2005年5月30日月曜日

「機動戦士Zガンダム・星を継ぐ者」

「機動戦士Zガンダム・星を継ぐ者」を見てきました。いやぁ、ガノタなら外せないだろうと、友人Kと一緒にレイトショーで突撃でした。


以下は簡単な感想。



  • 20年前との画質差は確かにある。しかし、冒頭30分、グリーン・ノアあたりであまり気にならなくなる。

  • 新作画像の部分でMSが出てくるシーンは身悶えしてしまいそうになるぐらいゴッツすばらしい。もう、
    最後のギャプラン+アッシマーに対応するMk2と百式の戦闘シーンは、ここまできたか。というぐらいのカットと展開の勝利かと。
    時にMk2を射程に捕らえたロザミアが「捕まえた!」と叫んだ直後、クワトロ大尉のその射線上に割り込みつつ「こちらもな」
    がイイ(≧∇≦)b !

  • 同様に新作シーン、カミーユ、クワトロ、レコア、エマのやり取りはなかなか。
    いささかカミーユがレコアにもたれかかりすぎのような気もしないでもないが、これは伏線なんだろう(とガンダム・エースを見て思う)。
    同様に肩に手をかけるクワトロもなかなか。しかし、なんだ、シャアについて散々な物言いだなぁ、ヲイ(w

  • 1stのキャラが集まるにつれ、完全新作シーンであるカイとハヤトとのやり取りは中々のもの。
    それを小耳に挟んだカミーユの意識が、ラストシーン、アムロを拾い上げ、そして百式を見て「シャアなんだ」というあたりで、
    こいつは後から楽しみだ。と思う自分がいる。
    TV版じゃ明確にカミーユがクワトロをシャアであると直言したのはダカール演説のあたりだからねぇ。

  • 次の劇場版サブタイトルは「恋人たち Lovers」ってことは、
    フォウと(いささか嫌いだが)ベルトーチカが軸になるのだろう。楽しみではある。


そんなわけで20年前リアルタイムでZを見た世代で今もアニメ好きなら見ておいてソンはなし。
20年間のアニメーション技術の発展と以外なところでの足踏み、そしてあの時、ああいう作品だったのがどうして今映画にするのか。
ということを認識するためにもね。


そのあとは友人Kと札幌中心部のハズレにあるひっそりとした居酒屋でアレコレと食べつつアレコレと話しましたとさ。



2005年5月27日金曜日

日本経済を学ぶ/岩田 規久男

日本経済を学ぶ
日本経済を学ぶ
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岩田 規久男
筑摩書房 (2005/01)
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通常24時間以内に発送


以前に紹介した「経済ってそういうことだったか会議」のコメントで紹介された本を早速読んでみた。
紹介してくださったひろちゃん(さんは省略させていただいて)有難うございましたm(__)m。

本の半分を使って日本経済のいままでを説明している。
つまり、高度経済成長の理由とニクソン・ショック、プラザ合意から続いてバブル経済。そして、よせばいいのにヘタを手をうったせいで余計泥沼に陥る羽目になった「失われた10年」。そして、その余波によるデフレ現象。
そういう説明の中で、日本経済の特徴、つまり日本式経営の内実と、ある意味役目を果たしていなかった通産省とか、大蔵省の怠慢などを説明していたりする。まったくもって筆者のわかりやすい説明で、「ははぁ、そういうことなのね!」と頷いてみたり、余計わからない点も増えたりして。

で、後半は、小泉内閣で始まった一連の改革と、今後の日本経済の問題解決に向けての意見。という形で纏められている。

読んでツレヅレとおもった感想は以下の通り。


・役目果たしてないじゃん、通産省。でも通産省がヘタをうったおかげで今のホンダとかあるわけだし、その点ではGJ!

・護送船団方式をとった大蔵省は駄目駄目ぢゃん。ただ子供の頃、日本じゃ銀行は絶対つぶれないからね。とは言っていたのだけれど、早い段階からこういう幻想をクリアできていればよかったのにね。

・日本って、日本的経営手法がNo1.!とか言っていたり、アメリカ的経営手法が最高!とか、極端から極端に走りやすいなぁ。まぁ、声が大きいのは極端な意見。っていう気もするけれど。

