2008年7月7日月曜日

これが潜水艦だ / 中村 秀樹

これが潜水艦だ―海上自衛隊の最強兵器の本質と現実 (光人社ノンフィクション文庫 571)
これが潜水艦だ―海上自衛隊の最強兵器の本質と現実 (光人社ノンフィクション文庫 571)中村 秀樹

光人社 2008-05
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おすすめ平均 star
star実に興味深いです。
star元潜水艦艦長でしか語れない傑作!!

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平成十七年に退官した元海自潜水艦艦長だった筆者が語る潜水艦よもやま話。これで三冊目かな。
今回は前作までと違って、現代の潜水艦の装備、訓練、行動の詳細(一応濁して)、内部の配置と士官の役割、そして潜水艦乗りの日常生活などなどを描いています。

現代の海軍における潜水艦の意味と役割、駄目駄目っぷり全開の海自をこれでもかと指摘しながら、それでも日本の潜水艦乗りの腕がいいと言うこのツンデレっぷり? いや違うか。

基本的に潜水艦畑だけあって、水上艦艇やP-3Cの飛行機乗りを蛇蝎のごとく嫌っていますw
そこらへん鼻につく人がいればちょっと・・・この人、海自の中でも結構独特の立場の人だったんじゃないかと思うんでけど、ここまで書いて大丈夫か、というぐらい海自の悪癖を指摘してますね・・・。

日本の潜水艦は他の国に比べると独特です。
太平洋、日本海を航行するため艦は大きく、現在配備予定の「そうりゅう」で全長84mで通常動力型のなかでも最大級です。同じ通常動力型のロシアのキロ級で一回り小さい74m。ドイツの212Aで57mですから、その大きさ中々です。原子力潜水艦ではロス級が104m程度だったかな?

おまけに色々トホホな事情が重なって、日本の潜水艦総数は16隻+1隻(訓練艦)体制で新型艦を次々と配備していくという余所の国が見たら贅沢極まりないというかもったいないというか・・・。色々欠点が是正されやすいのだろうけれど、それって、ねぇ? みたいなところもあります。
文中でも色々と問題点が最近の艦では修正されている、という記述がありますから、おそらく最新の「そうりゅう」でもアレコレと手が入っているんでしょう・・・。

個人的にこの本を読んで、へーと思ったのは以下の点。


  • 対潜水艦哨戒にあたって、潜望鏡を探す方法を示唆したというくだり。ははぁ、と思ったらP-8Aも同じ方法をとるとのことでなるほど・・・と。確かにソナーやMADよりは、確実に上げるであろう潜望鏡やシュノーケルを探したほうがいい場合もありますね。

  • いままではっきりとしらなかった、左舷(ポートサイド)、右舷(スターボード)の語源がわかったこと。そっかー、手漕ぎの船で右側最後尾の櫂がスティアボードと呼ばれたのがスターボードに変わって、左側が常に接舷する側になったのでポートサイドって意味なのか。航空機もそれを取り入れているのね。



あまり潜水艦の内情とか、日常生活はTVでも映し出されません。映画や漫画でも描かれるのはほんの一面であり誤解もあるので、筆者は訂正をかねる意味でも書いてみたと文中にありますが、その通り、中々興味深い潜水艦乗り=サブマリナーの生活が描かれていると思います。

というわけで読了記録として。


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