2010年6月28日月曜日

WORLD WAR Z

WORLD WAR Z
WORLD WAR Zマックス・ブルックス 浜野アキオ

文藝春秋 2010-04
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おすすめ平均 star
star醜と美のコントラスト
star史上最大の(ゾンビ)作戦か
starドキュメンタリー好きにはお勧めです

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中国奥地で謎の伝染病が広がる。亡くなった人間が再び蘇るというのだ。リヴィング・デッド、すなわちゾンビの誕生である。まだエピデミック(地域拡散)の段階ではあるもののひた隠しにする中国政府ではあったが、その余波は世界各地に現れる。そして南アフリカから唐突にアウトブレイクする。それは世界各地に広がり、世界はZ(ゾンビ)大戦を戦い始めることになった。それは過酷で陰惨で、そして大きな傷跡を人類に残すことになる。
終戦後、筆者は世界各地に残る戦争体験者に当時のことをインタビューして聞いて回ることになった。これは「Z大戦」のルポルタージュである...。

というわけで、ゾンビモノです。いやー、正直自分こういうホラー系テイストの作品はちょっと苦手なので回避していたのですが、この物語、多数の話に成り立つ物語、というわけでいろいろ面白いエピソードがあちこちにあるんですよね。っていうか、日本がいきなり小松左京の「復活の日」、あるいは「日本沈没」を彷彿とさせる民族大移動をかましていたり、一方で「盾の会」(そう市ヶ谷の駐屯地で演説ぶったあの人の組織です)なるミリシア?的組織が設立されたりとまぁ、いろいろ「おおっ?」というネタがてんこ盛りでした。

まぁ、ハリウッドで映画化するようなのでそれを楽しみしてもいいのかなー。


2010年6月27日日曜日

ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり

ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈1〉接触編
ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈1〉接触編柳内 たくみ

アルファポリス 2010-04
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おすすめ平均 star
starふと本屋で見つけて買ってみた
starファンタジーとミリの組み合わせに抵抗感がないなら超お勧め
star元自が読むと思わずニャリとできる内容

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銀座に突如開いた門(ゲート)。そこから出てきたのは「ど」がつくほどファンタジーな存在。ゴブリン、オーク、そして騎士達。彼らは無辜の人々を襲いだし多数の被害者を出すはめになった。
...事件が解決したあと、日本国は門の向こう側に自衛隊を送り込むことを決意する。どのような不規則な事態があるかわからないため、向こう側の情勢を知るためという名目で三個連隊戦闘団(CT)規模の隊が送り込まれることになったのである。門の向こう側に出た自衛隊はそそくさと野戦陣地を作ることになる。
日本政府呼称するところの「門の向こう側」=特地の存在に色めき立つ諸外国。何しろその特地とは文明レベルが隔絶しているだけではなく手付かずの天然資源の山だったのだから無理もない。一方の日本(自衛隊)も頭が痛い。広大な土地を制圧するほどの兵力は無く、目的はいまだはっきりしない事件の首謀者を特定し、交渉のテーブルに付かせ、しかるべく謝罪と賠償を求めるにはきっかけがない。というわけで複数の偵察隊が組織され送り込まれることになった。その中の一隊の指揮官に「食う寝る遊ぶ、その合間にほんのちょっと人生」を公言してはばからないオタク自衛官、伊丹がいた。
はてさて、この「ど」がつくほどファンタジーな世界で自衛隊はいかにして戦うのか?

...まぁ、あれですね、たぶんあれだ、2ch軍事板の「自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた」スレがネタ元か?と思わないわけでもないです。翼竜相手に火を噴く87式自走高射機関砲"スカイシューター"はともかく、M42高射機関砲(あれ、一応アメリカに返還されちゃってますけどね)、エリコンL90(こちらも用廃処分で廃棄です)みたいな骨董品を持ちこんでいるという設定は、なんというか、燃えるというかあきれるというかw
あちこちに30代以上のオタク系趣味の持ち主ならクスリと笑うようなネタがあちこちにあるんですが、まぁ、そこはなんというか、ねぇ。
一番頭が痛いのは、ちょっと経験値を積みたいばかりに出撃を求める各戦闘団指揮官とかのあたりですか。空中機動旅団的なヘリを中心とした部隊でわざわざご丁寧にコンポとスピーカーを載せて、ベルリン・フィルの「ワルキューレの騎行」まで準備しています!とか言い出す部下に「パーフェクトだ」と答える指揮官。その様子を見てこいつらキルゴア中佐の霊でも取りつかれているのかと悩む総指揮官とか、まぁ、なんというかダメな自衛隊です。いや、そういうダメなところ以外に生真面目すぎるほどの野戦築城とかいうネタもあるんですが、まぁ、枝葉の話はおいといて。

何しろドがつくほど定番ネタが多いですからね汗; 金髪のハイ・エルフ、プラチナブロンドのわりと無口な天才少女。なぜか?ゴスロリ風味の齢...才の神様少女などなど。よくまぁこんなネタで...とおもわんばかりの話。そこにスーダラ自衛官の伊丹が絡むというわけで物語後半、伊丹の意外な過去を明かされるあたりで「ええー」ということ間違いないでしょうが、それを忌々しげに語る者達もヒドイというかw

