2012年5月15日火曜日

争うは本意ならねど (追加修正有り)

争うは本意ならねど ドーピング冤罪を晴らした我那覇和樹と彼を支えた人々の美らゴール
争うは本意ならねど ドーピング冤罪を晴らした我那覇和樹と彼を支えた人々の美らゴール木村 元彦

集英社インターナショナル 2011-12-15
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編集中のデータをアップロードしたため、文章が一部途切れていました。修正しています。(5/15)

元日本代表選手、川崎フロンターレ所属(当時)我那覇和樹選手がある日風邪をひいてしまい、脱水症状の兆候を見せたため、チームドクターはビタミン剤と輸液の点滴を行う。
ここまでは通常どこにでもあるチーム内治療のひとつだった。だが、そのことを誤って報じたマスコミと、その事実を誤って取り上げたJリーグが、彼とチームドクターがドーピングを行ったと断じてしまう。
Jリーグ内部の取り決めはまったくもって曖昧で、最初の段階であれば軌道修正は容易だったはずなのだが、協会内部の人事保身などが働き、頑ななまでに一度決めた判断を覆さない。

Jリーグに所属するすべてのチームのチームドクター全員がこの判断では我那覇選手だけでなく自分たちが扱う選手たちの安全を守れないと危機感を抱く。
治療に必要な点滴がドーピング認定、あるいはそれを報告する書類を提出することに拘泥し、かつドーピングか否かの判定に明確な基準がなくJリーグ内部委員会の「匙加減」で決まるのであれば正しい治療行為は行えない。それは現実のものとなり、肺炎になる選手も、日本代表内部であれ正しい治療行為が行えないという事件が起き始める。

全所属チームドクターらは一致団結して抗議文を提出するが、細かい瑣事を取り上げJリーグ側はこれを取り上げない。そしてこの問題はさらにややこしい問題と化していく。

我那覇選手、チームドクター、そしてJリーグだけではなくすぺてのスポーツ選手のドーピングかそうでないかを分けるラインはどこにあるのか。Jリーグ、日本サッカー協会の頑迷さに呆れつつも、我那覇選手の身の潔白を明かすために、様々な人々が様々な立場で良心と矜持を示す。
それは国会も巻き込み、FIFAだけでなくCAS(国際スポーツ仲裁裁判所)での判決を勝ちとるまでつづく。
ちなみにCSAの判決はJリーグの判断を断じ、過去最高のペナルティを科す判定を下した。ちなみにこのCASの判決文すら誤読・曲解し、自らの正当性を論じるだけであり、事件発生時の罰金も返却しない、我那覇選手に謝罪もしないのがJリーグであり日本サッカー協会であるとも書いてきます。

まぁ、なんというか、この本が出るハメになったことは悲しいけれど、この本で書かれていたことが事実であり、そのことを記した本が出せた。ということに感謝を。

読みつつ思っていたのは怒りであり、頑迷なまでの保身に走るJリーグ及び日本サッカー協会(JFA)に対する呆れでもある。

色々怒りの矛先はあって、度し難いのは、まず捏造報道をしたサンケイスポーツであり、所属選手を守ろうともせず協会の顔をうかがった川崎フロンターレ上層部であり(他のチームは、所属チームドクターの意見を聞き入れドーピング基準の明確化と我那覇選手の無罪を訴えたことを書いておきます)、もっとも度し難いのはJリーグ・ドーピング委員会のトップで自らの過ちを認めず嘘に嘘を重ねたA氏であり、何度も是正するチャンスがありながらそれを行ったJリーグ及び日本サッカー協会当時のトップの責任はあまりに大きい。

サッカー選手の"旬"は短く、予想外の出来事で選手が活躍したりしなかったり、それ以後パッとしなくなることがある(その逆もまたあるのだけれど)。レギュラーポジションを約束された選手というのはほんの一握りで、選手たちはみな一度つかんだポジションを失わないよう全力でプレイする。その選手が、些細な解釈の違いから生じた誤りのために六週間という長きにわたって試合を禁じられることがどれだけの問題なのか、当のサッカー協会はあまりにも無頓着すぎた。

彼の正当性を確立するために、Jリーグ出身の国会議員が国会で発言し、ようやく問題は動き出す。最大の要因はJリーグ、そしてJFAにおいて国内及び国外のドーピングに対するコンプライアンスが確立されておらず(文科省のドーピング監視団体にJリーグは加盟していないというお粗末な展開もあり)、そのことを指摘するやいなや、露骨なまでにソーシャルな義理人情・先輩後輩・恫喝などの手を行おうとするJリーグトップだったりする。

そもそも問題の今回は、JFAの組織問題もあり、ありとあらゆる決定事項は(当時の)JFAトップの意向により覆されるという、まともなら信じられないような組織規定があったりするJFAの法的問題でもある。つまり、今回のような事例が発生した場合などにトップが横断的な判断をすべきではあるし、それが可能である仕組みであるのだが、それが内向きの組織防衛に使われた場合、トップが承諾しなければ何一つとてモノが進まないという呆れた展開が待ち構えていたのである。

そして、当時のJFAトップは川淵三郎氏である。Jリーグ設立前後までは確かに氏は評価できた。蛮勇ともいえる決断がなければJリーグは創設できなかっただろうし、プロ野球との差異を出すために地元立脚を打ち出し、企業色を排するための努力を貫いたのは今も評価できるだろう。あのナベツネとの対立も覚えている人はいるだろう。

しかし、時が経て、いまやJFAのナベツネと揶揄されているのを忘れてはいない。自分も正直、さっさとJFAから彼がいなくなって欲しい。院政なんてもってのほかだと硬く思っている。
大体Jリーグチェアマン以後、JFAのトップをキャプテンと称してからの振舞いはとても評価できるものではなく呆れるほどで、あれほど毛嫌いしたトルシェ監督後、ジーコ監督就任まで道筋を立て、ドイツW杯惨敗後の責任問題を「あっ、言っちゃったね」とオシム監督就任で誤魔化したかのような厚顔な振る舞い、そしてその後一部サッカー誌で追及された怪しい人事及び金銭の動きなど、氏の評価はまさしく急降下。いまや「晩節を汚している」と言ってもいいだろう。

今日、5/15日はJリーグ開幕試合から20年。Jリーグは、トップチームにおいて目まぐるしく変化する動き(試合でも順位も)からか、海外でも一定のファンが出来るほどになり、またアジア諸国へTV配信の動きも出ている。
アジアでの屈指のリーグとなり、スタジアムには子供や老人、女性が気楽にこれるという特色が今も世界から評価されるまでになった。

これからのJリーグがますますの発展を遂げるためにも、Jリーグには是非とも「プレイヤーズ・ファースト」の理念の下に過ちを過ちとして正せるフェアなプレーをしかと望む。

追記。我那覇選手が自費を投じてCSAで打ち立てた判例により、ドーピング問題に対して一定のラインが引かれ、Jリーグのみならず世界のスポーツ選手において多大なる構成があったことをここに書き残しておく。日本代表での活躍は短かったかもしれないが我那覇選手は今もJ1、J2の下部であるJFLのFC琉球でプレイしている。





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