2011年2月25日金曜日

失恋ショコラティエ / 水城 せとな

 月下工房のマサトクさんがお勧めしていたので読んでみたら面白いのなんのって。

4091322603失恋ショコラティエ 1 (フラワーコミックスアルファ)
水城 せとな
小学館 2009-01-09

by G-Tools


4091328245失恋ショコラティエ 2 (フラワーコミックスアルファ)
水城 せとな
小学館 2009-12-10

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4091334644失恋ショコラティエ 3 (フラワーコミックスアルファ)
水城 せとな
小学館 2010-12-10

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 本人両思いのつもりだったけど、実は片思いで(付き合っているというな認識すらない)サエコにこっぴどく振られた爽太。一念発起、ショコラティエになるべく渡仏して5年。親友であるオリヴィエをつれて帰国。自分の店をもつことに。
 
 サエコを振り向かせるためにチョコレート作りの腕を磨いてきた爽太だったが、帰ってきてみれば当のサエコは結婚するという話に。フラれて結婚されて、もはやどう考えても目がないはずなのに、ただ一つの接点、チョコレートという目にかけて、「悪い男」になる決心をする爽太。
 一方、そんな爽太を昔から見続けている薫子の気持ちに爽太はこれっぽっちたりとて気がつかない。それでいて、同じ片思いな境遇のモデルのえれなとはセフレの関係に。
 (あ、あと六道さんのゲイなアプローチにも気がつかないんですよ、このボンクラ男!w)

 爽太の妹であるまつりは、彼女がいる男性を好きになり、その様子を見ているオリヴィエも彼女のことが好きになる。

 登場人物の誰も彼もが片思い。さてさて、どうなるか。

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 ナチュラルボーンな小悪魔であるサエコさんも三巻にきて微妙なカンジを見せてきました。最初は無自覚だと思っていたけど、いやいや、彼女、無自覚的に自覚的です。だって、結婚していたって振り向いてほしい男性のためならアレコレとメイクに気合入れるんですよ。
 なんだろうな。女性にもあるのかな。ご飯には満足しているけど他のものも食べたいっていうか気持ちの独占欲が。多分もサエコさん物質的には満たされているけど精神的には満たされていないな。っていうオーラを感じるんじゃないな。でも二十代後半でも変わらぬその小悪魔テイストはまさしく化け物というか(苦笑)。

 爽太もそう。犬にはならないと「悪い男」になろうとしてアレコレと駆け引きするし、ずるいことしてるサエコの目論見に気がついていながらもそこが好きだという包容力を見せているのだけれど恋するボンクラ(あえて言う)状態だからして、薫子さんの気持ちにはこれっぽっちも気がつかない。
 どこか気持ちがズレてるんだろうなぁ。そのズレが直ったとき、誰をえらぶんだろうね。

 その爽太と関係をもつえれなだけど、深い友達付き合い、まぁ、セックスフレンドというより、フレンドセックスな関係だよね。肉体関係あるけど恋愛関係はない。でも友情成分は強い。
 女の子ウケはしないキャラだと思うけど、自分は「ああ可愛いよね、幸せになってほしいよね。こういう子にはさ」とは思うなぁ(苦笑)。
 本当のセフレ関係なんて、やることすましたらポイですよ、普通。でも互いに悩みを吐露して受け止めあう。本当にそれだけわかっているのに、恋愛感情なんてわかないでしょう、二人には。お互い恋愛関係がないから(求めていないから)、でも深く感じていたいからセックスもできるんですよ。多分ね。じゃなかったら、三巻終わりあたりで電話で爽太がああいうこといえません。
 (でもさー、サエコが一発でヤッてるけど付き合っていはいないって見抜くんですよ。怖い、怖いよこの女子アイw 何て高度なセンサーだ!)


 で、報われなさ過ぎて可愛いのが薫子さん。爽太のためにアレコレと尽力して、そうできるだけの才覚もあって、彼のことを想って、爽太の気持ちをあっさりと独占してしまうサエコをしばきたくなる気持ちが痛いほどわかる。彼女が一番爽太のことをピュアに想っているのにね。まぁ、なんていうか、そのクールな突っ込みもいいし、極々自然な仕草や感情を吐露する爽太の姿に感じ入っている姿が可愛いですよね、もう。三巻の引きにどうなるのさ、これから!と思ってしまうほどに。

 恋愛感情の中のピュアさと打算と駆け引きが入り混じっていて、そういう話の中にもクスリと笑えるボンクライケメンコンビ、爽太とオリヴィエのやり取りも入っているので面白い。なんていうか、個人的に「Bバージン」のあの打算的恋愛テクと本音のせめぎあいだったころ(連載中盤あたり)とかも思い出すなー。

 作者も立ち位置が少女マンガではなく青年誌的だ。ということは、森薫女史からも指摘されているし本人も自覚しているみたい。でもそうだからこそ男性が読むに耐えられる作品なのかもしれませんね。

「森薫と、水城せとな「失恋ショコラティエ」を読む」(1)
http://natalie.mu/comic/news/40883

「水城せとなと、相田裕「GUNSLINGER GIRL」を読む」(1)
http://natalie.mu/comic/news/41867

続きが読みたい作品がまた一つ増えました。いや、面白いのでお勧めです。


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