”文学少女”と飢え渇く幽霊 (ファミ通文庫) | |
野村 美月 竹岡 美穂 エンターブレイン 2006-08-30 売り上げランキング : 1057 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫) | |
野村 美月 竹岡 美穂 エンターブレイン 2006-12-25 売り上げランキング : 1496 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫 の 2-6-4) | |
野村 美月 竹岡 美穂 エンターブレイン 2007-04-28 売り上げランキング : 2099 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫 の 2-6-5) | |
野村 美月 竹岡 美穂 エンターブレイン 2007-08-30 売り上げランキング : 1640 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
聖条学園文芸部は奇妙な部だった。部の構成は二人から成り立っていて、どうして同好会に格下げにならないのが疑問ではある。また、部員もそれぞれ一癖ある人物たちだった。
部長の天野遠子は自称"文学少女"。事もあろうに文学小説の頁を文字通り食べてしまうことで物語を味わうのだ。
一方、もう一人の部員である男子学生、井上心葉もまた複雑な人物であり、中学時代には「美少女作家」井上ミウとしてデビューしたが、幼馴染の美羽を失ってから引きこもり、ようやく日常生活に復帰する。今では「おやつ」と称して奇妙な題材の三題噺を求める遠子のために物語を書く日々を過ごしていた。
と、いうわけで「文学少女」シリーズ。あれよあれよという間に全巻読みました。
1巻から5巻まで続く物語は概ねビターテイスト溢れる物語なのですが、そのどれもがかすかな希望と変化を促す物語となっていて非常に良い。
この物語は基本的には心葉の心を癒す物語でもある。
彼は心にある大きな痛手と喪失感を開放することができない。それが彼を消極的な生活を送らせていたのだが遠子の願いを聞き入れて物語を書き続けていくうちに彼は失う前の自分を、それ以上のものを得ていく。
彼の周りにはこれほどベタなツンデレっぷりはいないという琴吹ななせもいる。誠実ではあるがゆえに世渡りが上手くない芥川がいる。ある意味壊れたこと受け止める流人もいる。危うい立場で仮面をつけたままの竹田千愛がいる。
そしてなにより、彼ら彼女らを受け止めて導く遠子がいる。
最新作ではとうとう心葉最大の心のトラウマ、美羽の問題に対峙することになる。すべてに疑問符が付けられ、何を信じていいかわからない彼の前に突きつけられた真実。
張り巡らされた伏線は、とうとう最後、天野遠子に対して向けられているようですが、はてさて続きがどうなることやら。
いい作品でした。
#自分は小説に関する基礎教養の基本部分をかなりショートカットしていて、小学生のころ小説はあまり好きではなくジュヴナイル小説の「ああ無常」「マガーク少年探偵団」ものを読んだぐらいでした。
中学で大体文学に目覚める人はいるのでしょうが、自分の場合、ホームズとかディケンズに行きかけて…「妖精作戦」と「トレジャーハンター」のシリーズに転んだのが運のつき。
ハインラインに傾倒して、高校時代はサイバーパンクに没頭していたり。と、まぁあまり性根を据えて文学小説に対峙したことはありません(ま、短編などは読んではいましたが)。ですがこの話を読んでオペラ座の怪人、読んでみるかとも思っています。
0 件のコメント:
コメントを投稿