2006年8月28日月曜日

煌夜祭 / 多崎 礼

煌夜祭煌夜祭
多崎 礼

中央公論新社 2006-07
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<<文章見直し (8/28)>>

うは、めっちゃくちゃ面白い! そして綺麗に纏まっている! それが読後の率直な感想です。

奇妙な作りの諸島にある国々。そこには人の他に魔物と呼ばれる見た目は人と変わらぬが、日の光に弱く冬至の時だけ人を殺める存在がいた。その世界の中で人々に物語を語り継いでいく語り部という存在。
彼らが語るその物語は、人々の行いと奇妙な縁、そして悲嘆と希望などが流麗に描かれています。

見事な人の縁(えにし)の物語。そういえるでしょう。

夕暮れを背景に集い、闇の中、炎を囲みながら語られる、語り部たちの物語・・・短編連作をつづけて世界観などを提示していくスタイルに結構弱い口なんですけど、これだけ良質なのはあまりありませんよ。
別々の物語と思われた物語は、最後、鮮やかな手並で円環を描きます。あたかも彼らが住む島々のように。

というわけで、作者の描写もさることながら、読み手に、ひょっとして?と思わせておいて、一つの形を提示して・・・でも・・・というのが非常に上手い。
後半からは怒涛の展開でしたからね。ついつい最後まで一気呵成に読んでしまいました。やはり小説というのはこうでないと。

是非本屋で見かけたら手にとってみてください。ほんとうにオススメです。この作者が書く物語が読みたいと思わせるいい作品でした。


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