2007年4月12日木曜日

湾岸MIDNIGHT 37 / 楠 みちはる

湾岸MIDNIGHT 37 (37)
湾岸MIDNIGHT 37 (37)楠 みちはる

講談社 2007-04-06
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「ユウジはおとなしい性格だ/いつも受け身でまわりの気持ちを大事にしている」
「だがそれはある意味ズルイ奴だ」
「受身とは自分から余計なコトはしないというコトだ」
「相手からオーダーが入り納得すれば自分が動く/基本的にタダ働きはイヤなんだ」
(中略)
「ムダに働くことは嫌いだし/失敗も嫌いだ」
「まわりと自分とのバランス/いつも正しく「つりあう」コトを大事にしている」
「だがバランスとは正しくなければつりあわないのか」
「控え目な生き方はいい・・・/だが受身はだめだ」
(P129~P133)

ヤベっ、この歳になってこんなにツボにはまる言葉を書かれるとは思わなかった。さすが楠みちはるッと連載中マジで感動している自分はバカですか、そうですか。もう、この巻は自分として神が舞い降りる的な、あと10年、いや5年、いやいや今からでも遅くないような名台詞(ポエム)の数々。

「動き(入力)に対し正しく反応する/乗り手も車も受け身がラクだろう」
「…だが、チューンドカーはそれじゃあ話にならない」
「自分からまず前に一歩踏み出さなければ何も始まらない」
「まずお前の意思/それがチューンドカーの基本形だ」
(P141~142)
ここ、チューンドカーを仕事と置き換えてもいい。人生と変えてもいい。もしくは他者との関係性としてもいい。

「「やらなければできない」が大事なんだ」
「でも人は知恵がつくと「できるからヤル」となるらしい」
「それは結局、「できないコトはやらない」だ」
(P163)

もう、引用箇所が多すぎる。このユウジとS2000編は、この巻と次の巻でクライマックスになるが、自分としてはこの巻の中盤から後半にかけて、山本がレイナに語るシーンはもうココロに響いた。この歳でこんなにズキンとココロに響くとは思いもしなかったなぁ。

湾岸ミッドナイトは初期のころからその作品の内容が大きく変質していった作品ではあると思う。
「悪魔のZ」をとりまくアキオとZとのやり取り、消失と復活までがその第一部だとすれば、第二部はアキオとZを取り巻く、チューナーたちの群像劇っぽい流れになってきている。

その群像劇もざっと分類すると、
・なんらかの形で過去に遣り残したモノがあると自覚しながら現在を生きていく中年~壮年のチューナー/走り屋達
・先行きの不透明さ、終わりを自覚してしまう若きチューナー/走り屋達

に分けられて、それが交互にやっていたのだけれど、中盤、相沢 圭一郎編を読むと判るように、「想い/技術の継承」という観点も増えてきたように思える。相沢 圭一郎編もそうだし、RGO大田の娘、リカコの話もそうだ。今回は親子関係の継承というのもついてまわっている。

ブラックバードの車検によるタイムリミットが定められて(よもや車を乗り換えるとかはしないとは思うが)、その作品も一応はタイムリミットが近いはずだが(アキオがいったい何時高校を卒業できるのか、とか、そういうサザエさん的タイム・リープに陥ってはいるので、果てなく続く可能性もあるのだけれど)、この作品は単なる公道カーレースっていう分類ではなくて、なんか人生訓のようなそれこそポエム空間にやられてしまっている自分としてはオススメしないと始まらないのですよ、もうっ!
よもや未読のかたはいないとは思うけれど、マンガ喫茶でもいいから、せめてこの巻の前後あたりを読んでほしいなー。心に響くいい台詞満載でした、はい。


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