2005年4月20日水曜日

武装解除 -紛争屋が見た世界/伊勢崎 賢治

武装解除  -紛争屋が見た世界
伊勢崎 賢治
講談社 (2004/12/18)
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おすすめ度の平均: 5
5 驚くべき内容
5 秀逸-今こそ
5 現実的、刺激的な一冊


それまで積読でしたが、「第弐齋藤」さんで取り上げられて絶賛されていたのを機に読んでみました。いや、本当に面白い!。

筆者は大学時代、インドのスラムでNGOとして住民運動をオーガナイズして強制退去処分を受けたあと、アフリカのシェラレオネで10年あまりNGOの現地リーダーの一人として経済復興に携わり、その後東ティモールのPKOに参加する。そこから筆者本人曰く「紛争屋」と言う武装解除を専門として、内戦直後のシェラレオネ、そしてアフガニスタンの武装解除に携わっていくことなる。
武装解除といっても、その方法はおよそ一般の人々が思い描く方法ではない。PKOに参加する多国籍軍組織、警察組織、国連組織を使い、地域の軍閥達の間に立ち、ありとあらゆる手段(なだめ、脅し、信頼を積み、金を乗せ、強権を使う)でDDR(武装解除・動員解除・社会再統合)を行っていく――。

本当に面白く、そして考えさせられるお話でした。国際社会が民主化という薄汚れた錦の御旗のみを掲げ、人道主義すらなくなったこの時代で、NGOといっても変質し、紛争地域復興という名目の利権にあさる――。社会にある矛盾の中で頭を抱え、嘆息し、悪態をつきつつもタフなネゴシェーターぶりを発揮してDDRを貫く筆者の「泥まみれ(現実)での理想主義」がそこにはあります。

そして最終章、かかるこのような事態の中で日本の問題にも触れられていますが、イラク派遣については是としている自分も考えさせられましたね。紛争を食い止めるのは、結局のところ金と武力であり、そしてそれらを統括する文民が必要であり、決して軍に政治的判断を求めてはいけない。と筆者は断言していますが、自分もこれに同意します。そして最後の言葉はあまりにも重い。

国際社会のおいて、地域紛争はいかに発生し、いかに平和へのプロセスを歩んでおり、そして歩むべきか。について興味がある人は読んで見てソンはありません。いや、本当に!

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