2023年1月20日金曜日

合衆国海軍通史 私家概要 1-1 合衆国海軍創設日は

「合衆国海軍通史 私家概要」としてアメリカ合衆国海軍の歴史をなぞっていきたいと考えています。またもや不定期連載となるでしょうが、生暖かく見ていただければ幸いです。

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アメリカ合衆国海軍の歴史の始まりはいつと定められているのか。

 少しでも歴史に造詣のある方であれば、即座にアメリカ革命戦争(独立戦争)だと答えるでしょうか。

 事実、NHHC(海軍歴史遺産センター)のサイトでは、その起源(Origin)を一七七五年一〇月一三日、大陸会議(Continental Congress)が二隻の武装商船を準備する通達を出した日が、海兵委員会(Marine Committee)を設置、大陸海軍(Continental Navy)が誕生した日であり、アメリカ海軍創設日としています。

 ただ、これもよくよく読むと、一九七五年、時の海軍作戦部長、ズムウォルト提督が海軍創設記念日として定めた――という記述があるので、はて、この「歴史」は昔からのものではないのかも。という目にもなります。実際には後に説明する一七八九年、合衆国憲法が設置され「海軍を養うこと」とされた後に先行して、税関監視艇部 (United States Revenue Cutter Service)が設置されていますから、少しでも遡りたくて……ではないのか、といういささか穿った目にもなります。

 実際問題、大陸軍はまだしも大陸海軍、大陸海兵隊は革命戦争後、一度は廃絶され、艦艇もすべて売り払われていますから、直接の繋がりはないのです。

 一七八九年の憲法制定とするか、あるいは議会が正規に艦隊に必要な六隻のフリゲート建造を承認した一七九四年一月二日をアメリカ海軍創設の日と考えるべきかとは思いますが、アメリカ海軍がそう言っているのであれば、それで良しとすべきでしよう……。

 ただそうはいっても、大陸海軍を無視して、六隻のフリゲート艦建造を承認するまでにいたる話を無視するというわけにもいきません。

 なぜアメリカ合衆国は、大陸海軍を廃絶し、そしてまた海軍として新たに設立することになったのか。そして極端に浮き沈みの激しかった一九四五年までの合衆国海軍を語るには、アメリカ建国以前から話をしなければ中々伝わらない点もあるのではないかと思います。

 とはいえ、これを史家でもない自分が語るにはいささか持て余しかねない物語となります。何しろアメリカの成立はつまるところ世界史の一部として当時の国際状況に密接に絡み合っているからなのです。

 新大陸がアメリカと呼ばれるようになり、東海岸沿岸に広く散らばる十三植民地連合(ユナイテッド・コロニーズ)が如何にして団結し戦い建国することに至るまで、何故彼らが『革命』と呼ぶのか……そこへ至るまでの物語は出来るかぎり圧縮してご説明しましょう。


 ……それでも幾分長い物語となるのですが。


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