ひこうぐも―撃墜王・小林照彦陸軍少佐の航跡 (光人社NF文庫) | |
小林 千恵子 光人社 2005-08 売り上げランキング : 284397 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
それは、戦時下の日本における初々しい若夫婦の物語。ただ違っていたのは、夫は陸軍航空隊のエリートでエースパイロット。妻はまだ二十歳にもなっていない若き女性だった。過酷な戦争の最中、夫婦は満州、日本各地を転々として生活していく。妻の目線から見た、戦争中と、戦後の動乱期の生活。
なんていうか、戦争中の戦闘機パイロットの自書伝などは数多く読んでいた気にもなっていましたが、妻から見た夫の姿とそれを通した戦争というのは新鮮であり、筆者である奥方の筆の端々に見える知性だったり、嫁ぎ先の家風・家族との違いに苦しむ姿だったり、夫、あるいは自分に降りかかる体調不良だったり、色々な苦労がある中でも穏やかな日々があったりする情景が浮びます。
何しろ、夫である小林照彦少佐は、終戦末期、最年少で首都防空を担う"近衛飛行隊"とも呼ばれた飛行第244戦隊隊長に就任、過酷な戦いを繰り広げる中、当時宣撫活動として大映スターもやってきてお守りくれたりするエピソードもありますからね。
あちこち転々としながら、自宅に中々戻れない夫を心配に思う姿、戦後直後、どうして良いかわからず苦労を重ねる夫の姿、そして、航空自衛隊に入隊、再び空へと駆け上がる人生をえらぶ夫の姿、その姿を見ながら、妻、そして夫の日記から描かれる夫婦の物語がそこにあるわけです。
しかし、ドラマ化したらいい話になると思うんだけどなぁ。
0 件のコメント:
コメントを投稿