2007年4月29日日曜日

秒速5センチメートル

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さて、ようやく札幌でも公開されたので見てみる。

う、うーむ…。なんて書いたらいいんだろうか。絵は流麗なのだが、さてその物語は誰に向けられているのだろうか。
極端な話、音楽のPVとしては最高なのだが、物語としては求心力にかける。そこには個人の葛藤もわずかしか示されず、結論の結果もわずかした示されていない。
流麗ではあるが、ただ、それだけ。ココロにフックが決まるのは、同じ気持ちを味わった人だけ、ではないのか。

第一作は、SFで王道ともいえる「時間という名の遠距離恋愛」だとすれば、二作目は「眠り姫との(心理的)遠距離恋愛」であり、三作目は「初恋的・空間的遠距離恋愛」であり、どんどんと地に足が着く分、物語の重厚さが求められるんじゃないだうろか。で、重厚さを求めれば必然とベタな展開になってくる。

種子島のロケット打ち上げシーンも、5センチメートルの主題のために組み込んだのか、とも思うし、結局のところ主人公は喪男ではないか、それでは!?wという突っ込みもあるかもしれない。全般的に物語の力が絵に負けている。今回も脚本を書いた新海氏がそのことを是としていまいか?という疑問がぬぐえない。風景や機械的な代物は抜群なのだが、人の描写とのギャップが目立つのもちょっと…とは思う。

正直なところ、キレイなアニメを見たいだけなら、今回、山崎まさよしの曲をあてたようにPVの尺で十分なのだ。新海氏はその点をどう考えているのだろうか。

新海氏とスタッフの能力は確かにあるのだから、もし、ブレイクスルーをしたいのであれば二時間の(他人の作った)脚本や作品をねじ伏せるぐらいのことをしないと、「ああ、絵がきれいな作品をつくる人ですね」で終わってしまいやしないかと思うのだ…。

そんなことを感じながらちょっと複雑な心情でシアターキノを後にしました、はい。

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