週末、蕎麦屋で板蕎麦(いや、旨かった!)を食べつつ食後に読んだビックコミックに載っていたのがこれ。ちょっと興味がわいたところ、近くの本屋にまとめてあったので購入して一気読み。
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洋菓子職人(パテェシェ)を目指す主人公安藤奈津(あんどーなつ)は大手洋菓子店の採用試験に応募するが落ちてしまう。その場に居合わせたのは後継者不足に悩む老舗和菓子屋の職人二人。彼らに誘われアルバイトという形で和菓子職人の門を叩く奈津。奥深い和菓子の世界を知り、彼女は真剣に和菓子職人となるべく決意する。
一方彼女の両親は事故で他界していたが、和菓子屋に出入りする常連客の老人は、彼女の父親が勤めていた商社の会長であり、間接的とはいえ奈津の両親の事故に対する責任を痛感し、彼女の後見人を自任するが、予想外の縁があることを知ってしまい、より一層奈津の行く末を見守ることに。
老舗和菓子屋を疎ましく思う新興の和菓子屋の争いもある中、安藤奈津の修行はまだまだ続く・・・。
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というわけで、食べ物系コミックですね。
最近、この手のものは「バンビーノ!」とか割合有名なんですけど、実はイタリアンも好きだし、和菓子も好きな自分としてはこの手の話にはめっぽう弱かったりするのです。まぁ、好きといっても、贔屓の和菓子屋で季節の和菓子があると手にとるレベルなので、お里が知れるというものですが。
そこの店の主も、この作品に出てくる奈津の師匠のように、頑固そうな老人なのですが、そういう人は嫌いじゃありません。
物語の話をしましょう。この作品はある意味ベタな職人気質+下町気質を描いた人情物です。前にも取り上げましたけど、こういうのに弱いんだよなー。「王様の仕立て屋」といい「バーテンダー」といい。
淡々と努力の積み重ねが職人を育てること。和菓子の世界の背後にはそれこそ膨大な文化(菓子の名前一つにとっても古くからの由来があり、サンスクリット語などが語源だったりするわけで)があり、それに対する造詣も必要であり、さらに菓子作りの技能や素材に対する知識だけではなく四季折々の季節を愛でる感受性、書道の技能も必要。本当に奥が深いものがあるのだとわかります。
そういうわけで、猛烈に面白い、知識がある、という作品ではないのですが、不思議な味わいがある。そんな作品です。
ああ、そうそう、ネットで検索していたら原作者の妙な発言もありましたけど、よくそんな中で続いているな、というのもありますね。それも関心してしまいますよ(苦笑)
機会があったら、連載中でも読んでみてはいかがでしょうかと。

