野洲スタイル | |
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昨年の高校サッカー選手権優勝高、野洲高校サッカー部監督の書いた本です。内容は簡単に言うと、野洲が優勝するまでの軌跡+日本サッカーに関する提言、というわけで、まぁ、よほどのサッカー好きでなければ読むことはないとは思いますが(w
野洲高校のサッカーは本当に見ていると楽しいです。そのすべてが集約されているのは、昨年の決勝戦。延長で鹿児島実業を破ったゴールシーンですね。
DFラインから丁寧にボールをつないで、左サイドから右サイドまで鮮やかなサイドチェンジのパス。
受け取ったサイドの選手はドリブルで中央へ切れ込み、相手DF陣をひきつけるや否やトリッキーなヒールパス。
そのヒールパスを受け取った中盤の選手は、サイドの選手が切れ込んだことにより生じたスペースへオーバーラップしていく選手へ丁寧なパス。受け取った選手はGKとDF陣の間を通すラストパス。そのラストパスにはFWの選手が数人詰めて、そしてゴール。言葉にすれば長いですが、わずか1分程度に6本のパスをドリブルを除けばほとんど1タッチ、2タッチの崩し。高校サッカーではここまで鮮やかな崩しからの得点は見られません。
その野洲高校のサッカーがいかに作られたか、サッカー経験のない監督(いや、愛読書がスラムダンクっていうのが、そのなんつーか時代を感じさせますがw)が、世界を見据えて選手を育て、そして高校サッカーを変えていこうと決意したのかを監督が書いているわけですがね。いろいろ考えこませるくだりもありますよ。たとえば部員数が多くなってきたため、監督の目が行き届かなくなって、問題を起こす部員も増えてきたことなど、あるいは高校サッカーがおかれている現状など。
そういうのを乗り越えて、ひとつの結果を出したものの、それはまだひとつでしかない。恒常的な結果が出て初めて野洲のスタイル、そして目指すものが周囲に認められるのでしょうね。
それはそうと日本サッカーに関する問題ですが、日本代表の特徴はどれか。といわれれば、
日本サッカー史 資料編―日本代表の90年 | |
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にも書かれているように(あ、今月末に新訂版が出るんだ)、戦前から変わらないかったりするのです。それは、一にも二にも中盤の組織力であり運動力なんだと思います。ただ、それがはっきりと出てないだけで(それが問題か)。
というわけで文中、監督が言うようにメキシコをモデルというかターゲットに目指すのは、自分も賛成なんですよ。その中でその時の監督、監督のスタイルが加味されればいい。日本サッカー界にとってほとんど失われた4年間といってもいい空白を取り戻さないといけないんじゃないかと思います。そこには、さまざまなアプローチがあっていい。そしてその中に野洲のような、選手個々のスキルを伸ばしてテクニカルなサッカーを目指してもいいのだと思いますね。
そんなわけで読書メモとして。
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