本当に、ど直球なオタク向け自衛隊ネタ&ファンタジーのノリです。まぁ、それでも良いならおすすめかも。いや、自分はきっと好きですよ、ええまぁ(苦笑)。


2010年6月17日木曜日

闇を飼いならすこと。

いい言葉だったのでblogにも書いておく。

@hiranokohta: 嫉妬はガソリン。劣等感は弾薬。無いと戦えないが、超危険物なので取扱いミスっても、許容量超えて備蓄しすぎても自爆して死ぬ。


ヒラコー(平野耕太)さんはこれだからあなどれない。っていうか、普段あんなはっちゃけてるわりにガツンといい言葉をつむぐんだものなぁ。

サッカー界隈の湯浅健二さんも書いているように、何かを成すときに<負のエネルギー>というかダークサイドのパワーも使うことが必要になるときはあるんですね。
まぁ、それも使い方を間違えると自爆したり相手を巻き込んだりとひどいときもあるのですが。

飼いならすこと、というのは不適当ですが、己の暗黒面を見据えておくことも必要ですよね。リア充妬む暇があるなら、どっちの方向へ向かうか(そのフィールドへ突入するか、己の道を突き進むか)決めるときも必要なこともあるでしょう。

ま、メモとして。

2010年6月15日火曜日

7年の旅路の果てに。

6/13日の夜はなんの予定も入れず、部屋でちょっと先行して祝杯を飲みつつ、<はやぶさ>の帰還シークエンスを追いかける。

・7時ぐらいに大気圏突入カプセルを切り離し。

・「な、泣かせるな!? 泣かせるなよ、そんなことで!」とつぶやきたくなる素敵な漫画をみてほろり。

・前々日あたりのインタビューで最後に地球の姿を写真に収めたい。と言っていたよね。擬人化するなんてキモいといわれそうだけど、みんなの思いがこもれば魂が宿るって日本じゃ付喪神(これすら変換できないIMEは爆発しろ)がいるんだし、まぁ、いいんじゃないの?

・実際、それはいいけどカメラのある下面をどうやって地球に向けるんだ? もう、姿勢制御用の化学ロケットはないし...と思っていたら、またもや<はやぶさ>スタッフの超絶技巧発揮でイオンエンジンのキセノン噴射による姿勢制御らしい。お見事。

・それはともかく、Ustは途切れ途切れ。ニコ生で見ようと思って待機してたら生放送直前からおかしくなって、何度クリックしてもはじかれてNice Boatの動画をみる羽目に。おおい、俺、もうニコニコプレミアムに入って2年たっているけどこの仕打ちはあんまりだ。Ust、ニコ生のクリック、管制室のライブ映像をタブでひっきりなしに切替ながら、その時間をまつ。

・途切れ途切れのUstの動画で、<はやぶさ>の最後の輝きをなんとか見れて、一安心。

・その後、YoutubeなどでHD画質の再突入シーンを見る。わずかに先行した突入カプセルを追いかけるように、鮮やかな光のひとつひとつとなって消えていく<はやぶさ>の姿は、なんていうか、その、はかなさを感じさせるよね。

・っていうか、生放送で中継しようよ。と思うけど、へんに地上波だとバラエティ番組ぽくなって若手芸人がひな壇に登って訳知り顔で語られても願い下げだし。失敗のリスクもあるからTV放送は難しいよね。

・とはいえその一方でニコ生で15万人に達した人たちに満足なサービスを提供できないネットインフラってのもまだまだリスクが高いよねと思うわけで。いや、尻Pこと野尻さんが瞬く間に<はやぶさ>のカプセルが発するビーコン信号をキャッチしてたのはさすがとうなりましたが。

・写真撮影に失敗した模様だ。というニュースのあと、どうやら最後の一枚だけ、それも途中で信号が途絶した画像データが公開される。4年近く動かしてなかったカメラがすんなり立ち上がって画像を撮影して信号を届けるなんてなんて律儀なやつめ。

・ともかく、7年間の旅が終わってよかったね。と心からそう言いたい。

おかえりなさい。そしてお疲れ様。<はやぶさ>。

そして<はやぶさ>計画の川口PM以下皆々様、本当にご苦労さまでした。。
貴方たちの不屈の意思と技術的アプローチの正しさがこの苦難の旅を成功に導いたのだと思います。

さて...はやぶさ2、はやぶさマーク2計画へと続くことを心から祈ります。はい。

2010年6月12日土曜日

神様のメモ帳(1~5) / 杉井 光

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今更ながら周囲のblogなどで取り上げられていたこともあり読んでみたのが運のツキ。
あれよあれよという間に5巻まで一気読みしてしまいました。

