紳士の国のインテリジェンス (集英社新書 401D) | |
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イラク戦争で大失態を犯したとはいえ、英国諜報機関の奥深さはとんでもないものがあります。
世界で二番目の職業、「外套と短刀」と呼ばれるスパイを近代において組織的に構築したのは英国であり、現在に見る様々な諜報活動、すなわち敵国分析や内通者の確保、"荒事"のような破壊活動、そのすべてにおいて英国が残した足跡は大きいものです。
この本は、英国諜報機関を創設した近世最初のスパイ・マスター、フランシス・ウォルシンガムを筆頭に、英国諜報機関に参加した著名人…例えばサマセット・モームなど・・・らの足取りと功績を紹介する一方、スパイを扱うが故に背負う裏切り者、ダブル・スパイの存在…英国の最大の汚点であり、スパイ・スキャンダルでもあったキム・フィルビー(英国情報機関の重職に携わるものがソ連に寝返るという英国情報機関の汚点)などの裏切り者についても、どの段階で彼らが祖国を裏切り、ソ連に内通し、最後に国を捨てる羽目になった(あるいは裁かれる羽目になった)のかを明かしています。
しかし、英国情報機関もそれはまずいだろうという点が多々ありますが…たとえば、上流階級子息で父親、あるいは親族が要職についているか、いた経験があればほぼノーチェックで登用していたりするのだから、共産主義が理想的であるといわれた20世紀初頭の、英国大学にいた上流階級子息であればまぁ「はしか」のように共産主義に転がっているあたりだし、それはまずいんじゃないの。という点は多いにあります。また、大体ですね、この本でも出てくる出てくる同性愛ネタが…。スパイと上流階級子息と同性愛ネタがぐるぐるしていますよ(裏切った如何にかかわらず)。
イラク戦争での大失態、誤情報による戦争開始ですが、この問題については「諜報機関に騙されるな!」でも詳しく説明してされていますので、興味がある方はそちらのほうを是非。自分のところでも紹介しています。
なんにせよ大英帝国の隆盛を気づいた暗黒面、情報機関に係った人物たちの紹介としてはわかりやすいものだと思います。
あと改めて、ある作品の背後にあった英国諜報機関のダブルスパイ問題についてのネタについて詳しいことがわかって助かりましたw
Relation Links. 「諜報機関に騙されるな! / 野田 敬生」