中央公論新社 (2005/02)
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・・・まぁ、そのなんですか。これで終わりと言われても致し方のない早い展開ですが・・・予想されていたすべての事柄がすべて集約されているような話っぷりです。すべてに恐れ、すべてを無視する男、新城直衛とその下に集いし者達による最悪の宴というべきか。ともかく、続きはいつになることやら・・・。
さて、尻上りに面白くなりつつあるザ・ホワイトハウス(The WestWing)ですが、
今回はちょっと訳でアレ?と思った方もいるかもしれません。
シークレット・サービスがC.J.のPCに触るときに「ハードドライブを借りるよ」という台詞があったのですが、
アメリカだとHDDのことをハードドライブって言うんですよね。
ハードディスクではなくハードデスク(wと言う人もいる日本だとちょっと違和感を感じますが、面白いところです。
今回は突っ込んで書こうと思って仕込んでおいたネタが見事にスカだったので・・・ちょっとしたお話を。
大統領が軽口を聞く相手、"フイッツ"こと、フイッツウォレス統合参謀本部議長の役職についてですが、基本的にアメリカ軍は陸・海・空・
海兵の四軍によって成り立ち、これらの各軍トップ(陸/空は参謀総長、海軍は海軍作戦部長、
海兵隊司令官)らによって組織されるのが統合参謀本部(JCS)であり、国防長官を補佐し、軍事作戦の立案実施を担当します。
統合参謀本部議長は、制服(軍人)ではトップの位置にあり、大統領および国家安全保障会議に参加し、助言を行うことが求められています。
前国務長官だったコリン・パウエル氏は、湾岸戦争を主導したのは有名で、その求心力は非常に高いそうで、
今回のイラク戦争においても軍のトップであるマイヤーズ統合参謀本部議長からラムズフェルド国防長官だけではなくパウエル長官にも情報を流していたとかいないとか。
RMA(今やトランスフォーメーションですが)のデメリットが明らかになったイラク統治の失敗の一因には、兵力不足が唱えられていますが、
湾岸戦争時、辛抱強く兵力を欧州から抽出し、展開し、再訓練させ、兵力が整うまで導いたパウエル将軍の手腕も中々のものだと思いますね。
ここ最近のイラクでの不手際はベトナム戦争で辛酸を舐め、アメリカ軍を再建したコリン・
パウエル将軍らの世代が湾岸戦争後に退役したためとも言われていますしね。
一方のイラン問題ですが、流石にTWW。狙ってくるホットスポットが違いますね。3rdシーズンは9.11より後のシリーズですが、
イラクではなくイランをもってくるところが渋い。台湾海峡が東アジアのホットスポットとするなら、イランもまた重要なポイントです。
数日前にもイランで現在建設中の原子炉に爆撃を受けたという誤報が飛び交って大変だったそうですが(実際、
イスラエルによるイラク原子炉攻撃事件が過去にありましたので)、イランの原子力開発問題については、"http://www.gensuikin.org/nw/iran-.htm">ここが詳しいですね。まぁ、
若干バイアスがあるかもしれませんので、要約すると、イランで核兵器目的と思われる原子力開発が進められていると思われているのは、
(1)原油の埋蔵量が豊富にあり、すくなくとも国内のエネルギー問題は逼迫しているとはいえない。
(2)IAEA(国際原子力機関)に正しい報告をあげていない。(3)開発している施設が核兵器に直結するシロモノばかり。
というのが理由で、中東に核を拡散させるのがどれだけ物騒かを考えれば、
アメリカもイラクだけではなくイランに注目するのも無理はないかもしれません。
というわけで、面白くなりつつあるホワイトハウス、終わりは近いですが、楽しみに来週まで待つとします。はい。
えー、やるじゃん、TWW。ようやく大統領の病気問題をクリアしたので、1st、2ndの、あの良質かつ丁寧な人物の感情描写、
ホロリとさせるエピなどのインサートは流石と思いますね。
大統領がわざわざ個人秘書のチャーリーの税金(アメリカでは日本と違って税の申告は個人で行うので)還付金申請をやっていたり、
アテにしていた還付金が戻ってこなくてしょげていたチャーリーに褒美を上げたり、
