堕落する高級ブランド | |
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大きな経済の中での高級ブランドを巡る物語。面白かったのでぐいぐい読みました。
高級ブランドも結構栄枯盛衰が激しく、買収したりされたりの繰り返しだったりするわけで。
そんな中、高級ブランドは利ざやのいいバッグ、香水で稼ぐようになって...という、読んでいると結構トホホな話の連続です。
80年代~90年代まで、ブランド品をもつことがステータスだったのですが、今は高所得者層もファーストファッション(日本でいうとユニクロ、欧米だとH&Mもそうですよね)を選ぶような時代。高いものを買うこと=ステータスではなく、アウトレットなど(ひどい場合にはコピー品を)買うなど安く買うことへ重点が移ってしまっている現状もありありと描き出されています。
その安い偽ブランドのコピー品などを生み出しているのは、中国を筆頭にするアジアでの不正児童労働などの過酷な現実なわけですが。
無論、ブランドメーカーも、ブランド・タグの取扱いを受注品数のみとか色々手はうっているみたいですけどね。コストを最優先にするとどうしても海外発注という形になるのはしょうがないという面がありますからどうしようもないというか。
中国での生産についてクォリティ・コントロールはちゃんとしているというのですが(例えばバッグの持ち手以外の部分を中国で作らせて本国に持ち込み、持ち手をつけて"メイド・イン・イタリー"とするブランドメーカーもあります)、どうも現実はそうは思えない一面もあって複雑な気分にさせられます。
いままで欧州で一流のブランドだったメーカーがかもし出していたラグジュアリー(高級)感は霧消して、いまや、十年前には笑われたシャネルのバッグにユニクロのシャツという組み合わせもおかしくない時代となってきた時代、ブランド(と、ラグジュアリー)はどう扱われていくのか、どう捉えるべきなのか、示唆にとむ本でした。
ファッションに興味がない人でも面白い話ですよ。
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