軽いネタバレありますのでご注意を。
○アイドルマスター・アニメ版(以降、アニマス)は、それまでのゲームの流れとは若干変わっていて、いろいろなコンテンツで展開されるアイドルマスター像の最大公約数的な側面があります。この点についてはスタッフ(監督)\がアイマス好きなこともあって、非常にうまくまとめていたな、という印象があります。
○アニマスでは、後半、アイドルの心理、特に千早と春香という2人にかなりフォーカスがあたりつつも、その周囲を固める765プロのメンバーのそれぞれの思いがちゃんと描かれていたわけです。千早のトラウマというか心の傷を言えたあと、春香へとフォーカスがあたるのは以外でした。
目指しているものに手が届きそうだけど、それがいままでの居場所もなくすことだとしたら? 目標を見失い、途方にくれる彼女ではありましたが、春香は春香自身の内面によって立ち直ることが出来て、そして周囲も春香やそれぞれの問いかけにより立ち位置を見直すことができたわけです。
○そんなワケで、アニマス最終話周辺はもはや765プロは会社倒産とかシャレにならないアクシデントがないかぎり、ちょっとやそっととのトラブルではなんともしない状態でした。プロデューサーもいますし、765プロのアイドルが相互にフォローしちゃうんですからね。
○劇場版はそういう状態でどう物語を展開させていくのだろうか、という点が気がかりではありましたし、ストーリーの部分をさしおいてもどういう映像を見せてくれるのだろうか、という期待もありました。
○トップアイドルの道を着実に歩む765プロの面々。美希はハリウッド行き、千早はNYでレコーディング(おそらく著名なプロデューサーがつくのでしょう)、春香はアイドル?賞の受賞。それぞれのメンバーはそれぞれらしく、元気に活動中。まぁ、アニマス世界じゃマネージャーがいない独特な世界なんで、アイドル自身がスケジュールしたり一人で移動したりとまぁ、おいおいというのもあるんですが、それはそれで楽しいものです。
○冒頭のあいもかわらず予告編にもなっていない終わりまではっきりしちゃう劇場予告編ネタを見ながら今度は女学校&魔法少女ネタというベタな話でブチこんできたか。と汗流しつつ、あれ、意外にこれ面白いかもよ? とか苦笑しつつ見ていましたが、ほんと、あの予告編じゃ話まるわかりやないけ、あとあずささんのその制服姿もう
○まぁ、ともかくアリーナライブが決定。バックダンサーも新人アイドルで固めようというプランで合宿がスタート。ここらへんはもう手慣れた展開です。あ、そうそう、居残り組の社長と小鳥さん、小鳥さんは相変わらずでしたね汗;; 正常運転です。「もう一回大丈夫なんだ」という違う意味で心配さはあるんですが。
○バックダンサーは、ミリオンライブ!(グリマス)のアイドルたちが、"スター・システム"でスポット参戦とのことですが、まぁ、ここらへんは知ってれば楽しめるでしょうがあまり知らなくてもなんとかなります。
○ははぁ、ここらへんがキモか。というのが中盤から。プロデューサーからもたらされる報告と、新たに加わったアイドルの卵たち、それはかっての自分達であり、そのかっての自分から自分が目標であり夢であり希望であることを知らされる春香が、今回"も"、765プロのリーダーとして名実ともに振る舞う必要が出てくる。
○物語は中盤から一気に重苦しいものになるんですけど、こりゃもうしょうがない。プロデューサーの報告の件は、まぁ、正直なこと言えば、アニマスでも似たようなことあったので、年少組がちょっと同様したとしても、年長組がちゃんとフォローしちゃいます。彼女らはお互いが慣れ合うわけではないですが、ちゃんとチームとしてフォローします。たとえば真は自分がこうしなくちゃ!みたいなセリフで周囲に促しますし、美希はシンプルな言葉で問題の核心を貫きます。あずささんは場が怪しくなったときはフォローしてくれる、ほんとまじオカンやで汗;;ですし。意外だったのは伊織がやに今回、あれこれと内心を吐露することです。おい、キミ、そんなキャラだったかい。まぁ、デレの一種と思えばいいでしょう汗;; 響って年少組じゃないよね、ポジション的に汗;;というのもあるんですがががが。
○しかし、新人アイドルの問題はちょっと悩ましい。これをもって、グリマス押しとかありますけど、そりゃもうしょうがない。というより、物語を回転させるために、見てる人に感情移入させるために必要なステップですからそこは入れるべきですよね。ただ、物語としてここはもう少し練りこんでほしかったかなぁ。新人アイドルから見た765プロ、765プロから見た新人アイトルという視点をもう少し組み込んでほしかったかな。あまりやりすぎるとグリマス押しか!?って声が大きくなるでしょうから難しいけど、もう一工夫ほしかったかなぁ。
○とはいえ新人アイドルから見れば765プロのアイドルはみな輝いてます。ハードなトレーニングもついてくるし、という面は描かれていますし。北沢志保と絡む伊織のシーンは中々面白いものがあります。
