2009年4月19日日曜日

「散る花の残すもの」死と隣り合わせの生き方に。

迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの (GA文庫)
迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの (GA文庫)津雪

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様々な理由から現代社会を離れ、迷宮に足を踏み入れる者達。死亡率14%という数値は常に身近に存在し、彼ら彼女らの影に忍び寄る。そしてある者はこの街を離れる。幸せや、失望を身にまとい。あるいは物言わぬ存在となって。
そして今日もこの迷宮へと向かう姿がある...。

というわけで、「いつ出るかな」と思っていた「迷宮街クロニクル」の続き「散る花の残すもの」が出ましたので一気に読むことに。

死が身近にあることがいつの間にか慣れてしまい、「一般社会」に住む者達からも異なる目で見られてしまう探索者たち。彼らはそれでも、それだからこそ日常生活を謳歌している。クリスマスには陽気に騒ぎ、正月休みには海外旅行などなど。

現代社会にそんな物語設定をスルっと入れてしまう作者の目の付け所もすごいけれど、今回の話のように登場人物たちの深いところまでを簡潔に切り込んでいくその手腕もすごいな、と思うわけですよ。
群像劇ですので様々な登場人物たちが現れ、そして退場していくのですけど、今回は「女帝」こと真城雪さんが一人で物語を駆動しているような形かなぁ。気風のいい姉御肌だけど、なによりも女性らしい心遣いがあちこちにある。

そんな中でも、真壁や翠たちの心情の変化や吐露も描かれているわけです。なにより、追加された短編エピソードがにくい。あれで本編の内容がかなり補完され、意味づけが異なってきたような形です。

続きが非常に楽しみな作品です。未読の方はぜひに。



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