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大晦日。よりにもよってネット心中を図る高校生のメールがなんの手違いで不特定多数にご送信。興味半分、厄介ごとにため息つきつつ半分、己の価値観に抵触するためやる気満々などなど、15人の男女がそれぞれの理由を秘めてメールの送り主をめぐって都内を駆けずり回る破目に。ところが事態は色々な事件が絡み合って錯綜する。さて、24時間×15人分の人生模様が始まるのだが...。
ライトノベルにしては毎月刊行っていう売り込みで昨年秋に発売されたのが昨年内ですべて発行。うん、まぁ、正直言うけど売り方として大失敗なんじゃないのかな。
正直言うけど、これが電撃文庫でもうすこし売れスジの書き手だったらOKだったんでしょうが、作者の新城カズマ氏は...自分は好きな部類なんですが...そこまで市場としてセールス・バリューをもっているわけではないのですから。
こういうのはスピード勝負ですから二ヶ月で3冊ずつ刊行とか、いっそハードカバーとか、電撃文庫のアレのように常識はずれのページ数で刊行するとか奇策を用いないと、物語自体のドライヴというか疾走感に身をゆだねられないですよ。ちょっとでも息を継いだら途端に物語の長さがウザったくとか、どうしてそんなシーンを挿入するの?とか群像劇なので、視点がアチコチぶれるからそれってどうなのさとか、そういう雑音が生じるんですよ。自分は最初の一冊冒頭を読んでそのまま閉じ、全巻そろうまで待ちましたけど...。それでも一気読みする時間などを考えるとどうにもねぇ...正直途中で物語に没頭できなかったときもありました。こういうのは物量で押し切らないと。
ま、上の文章は主に出版社サイドの話なので、物語そのものとしてはまったく評価は別です。うん、まぁ、相変わらず新城カズマらしいディレッタント的・韜晦大目・錯綜気味の小説だなぁというのが正直なところで感想に困る。というのが本音です。
ライトノベルとして"わかりやすい物語"じゃなくて、幾重にも重なったシーンの向こうにある何かについてどう語るか、というわけで、ライトノベルというカテゴリではないんですよね。なんていうか面白い?って聴かれると、うーんとしか答えようがないというところで。どう面白みを伝えるか悩む...人によってそれぞれの感想を抱かせる作品だと思いますよ。
とはいえ、自分がどうしてここにこうやって取り上げているのかといえば、一重にココロに僅かでも触れたものがあるわけです。どんなに時代がかわっても、ツールが変化しても、人と人との関係性は確かにそこに存在するわけです。物語のラスト、一箇所に集った面々の最後の行為にその断片が見えるわけで。何を書いているんだ?と思われるでしょうが、こういう書き方しかできないなぁ。
#で、後書きですね。自分は一番最後の口なのです。
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