2010年8月25日水曜日

フルメタル・パニック!12 ずっと、スタンド・バイ・ミー

フルメタル・パニック!12 ずっと、スタンド・バイ・ミー(下) (富士見ファンタジア文庫)
フルメタル・パニック!12  ずっと、スタンド・バイ・ミー(下) (富士見ファンタジア文庫)賀東 招二 四季 童子

富士見書房 2010-08-20
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うん、大団円だった。ハッピーエンドに持っていくにはこうするしかない。というぐらい、真正面から突破していったなぁという感じ。

正直、前巻まで、物語世界が呼び起こしたシリアス展開にキャラがそぐわなくなって作者が悩んでいるなっていうのがありありと伺いしれたので、どう決着つけるのだろうかと思っていたら、もう最後には開き直った宗介のハジけっぷりで世界を無理やり捻じ曲げたなぁ。これぐらいの無茶っぷりがフルメタらしいといえばフルメタらしいですね。

そりゃリアルにやろうとすればすごい陰惨なことも出来るし、事実、それに近い物語をなぞろうとしていたわけで、よく最後の一線で踏みとどまったなぁ。
かなめも宗介を失うことを受け入れたことで、自ら犠牲をささげたし(結果がアレとはいえ)。宗介も犠牲を払った。それで受け入れられるハッピーならいいんじゃないの。とは思うわけです。

物語として喪失感や痛みを描いたり、過酷な現実を描写することでリアルっぽさを演出するっていうのは方法論として理解できるしそれが必要な場合もあるのだけれど、そういうリアルっぽさを過剰に積み重ねて「現実ってこうだよね」と再認識するため(だけ)に物語を読みたくはない...というのが個人的な感情でしてね。
今は亡き宇宙軍大元帥、野田昌弘氏が言っておられたように、現実が厳しいのは言われなくてもわかっているし、何が悲しくしてわざわざ(たとえば)グリム童話の「マッチ売りの少女」で泣かねばならぬ。
そこに颯爽と主人公が(まぁ女性でも男性でもいいのだけれど)現れて、少女だけでなく国家の経済構成すら書き換えてしまうような勢いで物語をハッピーエンドに捻じ曲げてこそ、物語は物語足りえるし、そうであってほしいわけですよ。だからこそ、物語を読む楽しみがそこに生じるわけで。

...正直、まだ語られてない話の行方とか、これから一体全体ミスリル残党たちはどうするのか、とか(其々市井に埋没していくの?っていう気もするし)。
っていうかテッサが今一報われなさすぎだなぁ。もう少し救済エピソードがほしいなぁ。
後日談こみの短編集、ぜひともほしいですね。

あと、物語の根幹に関わることで本音を言えば、最終巻のシリーズ前、<トゥアハー・デ・ダナン>の面々が反撃を行う前にもう少しエピソードを追加して、カリーニン少佐の内面や宗介との関係性を改めて描いていただけると非常に最後の展開に説得力があったんじゃないの、とか思うんですけどね。

でも総じてライトノベルで扱うミリタリー・アクションとしては満足のいく結末だったんじゃないかな。
自分として納得の出来でした。

...それよりも、アルの進化っぷりに驚いたというか。まぁせいぜい特殊防弾加工済みのトランザムにフロント前の怪しげなセンサーつけて、夜を走っていただきたいと(笑)。


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