2009年3月1日日曜日

フィクションの中のリアル

医療・介護破壊ドラマと化した連続テレビ小説「だんだん」に現役看護師が怒り→介護職から看護師になった方からもコメントが「看護師資格を持たない看護実習生が勝手に分娩に参加し、新生児を触るなどすれば、違法行為で、病院は記者会見沙汰」NHKは違法行為を助長するシナリオを全国2000万人以上の視聴者にそのまま垂れ流し from 天漢日乗


現実世界ファンタジーは難しいご時勢だね
from novtan別館

ドラマの中での嘘を本当だと思っては困るよ。というネタのエントリ二つ。
興味深かったのでメモ。

ここから先は自分のフィールドに持ち込むので、上のリンクはあまり関係ないことをあらかじめお断りしておく。

まぁ、現実世界のドラマだとどうしても「そりゃねーよwww」という光景はあって、そこらへんは読み手なり、観客のフィルタリングしだいって側面もあるんだけど、医療ドラマはそれすらも許さないのか。というのが正直な驚きでもある。しかし、これは門外漢だからこそそう思うのかもしれない。

正直書くが、自分は「24」シリーズをパート1で挫折した原因が、ジャック・バウワーが政府系機関のリーダー格でありながら、自分の娘が家出したときに携帯だっけ、あの履歴を自分の属する機関に調べさせたあたりで「こりゃ駄目だ」と思った口で、そんな公私混同をしてしまうような男が主人公では、特殊部隊っていうか、捜査機関系のドラマとしては期待できないというレッテルを貼ってしまった。
(無論、ドラマを積み重ねた上でそういう越権、あるいは私的利用をせざるを得ないというシチュエーションに持ち込むなら納得できる。ただ、展開の速さで売り出している以上自分は最初に乗り損ねた。というのが正直なところで)

*

現実世界を舞台にすると、どうしても知ってる領域とかで初歩的な嘘をつかれると物語に乗り切れない。ということは、逆に物語を現実世界と混同してしまうケースもあるということもあるだろう。

自分がよく知るケースでは司馬遼太郎先生の作品なんて、司馬史観は興味深いけど、それがあくまで小説、物語世界の解釈の断面だ。という点をまったく抜きに、現実世界を解釈してしまう人がいるだろう。すいません、偉そうに書いているけど自分もわりとそうでした。
わかりやすいケースで乃木将軍を無能と位置づける人のケースがあるだろう。
旅順攻略戦であれだけの損害を出して、過去の戦訓から学ばなかったのか?という人は、じゃあWW1であれだけ陰惨な塹壕戦をやらかした欧州を見れば、以外とみんなわが身に降りかからないとわからんもんだよ。っていうか、日本陸軍にしてはなけなしの砲兵力を旅順に差し向けていて努力は払っているわけで、当時の戦略状況をかんがみると、あの(時間もなけりゃ火力も足りない)状況で、乃木将軍としてはやれるだけのことはやった。という評価に納得できるか否か。小説世界と切り離して、あの状況をちょっと調べてみればそれそれなりの評価にたどり着くか、あるいは自分の中での価値観というか判断軸でまた評価できるようになるだろう。

同じことは塩野七生先生の「ローマ人の物語」にも言える。タイトル通り、「物語」であって学術論文ではない。史書でもない。塩野御大の視線を加味して物語として楽しむ分には一級の作品だと思うし、塩野さんアンタよほどカエサル好きなのねwwwとか突っ込みいれつつ楽しむのが正しい読み方だと思うがこれいかに。興味が沸いたらローマの歴史書を紐解くのがいいんじゃないかな。

ま、こうやって考えると物語の中でのフィクションって結構取り扱いが難しい。
物語としてのリアルとフィクションを考えるとその匙加減は本当に面倒ではあるなぁ。

(この話、まだ続くかも)


0 件のコメント:

コメントを投稿