この手の探偵モノはやはり少々愚鈍といわれようともワトスン役が物語を牽引するものと相場がきまっているわけで、この話も同様にニート探偵アリスに振り回されつつもナルミが最終的には物語を牽引するという形になっています。

まぁ、この話、登場人物のズレっぷりを楽しむのがいいのかなぁ。どことなく全員社会不適合者だからなぁ(苦笑)。しかし、ミステリーとしても面白く、不器用な連中の不器用なぶつかり合いが話としていいのですよ。

というわけで読了記録として。


2010年6月2日水曜日

20100602のメモ

#人と人との縁
先にReview的に書いた「ルワンダ中央銀行総裁日記」。あれこれとあれからサイトをめぐっていたら、筆者の長女(上記の本によると一緒にルワンダで過ごされていた様子ですね)が映画「ホテル・ルワンダ」公開に動いていた方と知る。なるほど。現在、翻訳家として活動されていて、BD(バンドデシネ)の翻訳などを担当されている方でした。また巻末における増補2.の経済的評論は女史の夫にあたる方だとか。
で、さらにびっくりしたのは阿川弘之氏が「暗い波濤」の登場人物として筆者である服部氏をモデルとしていたというエピソードがあるとか。いやはや、人と人とのつながりって面白いなぁ。


#ちょっと読むと興味深いかも。
大石先生のメルマガでふむと思ったので「コンバットマガジン」を読む。あまりエアガン属性はないので数年来離れていたけど、いろいろアフガン戦での苦労が読めるので興味ある方は読んでみたほうがいいかも。

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確かに米軍が新規採用した迷彩服はパネェなぁ。マルチカムですか。あれ、写真でアップされているからわかるけど、50mとか離れたら目をこらさないとわからないほどです。

しかしまぁ、話の本筋はそんなところではなく記者が伝えるアフガン戦線の過酷さですよ。
記者が行くのも一苦労。何しろ.50の狙撃もあるらしくヘリが上空から急降下でランディング(たらたら降りない)するわ、パトロールの話にいたっては20km先のパトロール先へ向かうのに一晩かかるんですよ。ちょっと、どんだけ混乱しているのよと。移動中にもIEDもあれば、攻撃も受けてヘリのサポート受けたりF-16の攻撃支援を受けたりの苦労。
あげくに記者は実際に攻撃を受けて負傷するんですよね。同乗していた兵士も一人死亡、ほかにも重傷者が出る。こりゃ自衛隊のヘリだけじゃなくて地上部隊出してたらボディバック(死体袋)に中身を入れて持ち帰る羽目になったのは確実だろうと思いますね。ヘリでもあやういかも。

山岳地帯だから見通しがよくないため狙撃兵で監視もしたりしているんですが、こんなの制圧なんて難しいですよ。どうすりゃいいんですかね。見通しは遠いですよ。終わりが見えませんからね。おまけに暖冬らしく戦闘は継続中だとか。うーむ・・・。

あとはカナダ軍のレオ2ですか。C-2から2A6に変えてなおスラット装甲つけているって話は聞いてましたけど、砲塔ハッチ直上に天蓋つけてるんですよね。ハッチを閉めたりすることの悪影響を軽減(車内の排気かな?)するとか。狙撃兵対策半分もあるんでしょうね。へー、こういうのもありかと。

いろいろな意味で興味深い記事でした。お勧めはしませんが興味がある人は読んでみてもいいかも。
アフガンの平和はまだまだ遠いですね・・・。

あ、同じくおんなじ系統の本も読んでいたら、自衛隊も車両のデジタル迷彩にチャレンジしてたんですね。どうも水性塗料を塗ってたけど後処理が面倒だから、マグネットシートを張ってその上に塗装したとか。ナイスアイデア。いっそそのままカラー付マグネットシートを張り合わせてデジタル迷彩でもいいんじゃないかと思いますね。


2010年6月1日火曜日

映画「グリーンゾーン」 自己批判の道はまだまだ険しい

ま、なんですか。見終わってから「しまった、これなら「パリより愛をこめて」のほうがよかった」orzと思ったんですが、どうしよう、この映画。

・例によって例のごとく翻訳が戸田さんなので、英文聞いて自己変換が必要。
 「装甲車を持ってこい」...「ハンヴィをまわせ」でいいんじゃね。発音ちゃんとハンヴィって言ってるよ?