・貿易赤字は駄目で貿易黒字はOK。と思っていた自分の漠然としたイメージが覆された。そうか、必ずしも赤字=×ではないのね・・・。

・結局のところ、自由かつ公正な競争社会が正しい経済発展を促すわけね。国は国でしか出来ないことだけをやっていればいい。というスタンスは全面的に賛成。

・年金問題ではいささか考え込まされた。そうか、消費税で補填というのはよろしくないのか。自分もそう思っていたよ。

・結局経済ってのは消費する人々の曖昧模糊としたマインドに左右される一面があるのか。今はデフレだと思っているからデフレの悪循環になるし、バブルも無条件に株価なり土地評価額が上がると信じられていたせいなのだろうか。だとすればほとんど祈祷師の世界だな、こりゃ。

・今の現状ではデフレが最大の問題で、ある程度のインフレを起させて金を回らせることが目的(結局、経済ってのは金の動きだしなぁ)の、インフレ・ターゲット論に行き着くわけか。この著者は元々インフレターゲット論者だというのだけれどね。インフレターゲットってなにさ。っていうことは下の通り。
http://allabout.co.jp/career/economyabc/closeup/CU20020316A/

ちょっと色々思うところあるのだけれど、また今度再読してみます。

2005年5月26日木曜日

フラワー・オブ・ライフ (2) / よしながふみ

フラワー・オブ・ライフ (2)
よしなが ふみ
新書館 (2005/05/25)
売り上げランキング: 609
在庫切れ


笑わせてもらいました。いいなぁ、この人の作品。好きです、はい。

鬼畜な真島に対する「プライスレスな贈り物」がサイコーです(w 確かにコイツはすげぇ!

もうちょっと詳しい感想は改めて。よしながふみを知らない方は、この1巻と合わせて「愛がなくても喰ってゆけます」もどうぞ! きっとめくるめく妙な世界へと誘ってくれますよ!

「沖ノ鳥島爆破指令」 大石英司

沖ノ鳥島爆破指令
沖ノ鳥島爆破指令
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大石 英司
中央公論新社 (2005/05/26)
売り上げランキング: 3,812
通常24時間以内に発送


日本の最南端、沖ノ鳥島。ここの経済水域問題をクリアするため東京都が送り込んだ都庁職員一家と研究グループが某国(wスポンサーによる傭兵グループに襲撃される。あまりにも遠い場所に自衛隊が送り込める兵員は限られ、陸上自衛隊特殊部隊<サイレント・コア>の若手隊員達だけが頼りだった・・・。悪天候が双方に齟齬を起こさせ、戦況は混迷の度合いを深めていく中、都庁職員と<サイレント・コア>隊員の戦いが始まる。

というわけで非常にタイムリーなこのお話(w。ちょっと話の途中でそれはどうよ?って展開もあるのだけれど、まぁ面白いですよ、いや本当。僻地かつ悪天候の極地での戦いというわけですが、まぁサイコロの目がちょっと偏りありすぎるんじゃないの?って気もないわけではないですが。

新刊を購入する場合は新刊案内を捨てずに中をよくご確認のこと。

遠い空の下へ思いを馳せて。

自分が在籍する業界向け雑誌を読んだら、10年以上前に暮らしていた街の航空写真が出て感慨にふけってしまった。



あの頃、府中の中河原駅近辺で寮住まいだった自分は、
休日となると多摩川にかかった橋を渡って聖蹟桜ヶ丘のショッピングセンターに通っていた。
○芝エンジニアリングにいた兼平君たちは元気なのだろうか、とかとか感慨にふけってしまう。



あの頃、自分も本当に頭を抱えるほど青春スーツ(byハチクロ)を着込んでいたので(w、もしあの頃青春スーツを脱いでいて、
もう少しズル賢く、世渡りが上手く、なおかつ色々な意味でスレていたら、もっと違うことになっていたかもしれない・・・まぁ、
今もべつに現状に不満はない(というより、「あのときの」自分の決断が今の結果である以上不満という形ではなく、改善すべきもの、
として捕らえているのだけれど)



まぁ、そんなわけでもう少し感慨に耽ろうと、同業他社やお役所のホームページをあさってみた。以前にも取り上げたのだけれど、改めて。




「いくとこガイド」

target="_blank">http://www.ikutoko.com/

では、日本全国の地図+航空写真を重ねて表示できるので、もし思い出の地があれば探してみてもいいかも。



国土情報ウェブマッピングシステム

target=
"_blank">http://w3land.mlit.go.jp/WebGIS/index.html


ここでは、昭和50年とか過去のデータも参照できる。



もっとさかのぼりたい場合は国土地理院の「空中写真サービス」もある。

target="_blank">http://mapbrowse.gsi.go.jp/airphoto/

ここだと終戦直後、米軍がB-29で撮影した航空写真があるので、60年前の町並みがわかる。札幌ってこんなにど田舎だったんだ。
と思い知るには丁度いい。ちなみに北大の北側、今の北24条駅界隈には旧札幌飛行場があったのはその筋の人には有名だし、
今の札幌飛行場(丘珠飛行場)には陸軍の54戦隊(まぁお寒い装備だったのだが)がいた。



