大統領就任演説を読んで from 内田樹の研究室
読んだ最初の感想はナイーヴだなぁという意見。
アメリカ大統領就任演説の大半は、人々に理念と希望と明日を語る。
たとえばここで、ケネディからW.ブッシュまでの大統領就任演説についての和文がある。気が向いたら読んで見ると吉かも。
正直、オバマ大統領の演説で感動するのなら、The WestWing(ザ・ホワイトハウス)でのジェド・バートレット大統領の演説だってイケると思うけどね・・・。
オバマ大統領だけが希望を語るわけではない。
奇しくも大統領が語ったかのように様々な宗教、人種などによって構成される人造国家であり、そのアイデンティティに「未来」がある。未来があるから、今を過ごせるわけじゃないかな。
アメリカ人のナショナル・アイデンティティを基礎づけ、賦活させるためには「他国との比較」は必要ないのである。
「われわれ」が何ものであるかを「他者の他者」というかたちで迂回的に導き出す必要がないのである。
「われわれはかつて・・・であった」だから「これからも・・・であらねばならぬ」が自動的に導かれ、その(よくよく考えるとぜんぜん論理的でない)ロジックに国民の過半が感動的に頷いてしまう、というようなかたちでアメリカは国民的統合を果たしている。
私たちにはこれができない。
アメリカの国の成り立ちを考えれば、おのずと見えてくる。
メイフラワー号に乗ってネイティブ・アメリカンの住む大地へと訪れた人々も、アフリカの大地から連れてこられた人も、日本から、中国大陸から渡ってきた人も、そしてヒスパニック系の人々も、ある種の理念、つまりアメリカの理念(それは民主主義でもあり、豊かさでの渇望であったりするけれども)によって纏める必要があるからね。
それが人々をつなぎ止める絆として、理念(アメリカンドリームってやつ?)だと思っている。だからこそ大統領は最初に理念と夢と希望を語る。
黒人系の血筋を持つ大統領が生まれたように、あと数代時代を重ねれば、ヒスパニックでもアジア系でも政府の要職へ、大統領になるかもしれない。
日本はどうだろうか。
日本人政治家が過去も未来も語らない? ならば首相官邸のホームページはどうだろう。最近叩かれっぱなしだが、麻生総理の国連でのスピーチは、近年まれに見る名スピーチだったし、所信表明演説でもそうだった。ま、今のgdgdは色々な理由があるんだろうけれどね。
まあ、それは置いといて、日本が日本足りえる要素。日本という島国に暮らす人々をつなぎとめるものとはなんだろう。人種だけなんだろうか? 宗教ではないだろうし。自分の中では答えはあるような気がするけど、口にするのはどうかな? というレベルなのでちょっとこれは保留。すくなくとも、理念や夢ではない、と思う。
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