2005年2月16日水曜日

今週のザ・ホワイトハウス。「副大統領の条件」“STIRRED”

えー、やるじゃん、TWW。ようやく大統領の病気問題をクリアしたので、1st、2ndの、あの良質かつ丁寧な人物の感情描写、
ホロリとさせるエピなどのインサートは流石と思いますね。

大統領がわざわざ個人秘書のチャーリーの税金(アメリカでは日本と違って税の申告は個人で行うので)還付金申請をやっていたり、
アテにしていた還付金が戻ってこなくてしょげていたチャーリーに褒美を上げたり、
次席補佐官ジョッシュが秘書のドナの無理な要求を突っぱねながら、これまた大統領にお願いしていたり、これまた大統領もそれに答えて、
最初とは違っているけれども願いに答えるシーンなど、中々のものです。


副大統領のホインズはいままであまりいい登場人物扱いではなかったのですが(レオに断酒会に薦めたぐらいですか)、
今回は注目の話でしたね。しかし、個人的にはフィッツウォレス統合参謀本部議長(まぁ、最近職を辞したコリン・
パウエル前国務長官/元統合参謀本部議長がモデルだと思いますが)も捨てがたいのですが・・・。大統領のメッセージは弱気の印ではなくて
「信頼している」の遠まわし的な表現なのでしょう。ご存知の通り、アメリカでは大統領に何かがあったとき、
指揮権委譲は副大統領に移行しますので(そうもスンナリ行かないのは2ndの冒頭でネタにされていましたが)、
それなりの人物でなければ副大統領は厳しいわけですね。


さて、TWWの余計な知識コーナーとして今回は劣化ウランを。

劣化ウランは湾岸戦争やイラク戦争でも問題になった、劣化ウラン弾(DU)による残留(拡散?)放射能問題による健康被害で有名ですが、
元々原子力発電炉の炉心のカスみたいなもので、鉛の倍の密度があります。19g/cm3とのことですから、
ペットボトル(350ml)の劣化ウランがあると5kg程度ですか、
それぐらいの重さになるのです(計算違いをしてないことを祈ります^^;)

どうしてこんな物騒なものを使うのか、というと、弾頭に劣化ウランという非常に重たい物質を使うことで、戦車などの弾頭の破壊力が増す。
という利点があるためです。

わかりやすくいうと通常の兵器はすべて運動エネルギーを破壊力に変換します。モノをすばやく相手に叩きつけることが必要で、
そこには当然重ければ重いほどいい。というわけです。また、
原子力発電のリサイクルの一環(今回も原子力空母からの使用済み核燃料棒の劣化ウラン・・・
という表現がありましたね)で生成されるし良いことづくめだったのです(ちょっとネットで調べてみましたが、
大型ジェット旅客機にも使われていたようですね)・・・・・・湾岸戦争が終わるまでは。



元々、この劣化ウラン、正式名はdepleted uranium と呼びますが、その組成の99.3%は放射能のない
「ただの金属(ウラン238)」で、残りの0.7%が核燃料の源ともなるウラン235が含まれているに過ぎません。正しく
「枯渇(deplete)」なウランなわけですが、これが弾頭となって敵の装甲などにぶつかったときに蒸発すると、
空気中に毒性の強いウランが粒子となって散らばる・・・のではないかと言われています。



「えっ? やけに奥歯にモノが挟まったいい方しているじゃないか」といわれそうですが、正式な答えが出ていないんです、
正直なところ>劣化ウランの影響説。詳しくは2ch軍事板FAQまとめサイトの"http://mltr.e-city.tv/faq09.html#other02">劣化ウランの項目を見ていただければ、
と思いますが、
劣化ウラン弾に放射性物質が含まれている金属を使っているからといって核兵器扱いはいささかどうかとは個人的には思います(いや、
厳密に核兵器を「融合弾」「反応弾」と呼称したほうが・・・と思いますが、これは脇に置いておきます)。
自分としては重金属飛散による人体影響説かなぁとは思いますが(思いつきですので確固たる根拠はありません、申し訳ないですが)。


劣化ウランの人体に関する影響に関しては米軍は特に問題ではない。というスタンスをとってます。まぁ、そりゃそうです。
撃たない限りはウランは散らばったりするわけじゃありませんから、そういうスタンスも取れるわけですが、
撃たれる立場はそれでは立ち行かないものもありますね。


今回はトンネル火災ということもあって、劣化ウランが火に炙らされると非常に厄介なことになっていたかもしれませんね。
納められたケースは頑丈らしいので特に今回は問題とならなかったようです。



ちなみに日本では劣化ウランによる弾頭はありません。高額なものの、代用品でもあるタングステン弾頭としています。



さて、次回、ソ連とイランの核問題かぁ。どうなることやら・・・。



3 件のコメント:

  1. こんにちは。
    またまたためになるお話をありがとうございました。
    > 大統領のメッセージは弱気の印ではなくて「信頼している」の遠まわし的な表現なのでしょう。
    そうですね。自分のブログに弱気と書いてましたが、ここは素直に感動するところですね(笑)

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  2. ゆんたちゅら2005年2月20日 4:10

    いつもながら興味深い話を有難うございます。
    劣化ウラン弾については僕も核兵器、もしくはそれに準ずるものだと思っていました。密度の問題だったとは知りませんでした。
    ただ、「弾頭となって敵の装甲などにぶつかったときに蒸発すると、空気中に毒性の強いウランが粒子となって散らばる・・・(のかも)」とお書きになっていらっしゃいますが、もしも実際にそうであるとすると、それはナンというか、「実質的には」核兵器にかなり近いものなのではないかと、まるで無知な頭では思えてしまうのですが、違いますか。
    「かなり近い」というのは、核兵器を僕が恐ろしいと思うのは、攻撃の瞬間だけ人間を殺傷するのではなく、じわじわと内臓器官や胎児、さらには攻撃された地域の環境まで侵していって、人間を痛苦にさいなむからで、「毒性の強いウランが粒子となって散らばる」ならば、それと同様の影響が被爆地帯に広がるのではないか、と理解しますが、もしもこの理解が違っていたら、どうかご教示ください。なんだか素人くさくてすみませんが、よろしくお願いします。

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  3. ゆんたちゅら2005年2月21日 0:36

    丁寧なお答えを有難うございました。何回も読みました。
    劣化ウラン弾を安易に核兵器と結びつけられない理由や、重金属汚染など、知らないでいたことだらけでした。
    でもやっぱり、判ってみても怖いですね。専門家の間でも意見が分かれていたり、今後も研究が必要だったりということは、つまり正体不明。そのためにジュネーブ陸戦条約に抵触するかどうか確定できないということだと思います。そこが怖いです。
    僕のようにテレビのニュースや新聞の流し読みだけで戦争や大量破壊兵器についてわかったつもりになってしまう人間には、BARSERGAさんのように判りやすく解説してくれる人が必要です。改めて御礼申し上げます。

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