しかし国もGISに本腰入れるならこの手のポータルサイトを内閣府あたりで作ってほしいなぁ。
この手のデータが眠っているってあまり知られてないんだし。 正直、縦割り行政のせいで、国土交通省、国土地理院、総務省、
LASDIC(地方自治情報センター)とか、
もうGISがらみのポータル気取りのサイトはこれでもかと存在している。もう、バカかとアホかと(w。
GISアクションプランも今年で最後なのだが、音頭だけは景気が良くて、その実何も動いていないしなぁ。
大体地方自治体の求めるGISのオーダーと測量、建設CAD系企業のオーダーにはギャップが(以後、
業界筋向けの愚痴ですので省かせてもらいます。流石にヤバイので)・・・、しっかりしてください>担当者各位。
自分が別件で電突した某霞ヶ関官僚の方々は非常に有能でテキパキと対応してくれたんだけど、なんだなぁ、やはり官僚組織は大変なのか。




ともかく、昔自分が暮らしていた町とか、今暮らしている街の昔の姿を知ることだってできる。
ちょっとしたときに思い出を掘り返すのも時には悪くはないだろう。・・・時々はね(w



2005年5月21日土曜日

「経済ってそういうことだったのか会議」佐藤 雅彦/竹中 平蔵

経済ってそういうことだったのか会議
佐藤 雅彦 竹中 平蔵
日本経済新聞社 (2002/09)
売り上げランキング: 3,705
在庫切れ
おすすめ度の平均: 4.46
5 感想は、本のタイトル
4 気楽で楽しい
3 身近な言葉で語る経済


自分がファイナンスというか経済一般に関する知識に乏しいと最近身にしみてわかってきたので、半年ほど経済関係の本も読んでいこう。というわけで手始めの一冊。

絶妙にわかりやすい素朴な経済に関する疑問を今は大臣である竹中平蔵氏がこれまたわかりやすく説明する。という趣旨の本。ぶっちゃけ、経済関係の初歩として大まかな流れや考え方をつかむにはわかりやすい、と思う。

多分、平易にわかりやすく説明するために竹中氏は極端な事例を持ち出したり、おそらく背後にあるだろうドロドロとした事情をはしょったりしているんだろうな、と思われるところもあるのだけれど、「株式会社って誰のもの?」っていう恐ろしく初歩的なんだけど、答える人の経済に関する哲学とかスタンスとか、見方が問われるようなことも、株式会社そのものの成り立ちから説明するので非常にわかりやすい。

ここから先を知りたかったり学びたかったりする場合は、個々に専門的な内容になるだろうし、そういう意味ではわからないことがあれば、そのつどこの本に戻って原則を踏まえることができるんじゃないかな、とそんな本でした。

お勧めです。

多分、きっと、あの頃は。

えー、フリューゲルス、五輪代表で活躍した前園が引退とのこと。"http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/japan/headlines/20050519-00020361-jij-spo.html">
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/japan/headlines/20050519-00020361-jij-spo.html


うーむ。あの迸るような情熱を持て余し気味にギラギラさせて、相手DFを切り裂いたドリブルが懐かしい。

当時、自分も今ほどスレてはいないサッカー好きだったし、
同世代ということもあって本当にアトランタ五輪日本代表チームには心の底から応援していた。

その後のシドニー世代とは異なって、ユースなどでの実績はなく「世界の扉を開く」のが目的だったとしても、いや、
そうであるがゆえに希望を抱いていた。

選手は粒ぞろいで、前園、城、小倉(嗚呼・・・)、伊東、服部、田中誠、川口らを筆頭にこいつらならやってくれると信じられたのだ。
そして最後に若手のジョーカー、中田がいたのだから。

シャーアラームでサウジのDFの中央を鮮やかなワン・ツーとドリブル突破で切り刻み、ゴールを結びつけたシーンを思い出す。



あの頃はすべてが何もかも幼すぎた。選手も周囲も、ファンも、マスコミも。

前園が大成しなかった理由も、彼の精神を正しく導く者がいなかった一因もあるかもしれない。もし、
スペインに移籍できていたらどうなっていただろうかと思うときもある。今、
ヴェルディを指揮しているアルディレスのような監督にも出会わなかったのも痛かったかもしれない。
沢登がアルディレスの手によって再生したかのように、前園も必要なときに必要な監督などが周囲にいれば・・・と思ってしまうのだ。そして、
最後にはイタリアのゾラのような選手になれたかもしれないのに・・・といらぬ妄想を抱いてしまう。



