2005年11月22日火曜日

「戦争学」概論/黒野 耐

406149807X「戦争学」概論
黒野 耐

講談社 2005-09
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「愚かな戦争」は「愚かな政治家」が起す!と中々痛烈な言葉の帯がある本を読んでみました。

まず、シーパワー・ランドパワー・ハートランドといった、地政学を軽く説明しています。地政学というと胡散臭いイメージがありますが、まぁ判りやすくいうと、地球上にいる限り、国は国が存在する地形、風土などの条件は変わらない・・・例えば日本は無資源であり、海上輸送により資源を輸送し、加工したものを貿易することで利益を売る、海洋国家である・・・ことを前提にした、ある種のパワーゲームのような理論です。

そこからナポレオン戦争、WW1、WW2、冷戦、そして9.11以降の各国の政治、軍事をザッと説明し、どうしてそういう状況に陥ったのか、もしくは踏みとどまったのか、を判りやすく説明しています。
ナポレオン戦争にしてみれば、確かにナポレオンは偉大なる天才でしたが、フランスの天才は彼だけであり、彼は自らが天才であるが故に、周囲を使わなかった・・・もしくは使えなかった・・・と見るべきが幸いですし、政治的な能力が欠落していたことが彼の没落の原因であるといえますが、そこにもやはり、フランスというヨーロッパ中央にある国の置かれた状況がすべてを誘っているのも事実ではあるのです。

まぁ、戦争・・・特に、それにいたるまでの過程を知りたいと思う人にはいい概論的な本かと思います。偉そうかもしれませんが、この本を読むのも悪くはありませんが、その前に佐藤大輔御大の軽いエッセイを読んでおいたりするといいかもしれませんね。

というわけで普段とは毛色が違った本を取り上げてみました。

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