統計はこうしてウソをつく―だまされないための統計学入門 | |
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「詐欺師の手引書、あるいは自衛のために「統計はこうしてウソをつく」」 from わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
たまたま上のサイトの書評を読んだあと図書館で見かけたので借りてきた本。
面白かったですよ。さくさく読めました。
えーっとなんですか、よくマスコミとか団体とか統計をだすじゃないですか。内閣支持率もそうですけど、OECD(経済協力開発機構)の学力とかかなぁ、そういう統計に出てくる数字の信憑性について人はあまり考えないで受け取っていないか、って話ですね。
作り手も、受け手も、その数字を自分たちの都合のいいように(それでいておおハズレしないように)受け取ってしまうんですよね。
北海道の全国交通事故死ワースト1という北海道警察のポスターとかキャンペーンを見て、
「あれ、でも、北海道の人口とか車の所有者率とか、運転時間とか鑑みないとかならずしも交通事故が多いとはかぎらないんじゃない?」って疑問が浮かんだのは自分だけでしょうか?
死亡した。というのは数字の確たる事実ですが、その背景にあるものを考えないと、その数字が一人歩きしてしまうケースもあります。
(現実には、ここ数年1、2の交通事故死亡者数の愛知県の700万人、北海道の500万人と考えると、人口では確かに愛知のほうがおおいですが、車の所有者台数と1台の平均運転時間などがわからないとはっきりとしたことはいえないわけですよね)
あと最近の内閣支持率の調査ですね。例えばマスコミが報じる内閣支持率とニコニコ動画で行われる調査では数値に若干の差があるケースもありますが、一方で以前「ネトスタシリアス」だったかな、マスコミが調査対象とする世代構成は若年層が少ない偏りだが、選挙結果はこのアンケート結果になるとかいう話もあり、こうなってくると、作り手がどういう定義のもとどういう集計をしたのかはっきりしない数値は使えない。とかいう話になってくるわけで、そうなってくると統計そのものが信用できなくて、そのうち、「自分に都合のいい数値しか信じなくなる」という羽目になっていくわけで、こりゃまた厄介な話になるわけです。
こういう話は他にもいろいろと転がっているわけで、そういう実例をこの本では明かしています。
ただ現実社会は複雑で、ある程度抽象化してイメージを構築しないといけない場合もあります。そのイメージは他者でも理解できるもの、すなわち数字であることが望ましく、それが統計なのですが。
でも数字は嘘をつきませんが、その数字を作る場合も見る場合も意識的、無意識にバイアスがかかる場合もありますよね。
この本の中でもアメリカで行われた性生活に冠するキンゼイ報告(昔、「愛についてのキンゼイレポート」という映画を見る羽目になったので覚えていましたが)の偏りのある数値報告と、それを都合よく歪曲した同性愛者グループの報告もありました。
よく2chの軍事板とかでソースを出せとか、最近はソースばやりですけど、そういうソースの中にも引用される数字が果たして恣意的な作られ方をしたのか、あるいは引用されているのか、どうやって見抜くのか、となると、結局、それを提供した相手がこれを見た人に何を望むのか。というのを考えていくしかないのです。ああ、ポジショントークですか、というわけで...。
...結局、こういう数値やメディアだけなく、全体として自分自身の中に外部情報(インフォメーション)に対するリテラシーを作る必要があるってことですよね。どう自分の中にインテリジェンス(付加価値のある情報)に取り入れるか、というのも求められている能力の一つなのでしょう。
(ただ、こうやってマスコミの報道に?となって、首相官邸など公式議事録をいちいちチェックするのってすごい負担なんですよ。統計数値の元を探りにいくのも労多くして結局自己満足に落ち着いてしまいますからね...インターネットは情報のウラもとれるけど偏りもあるし、そういうことを考えると、忙しい現実社会でやれることは限られてくるのも事実なんですよね)
...おっと、本の紹介でしたね。そういう統計ってどんな嘘がそこに内在させることが出来るのか、ということを知るにはうってつけの本でしたね。
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