その後、日本サッカーはフランスW杯予選をめぐる七転八倒の日々を送って実力を得て、これまた気難しい才気走ったフランス人監督と、
これまた運よくアトランタ世代以上の粒ぞろいがそろった黄金世代を中核にリアリズムを身に付け、
いまやブラジル人監督の下でよせばいいのにニヒリズムを体得しているような気がしているのだが(w そこに至る前に、前園という、
一瞬のとんでもない輝きを見せた選手がいたのを忘れることはできない。


ありがとう、ゾノ。



2005年5月16日月曜日

「交渉人真下正義」を見る。

週末、予め購入しておいたチケットで見てきました。オフィシャルサイトはこちら

「踊る・・・」のスピンアウト、というよりはまぁ、いかりやさん亡き後、3は無理目だろうから、その周辺ものを攻める(2の前にもその話は出ていたしね)ということで、その筆頭は、ユースケ・サンタマリア演じる真下が主人公で、東京全域を舞台に姿の見えない犯人と交渉を繰り広げる・・・という形となったのですが。

まぁ、2時間尺(実際はもうちょっとあるのだけど)のサスペンスものをTVではなく映画で見たな。というところ。いや、ハズレではなかった。非常にノリノリだった。「踊る」シリーズを見る視点さえ外さなければ十分に面白い(逆にそういう視点が必要になったという点では憂慮すべきだが)。

交渉人というと、ケビン・スペイシー、サミュエル・ジャクソンの傑作サスペンスでの丁々発止、味方と敵が入り混じった中での心理戦を思い浮かべるのだろうけれど、さすがに真下というキャラでそこまでは深くは突っ込めなかったのか(何しろ彼は恋人との交渉すら満足に行えないと部下に揶揄されるのだから!(w)、どちらかとうと、真下+その周辺のキャラによる捜査網。という形で演出が行われている。本音を言えばもう少し犯人側との行き詰る交渉、信頼、そして譲歩などを引き出すあたりを演出してくれればよかったのだが、とは思うのだが。
(そういった意味で、例えば犯人との交渉時に瞬く間にデータベースから関連するキーワードを持ち出してくる当りの演出だって、もう一ひねり欲しかったのだけれど)
時節柄、非常にまずいタイミングでまずいネタを取り扱ったこの映画で、ヒヤヒヤしていたのだし、あの現実感ゼロのフリートレイン「クモ」も、なんだかなーとは思いますが。

とはいえ、「気楽な」面白さは変わらず。
いままでの「踊る」シリーズでは異色のドカジャン+グラサン姿のどーみてもヤクザもんにしか見えない捜査一課の木島(いや、いい味出してますよ、俳優の寺島進! ぜひ、踊る3があれば、青島や室井と組ませてみたい乱暴なキャラだと思いますが)、爆弾処理班のチーム一同など新しいキャラを投入しているほか、あいかわらず「リンク」、すなわち今までの作品との関連性をあちこちのガジェットで提示してみたりもしています。
SATの真島隊長以下、「不幸を呼ぶ」カエル急便、「スタトレ風」な親父、ボクシング・トレーナー、青島が以前勤めていたシンバシ・マイクロシステムズ社とか、もう、あちこちに。

そういったわけで、「踊る」がすきな人なら見て損はないはず。見ていない人はテレビシリーズからどうぞ。という形でしょう。
さて、次の「容疑者室井慎次」も期待していいんじゃないかと思います。

2005年5月5日木曜日

"the influence" 「ペリーヌ物語」

ペリーヌ物語(1)
ペリーヌ物語(1)
posted with amazlet at 05.05.04
バンダイビジュアル (2000/03/25)
売り上げランキング: 17,833
通常10~11日以内に発送
おすすめ度の平均: 5
5 マイナーとは言いたくない
5 隠れた「名作」
5 静かで深い感動


��W進行なので、ちょっと肩の力を抜いて・・・。
自分がいままでの中で気に入って、影響を受けたものをちょっと取り上げてみようかと。

まずはこれ。「ペリーヌ物語」。恥ずかしながらDVDまで買って、一年に一度は見てしまうほど激ハマリの作品。
もともとは名作劇場ものなのだけれど、あまり知られていないが、まぁネットでは高い評価を得ていたりしている。