・冒頭30分で話の筋が読めたが、ななめ下の展開でズッこけたのは内緒(この話、のちほど)

・実はもっとバッドなエンディングだと思ってました(この話、のちほど)

・冒頭、狙撃兵の立てこもる塔への突入シーンがあるんだけど、うーん、それならヘリ呼んでフッ飛ばしたほうが?とか思う自分はCod:Mw厨です・・・。

・結局トホホなお話だが、アメリカにとってイラク戦争の大義を喪失していることの証左でもあるんだよなぁと思ってみていたり。ハート・ロッカーもそうだったけど、今は本当に内向き。ベトナム戦戦争直後とはまたありようが違うというか、なんというか、ねぇ。

・っていうか反省の矛先はマスコミにも向かっているんだけど、総じて弱い。事の深刻さがまるで他人事。これで反米云々とか言われるならかわいいもの。

・さらにいえば、イラクにおいてはスンニー派とシーア派の対立が主体でクルド人問題はアメリカにとっても触れたくない話だろうに、なに並列で扱ってんのよ。とか思ってもみたり。

・個人的にB級ボンクラ映画的ランクでもちょっとドンヨリ系な扱いです。
 マット・デイモン出るならもう少しこうなんていうの、ドンパチしようよ。
 (いや、ボーンシリーズじゃないんだけどさ)






(以下、完全ネタばれ時空かつ妄想全開)






・や、結局のところアメリカでの占領後プランがgdgdであることを自分たちでとどめさしちゃったような話なんですよ。国防総省とCIAの内ゲバでもあるし。
・びっくりしたのが諸悪の根源みたいなCIAがわりとマトモな扱い。でも大してストーリーに絡んでない。
・正直、あのストーリー展開で主人公が生きているのがおかしい。これでマット・デイモンが演じるMET部隊の隊長がラストシーンでIEDで爆破死亡だなとか思ってましたから。
・結論からいうとシナリオ、結構改変されたんじゃないかなぁと。ハリウッド映画シナリオにしてみるとどうも腰砕け感が大きいです。いくら史実を逸脱できないとはいえ、どうもシーンをばっさり削られた感が強い。何かあったのかな。

・もっとなんていうか、どんより系ならどんより系に突っ走れよ!とか見ていて思ったり。



つまりこんなカンジのストーリー(一部映画準拠で途中から妄想モード)でどうだろう。
(色は反転しています)


・イラクの将軍がアメリカ国防総省の高官とつながっている。→将軍はフセインの失脚を狙って、国防総省(政府筋)は9.11の矛先をイラクに向けるために結託。ありもしない大量破壊兵器をでっちあげて戦端を決意。そこである密約を交わす。
・将軍指揮下のイラク軍はアメリカ軍侵攻に対して主力をぶつけることなくイラク南部方面に展開。指揮ラインはそのままであちこちに潜伏することに。
・国防総省はありもしない大量破壊兵器の捜索を命じつつ、将軍を口封じするため行方を探る。国防総省のプランは将軍の身柄を生死を問わず覚悟したうえで大量破壊兵器を「発見」し、戦争の大義を確立するのが目的。
・将軍はアメリカの意図を読んでおり、国内の勢力を掌握。イラク暫定政府に自分、あるいは自分の配下を送り込み勢力を確保したい。将軍の手で事前に生物化学兵器工場とその兵器を隠匿したという情報を流す。焦りだす国防総省筋。CIAはその動きを察知する。
・主人公率いるMET捜索チームは空振りばかりで苛立ちが募る。どうも上層からの指示で空振りばかりだということを悟る。その途中、不審なイラク人を追跡することになる。元イラク軍軍人将官だったらしく彼の抵抗で射殺したとき、身元を確かめている最中あやしげな手帳を手に入れる。
・大量破壊兵器は本当はないはずなんだけど実はある...かもしれない。そのことを科書き残したのが冒頭に将軍が書き残した手帳。(ところが作中では単純に将軍の潜伏先リストでズッこけた)CIAはその有無を調べるため、国防総省は手帳の存在を帳消しにしたい。そこに国防総省との取引が書いてあるとディス・インフォメーションの証拠だから。
・手帳には、国防総省が最後にでっち上げる化学兵器工場のポイントが記されていることを、CIAから主人公はしらされる(ただし、本物だと信じているしCIAには渡していない)。
・CIAは主人公に国防総省のでっち上げの可能性を知らせ協力するように要請。イラクに対するスタンスは自治はその国の国民が行うべきというスタンス。すこしだけ共感する主人公。
・とはいえCIAはイラクの治安についてアメリカ兵士を使うのではなくイラク人主体の兵士を使うのが目的。"睨まれるのはイラク人のほうがいい"
・CIAに手帳を差し出す。しかしその手帳は控えで、ポイントが数箇所に分かれていた。
・将軍はグリーンゾーンに対してこの化学兵器を使わせると国防総省に通達。顔色を変える国防総省高官。ただしブラフでわが身と配下の兵士の身の安全を確保するためだった。
・イラク軍残党とアメリカ軍内部での大量破壊兵器をめぐって三つ巴の争奪戦が繰り広げられる。協力したイラク人はイラン・イラク戦争以後、化学兵器使用のため余命いくばくもない不遇をかこったイラク軍軍人、としておこう。
・CIAのバックアップもあり主人公が大量破壊兵器のケースを手に入れる。その過程で化学工場には何もないしケースもフェイクだということがわかる。将軍は混乱のさなかに協力した元イラク士官の手にかかり死亡。イラク士官も死亡。士官は死の間際主人公に「これでこの国は国民のものだ」という。
・将軍の懐から出てきた密約を示す資料は最後に国防総省が大統領令で取り上げられる。
・大規模な戦闘があったことが国防総省から発表される。その場所は工場の名前であり、現在大量破壊兵器の捜索中であると高官が告げる。
・その後国防総省高官はフセイン逮捕を発表。ただし高官は発表の直後更迭されるがその事実はフセイン逮捕のドタバタで報じられない。
・実はその手帳に書かれた工場の名前は符号であり、イラク軍残党がIED爆破攻撃を実行するためのシグナルだった。イラク戦争はより混迷を深めることに。
・CIAの忠告を無視して報告をマスコミと協力した記者に流す主人公だが、マスコミはこれを圧殺。記者は会社を辞め、独立ジャーナリストとして真実を告げようと主人公に告げようとするが、彼と一足違いですれ違うことに。
・CIAはあるところへ電話をかける。
・マスコミから黙殺されたことを知らず任務に出た主人公たちの向かったさきでIEDの爆発シーンでEND

