2006年5月20日土曜日

クルマはかくして作られる / 福野 礼一郎

クルマはかくして作られる―いかにして自動車の部品は設計され生産されているのか
クルマはかくして作られる―いかにして自動車の部品は設計され生産されているのか福野 礼一郎

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買ってから数日経つけど、いまだにあちこち見ては「はぁー」「へぇー」「ふーむ」とかいう言葉をつぶやいたり、溜息をついたりしています。
自動車評論家としては多分異端ではないかと思う福野礼一郎氏が書いた、車を構成する各部品の、さらに工程過程を解き明かしていこう・・・というのがこの作品。ちなみに続編もあって、そちらはメカニカルな部分。この本は内装、外装部分が中心となっています。つまり、ホディ、塗料、内装、ウッドパネルや皮や布にいたるまで・・・いかに原料から作られて製品となっていくかを解き明かしていきます。

いやね、もう、本当に溜息が出るのですよ。その細かさに。細かさにも二つあって、一つは本当にその部品を作っている人々の細かさであり、一つはそれを取材した福野氏はじめスタッフの細かさにです。本文もタメになるなら写真や図版も美しいし、つけられたキャプションだってタメになる。

福野氏は異端だと書きましたが、何が異端かというとメーカーを慮った提灯記事は書かない、良いと悪いと好きと嫌いを区別できる、冶金や工学などを理解しているし理解しようとできること(たとえばスペックだけを読んで理解した気になるのではなく、そのスペックはいかに実現できているのかをちゃんと理解できるか、という意味です)、などの他にもっと本質的なところで違うんじゃないかと思うわけです。

クルマだけに飽き足らない様々な引き出しもさることながら(詳しくは後ほど)、その立場はどこまで行っても好事家であり目利きの一面が色濃く出ていることだと思いますね。そういう視点でものを語るのは中々難しい。
クルマ好きはよくそのボディのデザインやエンジンの馬力だけに目がいくんじゃないかと思います。しかし、それだけではなくて、もっと重要なところがあるんだよ、と氏はアレコレと語ってみせます。

神は細部にやどり、その細部のすごさを一般人に語れるのは好事家のさらに一部分である目利きができる人物なのだと思いますね。そういう意味では福野氏はまさしく目利きな人物だと思います。


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クルマからスホーイ15(戦闘機)、ブランド物の服、モデルガン、クリーニング、ネイルケアと縦横無尽に話が飛び交うエッセイ集。福野氏の引き出しの多さとその軽妙な文章が読ませます。未読の方は是非。



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