次席補佐官ジョッシュが秘書のドナの無理な要求を突っぱねながら、これまた大統領にお願いしていたり、これまた大統領もそれに答えて、
最初とは違っているけれども願いに答えるシーンなど、中々のものです。
副大統領のホインズはいままであまりいい登場人物扱いではなかったのですが(レオに断酒会に薦めたぐらいですか)、
今回は注目の話でしたね。しかし、個人的にはフィッツウォレス統合参謀本部議長(まぁ、最近職を辞したコリン・
パウエル前国務長官/元統合参謀本部議長がモデルだと思いますが)も捨てがたいのですが・・・。大統領のメッセージは弱気の印ではなくて
「信頼している」の遠まわし的な表現なのでしょう。ご存知の通り、アメリカでは大統領に何かがあったとき、
指揮権委譲は副大統領に移行しますので(そうもスンナリ行かないのは2ndの冒頭でネタにされていましたが)、
それなりの人物でなければ副大統領は厳しいわけですね。
さて、TWWの余計な知識コーナーとして今回は劣化ウランを。
劣化ウランは湾岸戦争やイラク戦争でも問題になった、劣化ウラン弾(DU)による残留(拡散?)放射能問題による健康被害で有名ですが、
元々原子力発電炉の炉心のカスみたいなもので、鉛の倍の密度があります。19g/cm3とのことですから、
ペットボトル(350ml)の劣化ウランがあると5kg程度ですか、
それぐらいの重さになるのです(計算違いをしてないことを祈ります^^;)
どうしてこんな物騒なものを使うのか、というと、弾頭に劣化ウランという非常に重たい物質を使うことで、戦車などの弾頭の破壊力が増す。
という利点があるためです。
わかりやすくいうと通常の兵器はすべて運動エネルギーを破壊力に変換します。モノをすばやく相手に叩きつけることが必要で、
そこには当然重ければ重いほどいい。というわけです。また、
原子力発電のリサイクルの一環(今回も原子力空母からの使用済み核燃料棒の劣化ウラン・・・
という表現がありましたね)で生成されるし良いことづくめだったのです(ちょっとネットで調べてみましたが、
大型ジェット旅客機にも使われていたようですね)・・・・・・湾岸戦争が終わるまでは。
元々、この劣化ウラン、正式名はdepleted uranium と呼びますが、その組成の99.3%は放射能のない
「ただの金属(ウラン238)」で、残りの0.7%が核燃料の源ともなるウラン235が含まれているに過ぎません。正しく
「枯渇(deplete)」なウランなわけですが、これが弾頭となって敵の装甲などにぶつかったときに蒸発すると、
空気中に毒性の強いウランが粒子となって散らばる・・・のではないかと言われています。
「えっ? やけに奥歯にモノが挟まったいい方しているじゃないか」といわれそうですが、正式な答えが出ていないんです、
正直なところ>劣化ウランの影響説。詳しくは2ch軍事板FAQまとめサイトの"http://mltr.e-city.tv/faq09.html#other02">劣化ウランの項目を見ていただければ、
と思いますが、
劣化ウラン弾に放射性物質が含まれている金属を使っているからといって核兵器扱いはいささかどうかとは個人的には思います(いや、
厳密に核兵器を「融合弾」「反応弾」と呼称したほうが・・・と思いますが、これは脇に置いておきます)。
自分としては重金属飛散による人体影響説かなぁとは思いますが(思いつきですので確固たる根拠はありません、申し訳ないですが)。
劣化ウランの人体に関する影響に関しては米軍は特に問題ではない。というスタンスをとってます。まぁ、そりゃそうです。
撃たない限りはウランは散らばったりするわけじゃありませんから、そういうスタンスも取れるわけですが、
撃たれる立場はそれでは立ち行かないものもありますね。
今回はトンネル火災ということもあって、劣化ウランが火に炙らされると非常に厄介なことになっていたかもしれませんね。
納められたケースは頑丈らしいので特に今回は問題とならなかったようです。
ちなみに日本では劣化ウランによる弾頭はありません。高額なものの、代用品でもあるタングステン弾頭としています。
さて、次回、ソ連とイランの核問題かぁ。どうなることやら・・・。
さて、今週のザ・ホワイトハウス(TWW)ですが、大統領の思慮遠謀つーか、策略が最後の最後、CJによって暴かれましたね。