...うわ、救いのねぇ展開だなと自分でも思いますね。


20100601のメモ。

このサイト、movabletype 4.12なんですけどいろいろとやっつけ仕事で作ったのであちこちにトラブルあるんですよね...。というわけで近々見直しして、MT5.02あたりにしようか、ちがうのにしようかと考えてます。

一応見直しに伴い万が一の場合は、「はてな」で新規作成か「nifty」にそのままにしてあるblogに継続する予定ではあります。つぎはもっとシンプルにしたいな...。

以下、ちょっとしたメモ。

#えっ、まだ配備してなかったんだ。
毎度お世話になっています井上@kojii.netから。ドイツでティーガー対戦車ヘリに不具合が生じたという話で、「へっ?」となった。あれ、たしか2000年前後に飛行していたんじゃなかったっけ。とざっとネットをチェック。ドイツ版のUHTは2005年から導入スタートしているらしいけど、120機(100機に減産?)のうちすでに導入済みなのは11機だけ。って、どんな導入ペースなんだ? 初期低率導入とかそういうネタじゃないのか。
あと目新しいのはUAEがC-17、2機を導入したとのこと(ええー?)あんなデカブツ、何に使うんだろうか。それもわずか2機。うーん...。あとあいも変わらずKC-Xはごたごたつづき。いいのかね。

#以下購入物
reviewは後ほど。
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��別エントリにはしないでざっと書くことに。
軍事板FAQからで知ったネタ。ちょっと興味がわいたので調べてみた。
http://mltr.ganriki.net/unc0003k.html#21475
-----------------------------
 関係者が語りたくない特攻作戦の典型例は,陸軍最初の航空特攻だろう.
 志願ではなく命令で編成された部隊で,隊長は体当たり攻撃反対の意見書を出した人物.
 特攻専用に改造された機体で装備した部隊が編成されたのは,大西が特攻を決断したといわれる日より前なのだから.
 実際の特攻作戦でも,隊員の一人は体当たりせずに投弾してから生還しており,悪運の強い彼は,この後何度も特攻出撃しても,必ず投弾してから生還しており,ついには終戦後,日本に復員してしまった.
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調べてみた。
出典はwikipediaなどから。
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陸軍の最初の特攻隊の編成は鉾田、浜松教導飛行師団の腕利きを集めて行われた。鉾田の九九双軽は 26日にフィリピンに到着後万朶隊と名づけられた後、初出撃を待つが11月5日、第4航空軍の命令で作戦打ち合わせに向かった隊長の岩本益臣大尉以下5名が米戦闘機と遭遇し戦死。浜松の四式重爆はフィリピンに到着後富嶽隊と命名され、こちらも待機していたが11月7日早朝、初出撃した。しかしこの出撃は空振りに終わり、山本中尉機が未帰還。山本機は未確認ながらも突入したと推定されている。富嶽隊は13日に、隊長西尾常三郎少佐以下6名が米機動部隊に突入して戦死(戦果未確認)。残った富嶽隊、万朶隊はその後順次出撃し、万朶隊の佐々木友治伍長が戦後復員しただけで、ほかは全滅した
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--------------------
萬朶隊は5日、マニラの第四航空軍司令部での壮行式出席のため空路移動中に輸送機が撃墜、隊長始め将校全員を失っており、下士官のみ 99式双発爆撃機5機で出撃した(1機は途中帰還)。大本営が戦死を発表した佐々木友治伍長だけは、岩本隊長の生前の命令に従って、体当たりを行わず、輸送船に爆弾を投下、ミンダナオ島カガヤンに不時着、生還した。
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http://www10.ocn.ne.jp/~kuushuu/d191113.html

