2005年2月23日水曜日

ザ・ホワイトハウス 18話「忍び寄る恐怖」“ENEMIES FOREIGN AND DOMESTIC”

さて、尻上りに面白くなりつつあるザ・ホワイトハウス(The WestWing)ですが、
今回はちょっと訳でアレ?と思った方もいるかもしれません。

シークレット・サービスがC.J.のPCに触るときに「ハードドライブを借りるよ」という台詞があったのですが、
アメリカだとHDDのことをハードドライブって言うんですよね。
ハードディスクではなくハードデスク(wと言う人もいる日本だとちょっと違和感を感じますが、面白いところです。


今回は突っ込んで書こうと思って仕込んでおいたネタが見事にスカだったので・・・ちょっとしたお話を。

大統領が軽口を聞く相手、"フイッツ"こと、フイッツウォレス統合参謀本部議長の役職についてですが、基本的にアメリカ軍は陸・海・空・
海兵の四軍によって成り立ち、これらの各軍トップ(陸/空は参謀総長、海軍は海軍作戦部長、
海兵隊司令官)らによって組織されるのが統合参謀本部(JCS)であり、国防長官を補佐し、軍事作戦の立案実施を担当します。
統合参謀本部議長は、制服(軍人)ではトップの位置にあり、大統領および国家安全保障会議に参加し、助言を行うことが求められています。


前国務長官だったコリン・パウエル氏は、湾岸戦争を主導したのは有名で、その求心力は非常に高いそうで、
今回のイラク戦争においても軍のトップであるマイヤーズ統合参謀本部議長からラムズフェルド国防長官だけではなくパウエル長官にも情報を流していたとかいないとか。
RMA(今やトランスフォーメーションですが)のデメリットが明らかになったイラク統治の失敗の一因には、兵力不足が唱えられていますが、
湾岸戦争時、辛抱強く兵力を欧州から抽出し、展開し、再訓練させ、兵力が整うまで導いたパウエル将軍の手腕も中々のものだと思いますね。
ここ最近のイラクでの不手際はベトナム戦争で辛酸を舐め、アメリカ軍を再建したコリン・
パウエル将軍らの世代が湾岸戦争後に退役したためとも言われていますしね。


一方のイラン問題ですが、流石にTWW。狙ってくるホットスポットが違いますね。3rdシーズンは9.11より後のシリーズですが、
イラクではなくイランをもってくるところが渋い。台湾海峡が東アジアのホットスポットとするなら、イランもまた重要なポイントです。
数日前にもイランで現在建設中の原子炉に爆撃を受けたという誤報が飛び交って大変だったそうですが(実際、
イスラエルによるイラク原子炉攻撃事件が過去にありましたので)、イランの原子力開発問題については、"http://www.gensuikin.org/nw/iran-.htm">ここが詳しいですね。まぁ、
若干バイアスがあるかもしれませんので、要約すると、イランで核兵器目的と思われる原子力開発が進められていると思われているのは、
(1)原油の埋蔵量が豊富にあり、すくなくとも国内のエネルギー問題は逼迫しているとはいえない。
(2)IAEA(国際原子力機関)に正しい報告をあげていない。(3)開発している施設が核兵器に直結するシロモノばかり。
というのが理由で、中東に核を拡散させるのがどれだけ物騒かを考えれば、
アメリカもイラクだけではなくイランに注目するのも無理はないかもしれません。


というわけで、面白くなりつつあるホワイトハウス、終わりは近いですが、楽しみに来週まで待つとします。はい。



8 件のコメント:

  1. ゆんたちゅら2005年2月25日 0:01

    こんにちわ。今回のTWWは、フィッツウォレス・ファンとしてはとっても良かったです。
    ところで「スカだった」ネタというのはどういうものですか? TWWに関係なくても、ぜひ書いていただきたいと思うんですが…

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  2. BARSERGA@管理人2005年2月25日 19:52