煽りをくらったエインズリーは休暇先から呼び戻されてご愁傷様でしたが、S-2の地下の穴倉のようなオフィスから、
割と立派な部屋にまで出世したようで何よりです。
さて、今回の桂冠詩人にまつわる地雷についてちらちらと(こんなネタしか書かないのか!?って、だって普通のネタを取り扱うと、
TWWファンサイトの方々にはかなわないので、こういうヘンな切り口でせめていこうかと)。
話中で出てくる地雷禁止条約。正式には対人機雷禁止条約(オタワ条約)というものです。加盟国については外務省の"http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/arms/mine/ichiran.html">ホームページをどうぞ。
さて、地雷ですが、読んで字のごとく地面に埋めるものですが、何が厄介かというと、機能が単純の上、
安価だったためにバカみたいな数が埋め込まれて、なおかつこの埋め込まれた場所がわからない。という大問題があるからです。
地雷、特に対人地雷の嫌らしさは、その殺傷能力が人を殺すまでに至らない点です。どうしてかというと、
戦場においては残酷なことに人を殺すことより、傷を負わせて戦場から離脱させるほうがダメージが高いのです。つまり、
戦場から運ぶ人手を裂かねばなりませんから。
とはいえ、地雷は防御兵器としてはありがたい側面もあります。どうしても戦場に展開する兵力が足りない場合、
地雷原を準備することで敵の攻撃を足止め、もしくは限定させることが可能になるからです。日本の加盟については防衛庁の一部が難色を示した。
というのもむべなるかなというところですか。真っ当な軍であれば、地雷を設置した場所の記録を保管するのですが、
今も地雷問題が残るカンボジアでは双方ゲリラ化してあれこれと地雷を埋め込んだわけで、これは流石に地雷を制限せざるを得ない。
というのも自分としては理解ができます・・・が。
オタワ条約を厳密に適用すれば設置型の攻撃兵器はアウトという形になりますが、あくまで人がコントロールする。というのを逃げ道に、
様々な兵器が現在も使用されていたり、開発されています。有名どころのクレイモアと呼ばれる指向性地雷は、
あくまで人がコントロールするという建前のもと、今も使っているはずですが、
これとてブービートラップ(罠)として設置することが出来る以上、地雷の一種と言えなくもありません。
・・・また、これは自分の想像ですが皮肉なことにオタワ条約があることで、
逆にもっとタチの悪い兵器が発生するのではないかとも思っています。
例えば、地雷と同様に禁止されたものにはダムダム弾と呼ばれる殺傷能力の高い弾種がありますが、これも今でもホロー・ポイント、
シルバーチップと呼ばれる弾が代替品として世界で出回っています。50口径以上の対人ライフルも同様に禁止となっていますが、アンチ・
マテリアル・ライフル(対物ライフル)と名前や形を変えて生き残っています。当然、名前だけですから人を狙うのもOKなわけです。
結局、条約(ルール)があれば、その隙間を狙ってくる場合もあるわけです。理念が正しくとも、その結果は正しいものが導かれるわけではない、
というのは歴史を知れば思い知りますね。
しかし、前述の外務省のホームページを読んで気がつかれたかと思いますが、アメリカはこのオタワ条約に批准していません。というのも、
クリントン政権時代の話(TWWは基本的にはクリントン時代をモチーフにした話が多いですね)ですが、朝鮮半島、
38度線に展開している地雷原があっため、2003年までに中止。という形をとっていたのですが、
結局今のブッシュ大統領は同条約の破棄という形をとりました。前述したように、一概に地雷そのものが駄目。という形では、
あの地域では難しいものがあるのも事実なのですが、難しいところですよね。
で、今回の話で詩人タバサとトビー・ジーグラー広報部長(しかしえらく今回はノリノリでしたな。
CJもうすうすわかっていたと思うけど)が韓国での・・・というくだりがあるのも、ここからですね。
そのいきさつに関しては
日本共産党サイトにちらりと書かれていますので、興味がある方はそちらをどうぞ。
さーて、来週はオヤスミなので、見送った15話分を書きたいなぁ。