ふむ。岩本隊長とは、岩本益臣大尉のこと。岩本益臣大尉についての経歴はこちらで確認。
--------------------
彼は「跳飛爆撃」(魚雷は海面下に沈んで進行するが、爆弾を海面下に沈ませずに石の水切りのような形で進行させ敵艦船を攻撃する方法)の我が国第一人者であった。彼は技術的に体当たり効果がないことを知っており、かつ陸軍首脳部、特に特攻提案幹部に対する反発があった。また優秀な部下を犬死にさせるのにしのびなかった。「隊長として死ぬまで特攻攻撃の暴挙に反対して戦死」といわれている。決して死を恐れたわけではない。
体当たり特攻の研究提案者は第3陸軍航空技術研究所所長正木博少将で一機一艦撃沈の正木論が正当化されていた。
--------------------
http://www.city.buzen.fukuoka.jp/jinbutsu/iwamoto/iwamoto.htm

万朶隊のその後については以下のとおり。
http://www.geocities.jp/buzensakai/reki/banda.htm
都合十回のうち、八回(!)も特攻を命じられた佐々木友治伍長は機材の不調により失敗が三回。随伴した戦闘機隊隊長の(おそらくは彼に同情的だったため)判断により引き返したのが一回。それ以外の五回は成功・不成功に係らず攻撃を続行したようですね。
(もう戦死報告が上層部に上がっており、あの富永中将とか色々な人から「死ね」とか言われたなんというか、不幸だけど不屈の人です)

まぁ、なんていうかいろいろとどんよりくる話です。


「まおゆう」のあの丘の向こう側とは...メモとして。

さて、ちょっとこれから先は「まおゆう」が指し示した後の話。
その前のエントリ>>「光と闇。「ルワンダ中央銀行総裁日記」

単なる小説だからそうガチに考えることはねーよ。という突っ込みを自らしておいて話を続けましょう。


物語を読みきったあと、うんうんよかったねーと思いながら数日たって物語世界を考えると「いやまて」ととまってしまいした。「まおゆう」物語世界で今後あの国々がどうなっていくのか、現実世界でおきた歴史を考えるとあまりいい光景を思い描けなかったからです。

国家がまとまるのは外敵の存在です。何らかのわかりやすい「敵」が必要なのです。「敵」というのが不穏当であれば「目標」でもかいません。なんらかの形でこの「敵」あるいは「目標」に折り合いがついたとき、ひと時の平穏がもたらされます。

一世代は大丈夫。二世代目は持てばなんとか。三代目持ったら歴史的偉業といわざるをえません。
(忘れてはいけませんが、戦前日本と戦後日本が分断していると考えればまだ一世代がようやく終わろうとしているに過ぎていないんですよ!)
あの物語世界はうまくまとまりましたけど、現実的には次に商人のアンバランスさとかが出てきそうだなぁとか思うわけですよ。ま、そういう想像ができるほどにいい物語だったわけですが。(以前、テレメア戦記でも触れましたが)

とはいえ、だからといって丘を目指すことが無為なのか、意味がないのか、とかいうとそんなつもりは毛頭ないのです。だって、たどり着いた丘の向こうは日常なんですよ。日常になったからといって丘の向こう側が意味がなくなったわけではないし、目指したことが無駄であったとは限りません。

自分が「まおゆう」で見事だと感じ入ったのは、人と魔族双方が並立できるwin-winの関係を希望をもって築きえた。新たな世界と価値観の到来を犠牲を生じたものの作りえたという点です。そしてそこには魔王と勇者という二つの特異点だけが成したのではないという展開にも。

無論あの世界の中でも不遇な人は生じるでしょう。もうそれは致し方ない話ですが、そうであっても、そうしなかったよりは100倍はましな世界を提示できたのですから。

比較として不適当だとは思いますが銀河英雄伝説との対比として書いてみましょう。
銀英伝において五巻以降の物語後半は新帝国にとって対テロ、同盟残党掃討でしかないわけです。ラインハルトの個人的意固地の問題からイゼルローン攻防戦があり提督や人員を失うはめになったものの、あれも本来であれば人的交流を断ち切る長期戦を選んでおけばいいだけの話ですから(とヒルダが指摘するのも当然ですよね)。
ラインハルトはまさしく帝国の否定から始まり新たな帝国を作りえましたが、そこに恒久的な新しいビジョンはなかったわけです。旧帝国貴族の財産でしばらく国庫は安泰でしょうがその後はどうなるでしょうか。無論公平な税制に尽くすでしょうが、その一方でやはり貴族階級は形を変えて残っていくわけですから貴族と平民との差は生じていくでしょう。
またヤンがユリアンを通して残すことができた民主主義という理念は確かに帝国を立憲君主制に導くでしょうが、広大な帝国領域を果たして立憲君主制度で成立できるでしょうか。そこに国家に属する意識が存在しえるものにならなければ結局、地方単位でまとめる領制となることは目に見えてます(たしか軍制度改革について触れた話で軍管区制度のメリットデメリットにメックリンガーあたりが触れていたくだりがあったような)。

銀河英雄伝説という物語世界においては異文化との衝突ではなくあくまで同一文化でかつイデオロギー闘争の側面が強くでていたため、ああいう落としどころしかなかったのは重々承知しています。

