GUNSLINGER GIRL 8 | |
相田 裕 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
かくも醜悪なる美しきかりそめの現在(いま)。
前々から何度となく書いているように「GUNSLINGER GIRL」の話は、反吐が出るほど醜悪な世界だ。
テロが横行するイタリアを舞台に政府系機関が引き取り手のない犯罪被害者や余命いくばくもない幼女に洗脳を施し条件付けを行い、義体化を行う。目的は、不正規捜査や暗殺、時に政府系機関内部での内ゲバの処理などなど・・・。
これで萌えとか言っていられるのか? あまつさえ前々から言われていた第一期義体であるヘンリエッタ、リコ、トリエラ達の終焉は近づく。第二期義体でありここ数巻での主役級の扱いだったペトルーシュカにしてもいつか必ず終わりはくる。そこに愛はあるのか。その愛は本当なのか。
いいや、義体の問題だけではない。ペトルーシュカと共に任務につくアレッサンドロ、そして彼を教育したロッサーナもまた同様だ。任務という名のために感情を捨て去り、すべてに虚無を抱くようになる。そこには義体だけではない人間としての悲劇もある。結局は義体であろうと人間であろうと悲劇であることにはかわらないのだ。
この巻では、横軸に若きアレッサンドロと彼を導くロッサーナとの出会いと別れ、そして、メインの流れにペルーシュカの感情を受け入れかねるアレッサンドロの心情がある。最後に交錯するロッサーナとペトルーシュカ。一人は自ら育て受け入れた男性を捨て、我が子を育てる母となった女性。一人は全力で愛する人を守る術を身に着けたものの子を生むことなくこの世から去ることを定めづけられた女性。本当に醜悪な物語だ。
でも、それでもなお、条件反射に苦しみながら彼への思いを口にするペトルーシュカを前に自分が孤独であることに気が付くアレッサンドロと彼女のラストシーンは、なんとも切なく美しい。だから、この物語を読み続けるのだろうと思う。
そういうわけで、この物語を萌えとかそういう言葉ではなく悲劇の中の美しさ、やがて終わることが定められた物語なのだと思います。それでも本当に好きな話になってきたのですが。
さて、それはそうと作者は本当に画力が上がっているなー。カバー絵なんて、それ誰の絵? とか思いますもの(笑)
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