栗本薫さんが亡くなられたと聞いて「ああ、そうか」と嘆息しかでず。
病の状況を聞くにつけ、シビアなところで「物語が完結することは難しいかもしれない」という予想があって、それを目の当たりにしたせいだろうか。
グイン・サーガは生憎と真剣に読んでいたのはグインがケイロニアで将軍になるまでのくだりで、ちょうど30巻あたりかなぁ。ケイロニアの質実剛健な気風と宮廷劇、その背後で忍び寄る陰謀。それに巻き込まれたグインの孤軍奮闘。その間に繰り広げられるお互い正体を隠した恋物語。すべてを知って、すべてをあるべきところへと解決するグインの手練れっぷりも面白かったな。
その後は正直なところ熱心な読者とはいえず、時々手にとって読む。程度になってしまった。
色々な理由はあるし、そこが自分が作者に対する複雑な感情をもっているところだろうとは自覚している。
何にせよ、物語は終わらないまま終わってしまった。「七人の魔導師」につながる物語のほんの手前まできたというのに。
最終巻のタイトル「豹頭王の花嫁」に至るまで、あとどれだけの物語がつづられる予定だったのか。
プロットなどが公開されるのだろうか。読んでみたいような読んでみたくないような。
作者の死去によって物語が途絶してしまうのは、自分も色々経験している。過去も、そして現在も。
死去によらずとて作者の心情の変化で物語を書き綴れないときもあることも経験している。
とはいえ、作者が書きたくて書き続けていこうと願っていた物語が未完のまま物語が閉じてしまう。
というのは何度見ても悲しい。
願わくば、存命している作者の方で書きたい物語が無事書き終えられることを切に願う。
栗本薫さん、さようなら。
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