○あと、ネタとして千早にちょっとした属性(趣味)が追加されましたね。...千早、ますますそういうサブカル系ボッチキャラ路線目指してどうする?(笑) 多分自宅に「朝日○○○」とか購入してそうだぞ。ただ、千早の趣味の結果を集めた本、リアルに出せばきっと売れる、絶対売れるはず。
○物語中盤から終盤の問題は、春香の逡巡がいろいろあって、それがわかっている765プロのメンバーだけど、それじゃマズイだろう?という伊織のツッコミもあり、ほんとこの映画、春香の他に伊織と雪歩がストップ高的勢いでいい場面でセリフあるんですよ。
雪歩と伊織の家に分散して泊まるくだりはちょっとわかりづらかったかなぁ。ここはディレクターカット版があるくさいな展開でしたね。
○春香の携帯電話、いつ春香が決意するのか、もうそれしかないだろうという判断が結構引っ張られます。ここはもどかしいなぁ。春香ならスパーンと決めるんじゃないのっていうのがありますががが。多分物語を駆動させる上で十分な溜めなんだろうなぁとは思うんだけど、見る人によっては話が重苦しい、鬱展開だと思うのかもしれません。
(たた、悩みを吐露するのが美希であり、千早であるというのが何とも象徴的です。実はこの映画で一番お気に入りなのは、カフェのカウンターで横並びに座って春香の悩みにこたえる千早のシーンです。)
○しかし、春香が一度決めたらそれに従う765プロアイドルの追い詰めっぷりはもはや猟犬のごとしとしかいいようがありませぬ。
○実はアニマス見ていた人向けのチマチマとした遊びというかご褒美もありました。ジュピターだけじゃなくて、新幹少女もいいかんじに売れてきているみたいです。876の三人組も同様。876プロの三人はせめてセリフは無くてもいいから、ぽっと出てきてほしかったなぁというのが願望ですが。っていうかジュピター、チケットほしいなら欲しいって言おうよ...。
○クライマックス。えーっ、3DCGかよ、とかブーたれている面々がいますが、きっと、きっと! 横浜アリーナライブを見たPたちは「きたぜ、きたぜ!」と思っているはずです。だって、横浜アリーナライブのライブビューイングやDVDを見たことのある人なら、この気持ちはわかるはず。
デカいホールでアイドルが花道を駆け巡りながら歌うシーンだけでごはん三杯はいけますよ。
新曲聞きながら、横アリのライブ(ビューイング)がフラッシュバックしてましたから。
TV版のほうが動いていたじゃない、という人は、TV版はアップからミドルレンジでのカメラワークばっかりでしょ、せっかく映画なんだから、ぐりぐりライブDVDよろしく宙釣りのカメラで撮影してる気分を味わえばええやないか。というのが本心です。
まぁ、M@STERPIECEはいい曲ですが、できればあと数曲ダイジェストでもいいから入れて、アイドルとグリマスアイドルのメンバーの絡みも入れるべきだったとは思いますが、そこは難しかったかなぁ。(たとえば横アリでもあった、春香からのダンサー紹介とか、竜宮小町のバックで踊るメンバーとか)
○演出といえば劇場版アニメでないとできないカット割りとかわりと大目でしたね。もともとアニマスはTV版でも千早回とか特にそうでしたけど、顔つきとか表情を大胆にカット外にして、余白の背景大目にしてみせるところがあります。
プロデューサーの見せる逡巡に大丈夫と告げる律子のシーン、同じくプロデューサーを励ます小鳥さん、かなり贅沢なカットですし、度胸があります。映画の大スクリーンで、キャラ全身像を出したり、大胆にカットしたりするのは、作画にかなり負担をうむ一方で心理描写、あるいはその導入として必須かと思います。ついついTV版とかのクセが抜けないと、表情とかバストアップ三昧になるか、あるいは無理して全身像入れてトホホな展開になるんですが...そういや、合宿シーンで春香と矢吹可奈のからみ(お菓子のあたり)、異様なほどヌルヌルでしたね。一体全体どれだけ作画枚数突っ込んでんだ、力のいれどころ間違ってないか!?とか思いつつ見てました。
○総じて個人としていい映画でした。細かいツッコミはあります、ありますれど、アニマスとしてこれ以上は進みようがない中で、うまく余白を食べつくしたかな、というのが感想です。これ以上はないかもしれない。やるとすればアイドル一人一人にフォーカス当てた物語を紡ぐしかないでしょう。765プロのアイドルは、いろいろ変化していくでしょうけれど、トップアイドルになるまであの関係性に変化は見られないでしょうからね。関係性が変化していくとしたら、恋愛ネタか解散、引退話ぐらいしかないですよ...汗;;;
○というわけでつらつらとした映画の感想でした。どーしよーかなー、もう一度見にいこうかなーとか考えてますですよ、はい。
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