「まおゆう」では、若干異なり異文化との衝突なわけです。人と魔族という異なる文化圏が成立できるという枠組みを作りえたわけです。そこでああいう物語として見事な風呂敷のたたみっぷりを読んでいい物語だと感心しているわけで、なにも現実がどうこうとかいうのはないんですが...あれは人類史の中世から近代に対する歩みをギュッと凝縮したものですから、人類が歩んできた異文化衝突の解消方法の一例なわけですよ。
(現実社会が正しい道筋を歩んできたわけではない。という指摘はまぁ、そりゃそうだろうというしかほかなりませんが、じゃ人間が過ちを犯さないで何かを成し遂げられるわけでもあるまいにと自分は思いますけどね)

ま、そういうわけでつらつらとメモとして。さて、ログ・ホライズンもいったんお休みとのことですから「まおゆう」若干熱が下がってきたからもう一度、ここでニュートラルに読み直そうかなぁ...。


光と闇。「ルワンダ中央銀行総裁日記」

あるときTwitterで流れた文章
「 まおゆう面白いとか言ってる人は「ルワンダ中央銀行総裁日記」読むべきだよねー http://bit.ly/9EOWWN


よろしい、では読んでみようじゃないか!

ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)
ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)
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ルワンダの長き道のり。
日銀出身の服部正也が、IMFの要請によって1965年、アフリカの小国ルワンダへ中央銀行総裁として赴くことから話はスタートする。当時のルワンダはアフリカでもっとも小さく貧しい国。少数民族ツチ族から多数派のフツ族による革命で王政を撤廃して民主政権へ移ったばかりの国だった。その中央銀行総裁の(外国人)前任者が病に倒れ、ほとんど職務につかないまま任地を離れることなり、服部が指名されることになった。つまりほとんど初代中央銀行総裁という役割。

首都キガリについた服部が見たのは財政赤字であえぐ一方、人材がいないルワンダの内情だった。
経済は正直言えば農業主体で、二重為替レートが存在しているのと一次生産品しか輸出品目がないこともあったりして貴重な外貨は流れ出す一方。宗主国系列の外国資本による銀行がひとつしかなかったり、外国人に優遇された税制などで税収は乏しくアンバランス。
IMFは一律の援助(通貨切り下げなどの条件)を提示するが、大体にして借りた借款などどう返せばいいのかのあてもない。技術系官僚が不足しているため教育もままならない。失礼ながらルワンダまで送られてくる人材は突き詰めていえば宗主国では職につけないレベルの者たちばかり。

中央銀行総裁(といっても十人程度の部下しかいません)になった服部は初代大統領カイパンダとの二人きりの面談でどういう国家にしたいのかという服部氏の問いにカイパンダ大統領はこう答えます。


私は革命、独立以来、ただルワンダの山々に住んでいるルワンダ人の自由と幸福を願ってきたし、独立ルワンダにおいては、ルワンダの山々に住むルワンダ人が昨日より今日の生活が豊かになり、今日よりは明日の生活が豊かになる希望がもて、さらには自分よりも自分の子供が豊かな生活ができるという期待を持てるようにしたいと考えている。私の考えているルワンダ人とは官吏などキガリに住む一部の人ではない。ルワンダの山々に住むルワンダの大衆なのである。


その言葉を受けて感銘を受けた氏は彼からの信頼を獲て、ルワンダの財政再建に取り掛かることに。

なんていうか以後服部氏が見せる政策や対応、交渉術などすべてがパワフル。明治のころから綿々とつながる日本を復興させた官僚集団、その良質さの発露というべきか。
ルワンダにすむ国民を豊かにするという意欲。
日本銀行のほか欧州で積み重ねた金融に対する知識。
綱渡りのようなルワンダ財政を落ち着かせるための技術(総裁でありながら自ら帳簿までつける勢い)。
そして、中央銀行総裁という役割だけではなくルワンダ全体の経済政策まで描き出すその見識。
ルワンダに必要なものが、為替レートの正常化(二重レートだと外国人が両替するだけで利益が生じますので)、公平な税制(少数の外国人に優遇された税制と収入の差が税収の少なさの原因のひとつ)、価格の自由化(外国資本系企業の独占価格や品目の固定がルワンダ国民を内向きな農家...つまり資本経済に程遠い状態にしていた...無論、米などの生活に必要な物資には上限額を導入)だと見抜くやさまざまな手立てをうちます。

本来であれば中央銀行の役割ではないことまで服部氏は踏み込み、ルワンダ人から内情を聞きだす一方で地元商人たちに対するコンサルタントまで行います。外国人商人たちがいうようにルワンダ人に商取引の能力が欠けているのではなくその機会がなかったのでは考えると、小額の貿易(最初は密輸入)を肯定するだけではなく、地元商人が扱いやすい最適なトラックサイズを検討し、2トントラックとするや税制緩和で購入しやすいよう窓口を作る。
海外銀行との取引においては自国の経済復旧プランを提示する一方、既存銀行の既得権益を(ゆるやかに、かつ確実に)制限し、外国資本導入にあたってルワンダ人が必要なように仕向けるなど、その方法は一貫しており情報を自分の目で確かめ、目的とその着地点を明確にし、交渉相手に対してWin-Winの関係に持ち込むよう対応する氏の実務っぷりです。


