チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) (宝島社文庫) 海堂 尊 宝島社 2007-11-10 by G-Tools |
ナイチンゲールの沈黙(上) [宝島社文庫] (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ) 海堂尊 宝島社 2008-09-03 by G-Tools |
ジェネラル・ルージュの凱旋(上) [宝島社文庫] (宝島社文庫) 海堂尊 宝島社 2009-01-08 by G-Tools |
正月の休みに友人達の酒を酌み交わしつつ、チーム・バチスタが意外と面白かったという話を聞いたので手にとってみた。うん、こりゃ面白いわ。と文庫落ちしている三作を一気に読むことに。
ま、ドラマや映画にもなってますのでくどくどとあらすじとかは書きませんが、地方大学病院を舞台に、不定愁訴外来なんていう別天地を作りあげるぐらいには人間関係の荒波をコントロールするすべを持つ田口と、彼に襲い掛かる災難。そしてその災難すら快刀乱麻にねじ伏せ、さらなる混乱を巻き起こす厚生省役人の"ロジカル・モンスター"こと、白鳥。
基本的には冒頭、田口の視線で語られる医療現場の様々な問題。たとえば、1作目は日本で小児医療では臓器移植が認められないなどの理由からのバチスタ手術。2作目は小児医療。3作目は救急医療といった医療現場のホットスポットを扱いながら、それにまつわる事件を白鳥が颯爽?と現れて、周囲を混乱の渦に落とし込みながら、事態の本質をバターに熱したナイフを差し込むがように切り刻んでいく...というのが流れでして。
なんというか、本当に読んでて「これ、どこのライトノベルさ?」みたいな軽重な語り口とキャラ立て(キャラ・オリエンテッド)な小説なんだろうと思いつつ楽しんでましたね。
だって、いまどきライトノベルでもやらないような"二つ名"の応酬ですよ。こりゃなんの中二病的(失礼)の小説かと。
探偵モノにありがちな、特殊技術は持っているけれど平凡なワトスン役に"グッチー"、"行灯"こと、田口をあて、ホームズばりの論理と馬力で人間関係の闇すら切り刻む白鳥が"ロジカルモンスター"、"火喰い鳥(サラマンダー)"の白鳥。
チーム・バチスタのスタッフは"グロリアス・セブン(栄光の7人)"と呼ばれ、救急救命病棟の主、速見部長は"ジェネラル・ルージュ(血まみれ将軍)"。彼の下にある看護師達は"将軍の近衛兵"。他にも色々と出てくる出てくる二つ名がw
読んでいると、なんともはや本当にリーダビリティが高いっていう話もうなづけるような勢いでねぇ。
あと、特徴的なのは「チーム・バチスタの栄光」では強かった医療ミステリから、ミステリが外れて、医療現場を舞台にした悲喜こもごものエンターテイメント作品で...、ミステリ作品じゃなくてもいいなんて、自分が好きな作家の一人でもある森雅裕の一連の紆余曲折を知る自分として、ミステリ作家がミステリを書かなくても許容される時代がきたのかとため息ですよ。
(森雅裕氏が、江戸川乱歩賞を受賞したばっかりに、ミステリを書かねばならないような流れになって、色々とありまして...。バイクとか刀剣ものの話なんて、本当に海堂氏のようなエンターテイメント系なんだけどなぁ)
ともかく、売れているには理由があるぐらい読みやすく面白かったですね。この人の作品を追いかけてみようかなと思います。
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