない。それは当時のSF状況に対するカウンターな一面もあったので、正直「歴史の一ページ」的な説明になってしまうだろうな、と思うので。

今からでも是非これを読め。というオススメはあまり出来ないな、と思う。
というのも結局サイバーパンクのムーヴメントそのものには、当時のSF小説界のカウンターな一面があったのも事実だったと思うので。過去の名作というレベルではあるとは思うけれど。
確かに70年代のSFにはティプトリィJrの「接続された女」があったけれど、それでも当時の閉塞気味ではあったSF小説界に対するカウンターでもあったとは思う…興味がある方は早川のSFハンドブックとかSF全集をみていただければいいかも。よりSF史に詳しい方は別の意見だとは思うけれどね…。


ただ、サイバーパンクのムーヴメントがもたらした種子は拡散して様々な作家に影響を与えた。
おそらく自分と同じ30代近辺のSF系作家がその影響を色濃く受け継いでいると思う。

文体によるスピード感、ドライブ感、その記号性は冲方 丁が「シュピーゲル」で体現しているし…。
そういうサイバーパンク後の世代の描いたマイルストーン的なものというと、下の作品だと思う。

ブラックロッド (電撃文庫)
ブラックロッド (電撃文庫)古橋 秀之

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starすでに新刊では手に入れるのが難しいのが惜しい
starやばいです! 史上最狂にキている小説
starこれは

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古橋 秀之の「ブックロッド」シリーズを初めて読んだとき、本当にギブスンの「ニューロマンサー」を読んだようなブッ飛んだ衝撃を受けたものです。早川SF文庫で結構絶版が多い今、サイバーパンク・ムーヴメントを追体験するには、こういうサイパーパンク後の影響を色濃く受け継いだ世代の作品をよんでもいいんじゃないかと。あ、こちらも新刊は手に入りづらいか。

というわけで書いてみましたw