2007年6月26日火曜日

自由と繁栄の弧 / 麻生 太郎

自由と繁栄の弧
自由と繁栄の弧麻生 太郎

幻冬舎 2007-06
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おすすめ平均 star
star「自由と繁栄の弧」、理念はすばらしいがしかし・・・
star日本発の現代版ハートランド理論.

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オタ系界隈では「ローゼン麻生」または「閣下」の尊称wで呼ばれる麻生太郎現外務大臣のスピーチ及び書き下ろし、依頼などの原稿集がこの本。同時に新書で「とてつもない日本」が出ているけれど、自分としては、Webで読めないスピーチ原稿などを読みたかったのでこちらをチョイス。

しかし、閣下(このエントリではあえてこう書かせていただく)。本をめくって著者近影で「ゴルゴ13」のパネルを嬉しげに抱えている姿はいかがなものかと思うのですよ…いや、笑えますが。

タイトルの「自由と繁栄の孤」とは、昨年末にスピーチで読まれた日本外交の新たな戦略的ビジョン、ドクトリンというべきものです。詳細は外務省のWebページでも記載されています→

自分なりに要約すると、「ユーラシア大陸外周をめぐるように、東南アジア、インド、中東をかすめ、コーカサスをとおり、東欧(つまりNATOの東側範囲外)に向けて自由と民主主義、資本経済と法、そして人権主義を広めていこう」ってなわけで、自分みたいな生齧りに地政学本を読むと、ああ、ハートランドを封じ込めるために、リムランド諸国をまとめようって意思だな。とか思うわけです。そういう観点でいうと、いままで日本の外交施策に一つちゃんとした本筋をつけようという意思が見えます。

他にも日米同盟について触れながらネットウヨの存在にもひとつのべつつも、日米同盟のあり方はつねに考えていかねばならないということが書かれていたりするわけです。つまり、「あるのが当然ではなく、無くなることなども踏まえた上で、その効果を見極め、同盟を維持していくこと」だと書いているわけで、閣下の意見には同意するわけです。

あと、いささか衝撃的な人もいるかもしれませんが、冒頭にて明治維新後100年以上続いたアジアでの日本の権勢やリーダーの座は、緩やかに中国、インドにとってかわられるだろう。ということを明示的に示し、国民の大半も溜息を一つついてそれを認めるだろう。ということも書いていたりするわけです。無論、皮膚感覚で大半の人はそれを自覚しているのだと思うのですけど、外務大臣自らそういうことを書くとはね。という認識もあります。

この本は、その他外交、日米同盟、外務省ODA施策などといった観点から各所でのスピーチのほか、コラムとして自民党総裁選挙におけるアキバでの演説、「メカビ!」でのインタビューの採録(まぁ、細かいところに誤りはあるが、それはそれとして)という形を纏めたものです。最後には靖国神社に対する試案もつけられてもいます。

好感というか、判りやすいのは、各章の前に閣下自らが、どういう意図をもってこれらのスピーチを行ったのか、などちゃんと明記してある点ですね。「自由と繁栄の孤」思想が、次第に形となって作られていく点などもしっかりと記述している。

「重要な情報の大半はすでに公開されている情報の中に埋もれている」。「外交辞令とスピーチは単なるリップサービスではなく、シグナルも含まれている」。と考えれば、ここ数年来の外務省のスタンス、おのずと麻生太郎氏本人の外交スタンスも垣間見えるのではないかと思うのです。

自分としては、普段べらんめぇ口調で口の悪さで売っているマンガオタ。という側面がオタ界隈で強い閣下の、真面目…といっては失礼か、一人の政治家としての外交スタンスを読むのは面白かったですよ。政治的なアピールはあまり好みませんが、閣下のスタンスは自分も(成功するかともかくとして)同意するし、賛成するものです。
海洋国家である以上、大陸国家に対してなんらかのアプローチは必要ですからして、それが軍事力というパワーだけではなく、ソフトなパワー…まぁ、アニメとか、コミックとか、そういうものだけではなく日本人技術者のマインドなどで広げていこう。というのは、建前としても十分なものです。本音は別なところにあるかもしれませんが。

と、いうわけで記録として。

とてつもない日本
とてつもない日本麻生 太郎

おすすめ平均
stars自民にあってそうでもない、、、
starsネットで話題に!
stars次期?
stars読みやすい
stars単純に面白いです

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