2008年12月3日水曜日

テメレア戦記1  気高き王家の翼 / ナオミ・ノヴィク

[テメレア戦記] I 気高き王家の翼
[テメレア戦記] I 気高き王家の翼那波かおり

ヴィレッジブックス 2007-12-20
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おすすめ平均 star
star新しいシリーズの登場
star読みたい本に逢えた
starどっしりとファンタジーを楽しみたい人に、是非読んで欲しい

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昔日から人と竜が共に過ごしているこの世界。中国では漢帝国を築いたドラゴンがいれば、日本では元寇を竜巻で追い払ったという"ライデン"という竜がいる。サー・フランシス・ドレイクも竜と共にスペイン無敵艦隊を打ち払うような歴史をもつ、我々が良くしる歴史に竜が共にいるとしたら? という設定で語られる物語。

貴重種である竜は国によって保護され、交配による品種改良が行われる一方、空軍として一つの兵科として、海軍や陸軍とも戦うようになっていた。大型の竜には多数の兵士が乗り込み、互いにライフルで打ち合うなどの戦いも行われるようになっている。

そして時代は、ナポレオンによる猛威が欧州全土に吹き荒れる戦乱の世。ナイルの戦いが終わり、英国艦隊による綱渡りのようなフランス海軍封鎖が続く日々。

英国海軍の艦長、ローレンスは拿捕したフランス軍艦艇の中に一つの卵を発見した。それは竜の卵だという。戦争により竜がもとられるこの世では、竜に見初められた者は、竜と共に空軍に身を投じて戦うこととなる。

平等にくじ引きを行い、若き不幸な士官を竜に引き合わせようとしたものの、殻を割って出でた竜が話しかけたのはなんとローレンスだった。動揺しつつも彼は生まれたての竜に"テメレア"と名づけるのだった。
いままでの苦労により手に入れた艦長という地位を捨て、空軍に身を投じる羽目になったローレンスと、実は貴重種たる竜でももっとも貴重な中国原産の竜、テメレアの戦いの幕が上がる。

いやね、面白いわけですよ。ぐいぐいと読めます。

そうですね、
・ホーンブロワーやオーブリー&マチュリンなどナポレオン戦争時代の海洋小説が好き。
・ナポレオン戦争時代に興味がある、知識がある。
・人と竜のような異種知的生命体が共存する世界が好き。
・皇国の守護者などガチな架空戦記ノリが好き。
という人ならオススメできます。

物語世界では幾人もの方が言うように、竜はまるでFSSにおけるファテイマとMHのような位置づけですね。竜によってバラつきがあるものの、知識を持ち、主人公のローレンスと共に戦うテメレアにいたってはローレンスに読書をねだるというかなりの知識欲。かわいい奴です。他にも様々な竜が現れます。訓練地での教官役は人間ですら敬意を払うような竜だったり、他にもヨーロッパ原産の竜が現れたり。一方、竜を道具として扱わない乗り手もいます。


竜の担い手も大変です。竜に見初められれば人里はなれた場所に住む(何しろ、大型竜に成れば人が10人規模で乗り込むほどの大きさですから)羽目になり、俗世間とは切り離されたような世捨て人のような生活を送る羽目なる。
まさしく騎士とファティマ(MH)のような関係。各国の竜も品種交配で特徴がある中、テメレアの貴重ぶりが際立ちます。物語の中でもかわいいところを見せてくれます。水浴びしたり、宝石を嬉しがったりと色々です。健気で律儀なんですよね。

戦闘シーンですが、ナポレオン戦争時代の海洋モノならありがちのマスケット銃での打ち合いから、接触しての乗り込んでので斬り込み戦闘など、空中戦+接舷乗り込みといった形ですね。
イメージとしては、「マスター・アンド・コマンダー」の戦闘シーンを思い出すといいかもしれません。
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作品時間軸は、ちょうどトラファルガー海戦前夜。竜の数で優位にたつフランス軍に対して、竜の数が足りない英国軍。海上兵力ではネルソン以下英国艦隊に練度では劣勢にたつフランス・スペイン艦隊という状況です。

ローレンスとテメレアの戦いは、後半になるにつれダイナミックなものになりますよ。

そしてこの物語、今月に続きが出るんですよね。

テメレア戦記II 翡翠の玉座
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いろんな意味で面白い。この世界観も楽しみです。というわけで続きを購入決定の物語でした。


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