「雲のむこう、約束の場所」を見ました。
「ほしのこえ」の新海誠氏が総指揮をとって作った新作アニメーション映画ですが、ほぼ一人で作りあげた前作とは違って、今回はコンベンショナルな制作体制で作った作品となっており、どうなるか不安半分でみたんですけど、これは映画を見たファーストインプレということで(そのまま忘年会に突入したのでアルコールで頭が回っている一面きがあるので)、そのままの感想を。
新海誠氏の可能性と限界を垣間見えた作品だと思いますね。
予告編のシーンにあって本編でなかったシーンがあったようなので、カットしたシーンがあれば、もう一度見たいな、とは思いますが、90分弱という作品の上映時間の中で、いささか冗長に過ぎる展開があり、脚本的な粗も多々ある。ましてや90分という尺の中で、もう少しヒロキ、タクヤ、サユリの葛藤に力点を置いて描けば(冗長に過ぎるそれまでの光景演出を除いて、ですが)、もっと面白かったかもしれない。いや、3年後の三人の境遇にもう少し・・・というのもある。
それでも、新海誠氏のその巧みな演出、冬の凍てつく光景、春の息吹、夏のもえる夏草と太陽、そして泉の匂いは氏でしか成しえない領域だと思うし、それは日本のアニメーションの中では、(自分達にとっての)リアルな日本の光景を写していると思う。宮崎監督作品が、主にヨーロッパの光景を描くのと違い、新海作品はその大半がリアルな自分達の光景を映し出している。特に自分にとっては、ヒロキ達の学校と同じぐらいボロな学校出なので、特にその印象が強い。そういった強みは、氏の作品だけが持つ鮮烈なほどの輝きだと思う。
それでもなお苦言を呈せば、作品の中身がまんまガイナックスのたどった道筋、つくり、トップを狙えから(ナディアをすっ飛ばしてあれだけれど)エヴァにいったような形もあり、その点はどうかとは思う。ただ、エヴァとは違って、あのエンディングの後、三人の境遇に思いをはせれば、どうなるか。という点も気がかりではあるのだけれど・・・。
難癖をつけているようだけれど、きっとDVDが出たら買うだろうなぁと思いますね。それだけのハイクオリティな作品でした。
作品世界中、MBT(主力戦車)を鉄道輸送しているけれど、広軌なのかなぁとか、F-22がSu-27系にまんまとやられるのかよ、とか、そんな細かい突っ込みはナシにして(極々些細な話なので)、アニメ好きなら見るべきだし、今の日本アニメーションの極北には、ハウルではなく、この作品だってあるんだ、そう思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