画一的な政策で対応するのではなくルワンダ国民の白人に対する感情や、白人たちの既得権益思考と無能さを見切った上で、二重為替レートの撤廃と通貨切り下げ処置に成功。主要輸出農産物であるコーヒー豆などの物価設定なども成功するだけでなく、倉庫運営、定期バス路線の確立などさまざまな施策を施してルワンダの財政を再建させるとともに、発展の道筋をつけます。

当初せいぜい2年弱と考えていた任期期間は5年あまりにもなり一応の道筋をつけたところで服部氏はルワンダを離れることを決意。慰留を求める指導者たちに、中央銀行総裁はその国の人がなるべきだとつげ、ルワンダを離れます。

その後、ルワンダを二回訪れることになる氏はその豊かさに驚いたのでした。




めでたしめでたし。




...と、物語がここで終われば何事もないのですが、氏の離れたルワンダはその後迷走していったことを知っているので読後は複雑なわけです。貧しいながらも夢と希望に満ち溢れていたはずのルワンダのその後を知っているだけに...。

氏に全幅の信頼をおいたカイパンダ氏はクーデターで退き、その後大統領になったハビャリマナ氏も暗殺され、ルワンダの情勢は一挙に混迷。少数民族である亡命ツチ族の一派による「愛国戦線」が誕生するに至り、暴徒と化したフチ族による国内のツチ族および穏健派フチ族に対するジェノサイドが頻発する最悪の展開へとつながっていくわけです。
そもそもカイパンダ氏とて、服部氏の著作の中では純朴で誠実な大統領というイメージですが、ルワンダでおきたジェノサイドという点で言えばカイパンダ氏もジェノサイドに加担していた一人であるという指摘もここに書いておかねばならないでしょう。

では先ほど引用したカイパンダ氏の「ルワンダ人」とは、フツ族を称して言っていたにすぎないのでしょうか。
自分が読んだこの本に復刻・増補版であり、服部氏自ら1994年、ルワンダ虐殺をめぐる問題について書いた増補1が、西側諸国の通説とは若干異なる側面を描いていることを興味深く読むべきでしょう。事は西側メディアが描くような単純明快な話ではないことがうかがい知れるわけです。亡命ツチ族の問題や「愛国戦線」が隣国ウガンダの強い影響下にあること。ルワンダ国民が隣国ブルンディにおける民族紛争を見ていたこと。それでいて西側諸国の「愛国戦線」に対する肩入れとそれを報じないメディア。
ルワンダ後、アフリカ途上国の発展に尽力した氏の見識を無条件に肯定できるソースはありませんが、重要な示唆に富むものともいえるでしょう。
(個人的にはルワンダ周辺における民族紛争はともかく、その国際問題に対するアプローチと日本...自衛隊派遣が行われた場合の必要な対応などは非常にバランスのとれた、かつ偏りのないスタンスだと思います)


希望に満ちたルワンダの陰でジェノサイドが起きているとしたら? 服部氏の成した行為はそもそも無駄だったのではないのか。


...自分はそうは思いません。その後、アフリカ諸国をめぐる問題が一向に改善しない点を見ていれば今から40年も前に一人の金融実務経験者の成しえた行為をもっと真剣に検討すべきでしょう。
そして氏がいなくなったあとのルワンダのその後についても検討が必要です。

そして、本書の最後の一説を引用しようかと。

私は戦に勝つのは兵の強さであり、戦に負けるのは将の弱さであると固く信じている。私はこの考えをルワンダにあてはめた。どんなに役人が非効率でも、どんなに外国人顧問が無能でも、国民に働きさえあれば必ず発展できると信じ、その前提でルワンダ人農民とルワンダ人商人の自発的努力を動員することを中心に経済再建計画をたてて、これを実行したのである。そうして役人、外国人顧問の質は依然として低く、財政もまだ健全というにはほど遠いにもかかわらず、ルワンダ大衆はこのめざましい経済発展を実現したのである。途上国を発展を阻む最大の障害は人の問題であるが、その発展の最大の要素もまた人なのである。


氏が最後に書いたように、結局何事かを成すのは人であり、その結果を無にするのは人であるにしかすきず、結局は人の育成そのものが問題なのかという点も考える必要があるでしょう。

忘れてはいけないのは、確かに問題があったかもしれないが希望は確かにあった。希望を実現できる場所もその道筋も方法もあった。

今は、それを持続して確かにものにする方法が求められている。というわけです。

歴史はいつだってぶれながら確かな方向へと歩む。そのことを忘れないで、確かな方向ができるかぎり(すべては無理かもしれませんがそれでも)多くの人々の幸せ、win-winへ歩むことは選択できるはずです。



��ああ「まおゆう」とどう関連づけようかと思ったけれど、話が変わってしまうので別エントリで!
>> 「「まおゆう」のあの丘の向こう側とは...メモとして。