知らない人は多いかもしれない。レンタルDVD屋でも滅多に並んでないからなぁ・・・「ラスカル」とかもいいかもしれないが、自分にとっての名作劇場は「ペリーヌ物語」以外にはない。そのぐらい、ハマっていますが。何しろ原作が絶版だということで、「復刊ドットコム」にまで投票して、旧カナ使いとは言え原作の「家なき娘」(それも岩波だよ!)をゲットしたときは嬉しかったなぁ。今は新訳がありますので、いいのですが(w

ストーリーはいたってシンプル。フランスでも一ニを争う織物工場の跡取り息子を父親に持つペリーヌ(母親はインド人で、まぁハーフというわけですな)だったが、家族揃ってフランスの故郷へ戻ろうとしたところボスニアで父親が客死してしまう(アニメ版はストーリーがここからスタート)。そこから母親と二人っきりでパリの北にある祖父が住むマロクールへ向かう予定が元々身体が強くない母親がパリにはいってからは体調を崩し・・・(まぁ、原作はここからスタート)というわけで、もう名作劇場の王道とも言えるストーリー展開だと思います。

しかし、「ペリーヌ物語」がそこいらの物語と違うと思うのは、そこから。

ペリーヌは決して自分の境遇に甘えたりすることなく、サバイバルみたいなことをやらかしながらも「自分の力」で、必要なもの(例えば服とか靴とか)を作り、そして自分を疎んでいる祖父に自分の本名を明かさず、祖父の信頼を勝ち得ていくわけですね。
マロクールについて祖父の工場へ身分を隠して働くと、トロッコ押しの端役から、英語が喋れることが知れ(ほら、インド生まれで母親もインド人ですから)、臨時の通訳となり、馬も扱えるので御者となり、祖父の個人秘書となり、献身的に(年老い、目も不自由で頑固な)祖父に尽くす。祖父もその献身的な姿を見てペリーヌを信頼するようになる(個人的に、ペリーヌが秘書に昇格し、服を買うよう申し付けるあたりの台詞とやり取りが好きですよ。「お前がどのような服を選ぶか、周囲の評価を見て儂はお前がどういう人となりかを判断させてもらう」という厳しさと、その後でのやり取りのあと、「もっと高い服を買っても良かったのに」と一番安く、そして控え目な(秘書ですから)服を選んだペリーヌへの不器用な心遣いなど)。

そしてクライマックスの49話。弁護士のフィリップ先生の芝居がかったやり取りは、星里もちるさんの「危険がうウォーキング」(いや、これも影響受けた作品なのだけれど)でもネタにされてましたっけ。いや、最初このネタがわからず、再放送だった(ペリーヌ物語を始めて)見て「これかーっ!」と頭の回路が繋がったのですけれど。
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「パリではパリカールにあってきましたよ」
「まぁ、パリカールに!?」
「そう、あとあの男のような格好をした・・・」
「ルクリ叔母さん!」
「――これで調査は終了しました、ビルフラン様・・・」
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から続く一連の名シーン(そらで書いているが、ハズしてはいないはず)はもう、通して見ると涙なくしては見れません。はい。
その後、数話をかけて語られるエピローグも素敵なものです。ペリーヌを支えてきた人達に対するお礼、それまであまり省みること無かった工場の工員に対しての福利厚生(原作の時代背景からか、社会主義的な色合いも見れるのだけれど)、祖父ビルフランの目が元通りになることなどなど。

この「ペリーヌ物語」では、ちゃんと主人公が両手両足を動かし、機転を利かし、思慮を巡らし、優しさを見せる。そのため、意地悪い登場人物二人も最後には改心するのか、心をほだされることになる(かは微妙かなぁ?)。
その結果としての大円団であり、いきなりふって沸いたかのようなラッキーで金持ちになったりはしないのです。ええ、けっして!

そんなわけで、ちょっと大きめのレンタルビデオ店にいけば、ビデオかDVDはあるかもしれないので、未見の人は是非とも見てもらいたい作品です。そんな時間ねーよ!という方は、あまりオススメしませんが、パリ編から見ても話は十分納得できます(17話あたりからです)。自分はもっぱら繰返して見るときはマロクールについてから(27話あたり)見てしまうんですよ、これがまた・・・。

さて、最後に「ペリーヌ物語」のファンサイトの紹介をしておきます。→「ペリーヌ物語の部屋
ここよりはもっと(当然ですが)懇切丁寧に色々と紹介してくれています。自分も原作本を探していたときは重宝しました。