    どうも、こんにちわ。
    いや、"スカ"だったのは、作中おそらくアメリカ軍によるイラン原子炉空爆プランが浮上して、実行するか?まで行くだろうから、実際にイスラエルがイラクのオシラク原子力発電所に対して行った空爆攻撃、「バビロン作戦」について引用しつつ、核のパワーバランスについて触れてみようかと思っていたのですが、話がそれ以前の段階で終わってしまったので、あまり触れていないわけです。多分行うのならペルシャ湾に遊弋している空母グループか、もしくはアメリカ本土からB-2で攻撃するかな、とか色々考えていたのですがね(w
    上のコンテンツで触れていなかったのですが、話の中でサムがロシア大使館員からの共同声明要望という形で送られた大統領のメッセージですが、ホットラインも使えないとは難儀な話だねぇと思いつつ見ていました。
    もともとホットラインはケネディ大統領時代のキューバ危機でアメリカとソ連とのトップによる意思疎通ができないことから作られたシステムなんですがね(ここらへんはケビン・コスナーの7Daysで触れられていますが、結局、大統領と親交のあるマスコミ関係者が介在してメッセージが届けられたのですが)。
    また、冒頭、C.J.が怒り心頭で罵倒していたサウジアラビア(の宗教警察)ですが、サウジとアメリカの関係にもすこしばかりと思っていましたが、これもまぁ長くなるのでバッサリと(w。いずれ機会があれば触れたいと思っています。

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  3. こんにちは。いつもためになる情報をありがとうございます。
    > サウジとアメリカの関係にもすこしばかり
    これも、いつか是非お願いします!
    大統領が失言するエピで、サウジアラビアを
    badと言い切っていたのがひっかかっているのです。
    機会がありましたら是非ご教示ください。

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  4. こんばんは。詳しい解説をありがとうございました!
    > 民心を掌握することに宗教を使い...実際の政事は西洋式。
    ここを読んで、なんとなく今まで引っかかっていたものが少しスッキリした気がします。
    でも、おっしゃるとおりとても複雑そうですので、わかったつもりにならずに、これからも折に触れて勉強していきたいと思います。
    興味深いお話を本当にありがとうございました。

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  5. バビロンさん 初めまして。
    ��EIさんのBBSから参りました菜と申します。
    ��WWを見始めたのは、ロブ・ロウが出演しているらしいと聞いたからでした。
    でも、もともとJFK等のホワイトハウスの出来事に興味が有ったので、どんどん引き込まれて行きました。
    しかし私の周りでTWWを見ている人が居なかった事と、政治的な話しを出来る友人も少ない事から、
    スタッフ間の恋愛やソーキン氏のユーモアに興味を移して行ってしまった様に思います。
    でも、それは言い訳で、調べようと思えばいくらでも勉強出来るんですよね。
    アメリカに限らず、様々な国の時代背景に興味があります。大事な事だとも思っています。
    (映画が入り口だったりするのですが)
    ��WWを見ていても分からない事がたくさん有ります。
    ��4の放送は未定の様ですが、これからも宜しくお願い致します。
    今、胸がちょっと熱くなってます。(変ですよね・・・)

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  6. BARSERGA@管理人2005年3月13日 9:54

    はじめまして。
    過分なお言葉をどうも。
    TWWについては先輩諸氏の皆様の考察などとかがありますので、自分としては重箱の隅をつつきつつ、自分に興味のあるフィールド、歴史や政治、軍事、外交についてかかわることをちらりと書いていますので、まぁ、ヘンな取り上げ方だとは自分も思います(w。
    TWW S-3もあと1話ですので、S-4までの間、ちょっとS-1からS-3まで、自分が撮ってるものから、ネタをもってこようかと考えたりしております。
    今後ともよろしくおねがいしますね。

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  7. おはようございます。
    前に1度コメントさせていただいたKEIです。
    いつもこちらのブログを個人的に参考にさせてもらっているだけでなく、
    プラス、開いているTWWファンページの掲示板でも、勝手にこちらを紹介させてもらってました。
    遅くなってしまいましたが、うちのリンクページでこちらのブログを紹介させてください。
    本当に、こちらは勉強になります。
    これからもよろしくお願い致します。

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  8. BARSERGA@管理人2005年3月14日 21:47

    こんにちは。
    >いつもこちらのブログを個人的に参考にさせてもらっているだけでなく、
    >プラス、開いているTWWファンページの掲示板でも、勝手にこちらを紹介させてもらってました。
    かまいませんよ~。
    ネットの世界でリンクを張る、TBする、すべては自由でかまわないと自分は考えておりますので。
    どうにもこうにも偏った知識でTWWのある側面を語る妙なサイトですが、参考になったり、調べたりするきっかけになるのであれば、それは私としても最上のことだと思いますので。
    自分も掲示板、見に行きますので、今度ラスト・エピソードの時はご挨拶させていただこうかと考えておりました。ではではこれからもよろしくお願いします。

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