2006年6月27日火曜日

面白南極料理人/西村 淳

面白南極料理人面白南極料理人
西村 淳

新潮社 2004-09
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なんらかの形でストレスがかかる場所では結構食事というのは重要なシロモノです。ましてやそれがマイナス80℃にもならんとする南極観測基地で、わずか野郎九人のチームが一年間暮らすとなれば、それはもう大変なこと。

筆者は、三十八次南極観測隊に参加。配属先は南極ドーム基地。平均気温-50℃。九人の仲間と共に一年間、観測業務などをこなしていくことになる中で、食事などを担当する設営隊員。ストレスが極度にかかると精神的な負荷がかかり、人間関係に影響してくる。その中で度々機会を見つけてはレクリエーション(ま、酒と旨い食事ですな)で、ガス抜きしていく抱腹絶倒の日々(無論、真面目な設営や観測業務も含めて)を飄々とした口調で語っていきます(無論、アッサリと書いてますが、ちょっとした人間関係のギスギスとした面もあったことも正直に吐露していますね)。

さて場所は南極という極地。水は80℃程度で沸騰するわ、生鮮野菜の持ち込みも中々難しい。卵など意外な食材が持ち込めない。ましてや人間のやること、食材の搬入モレが発生するなど、イレギュラーも多い。そんな中ではやはり豪勢な食材+豪快な料理法も紹介されています。高級肉を振舞ったら「肉の味がしない」などとブーたれられて「味をしらねー連中だ」と悪態をつく筆者もいいキャラしてますしね。いや、面白かった、口の中に唾液が溜まるいい話でしたよ。キャンプに関する話なども面白かったし!

食事について結構豪勢な食事をしているようですけれど、閉鎖空間で野郎ばかり、ともなれば必然と旨い料理になる必要がありますからね。軍隊の食事もそういう側面がありますし。過酷なストレス下であることを考えれば食事には気をつかう必要があります。まぁ、中央官庁のお役人さまは彼らの持ち込む機材が豪華すぎると茶々をいれ、「南極の思想」とか頓珍漢な言葉を振りかざします(過去の人々は苦労したから今の人々も苦労しろと言うのだろうか)。いやぁ、ぶっちゃけ筆者じゃなくても殺意が沸きますわなw

というわけで、過酷な状況と豪放なオヤジどもの一年間の南極生活プラス美味しい料理のレシピつき、面白い本でしたよー。

追記。料理本といえば自分の本棚にある二冊の本も紹介しておきます。

戦闘糧食の三ツ星をさがせ!―ミリタリー・グルメ戦闘糧食の三ツ星をさがせ!―ミリタリー・グルメ
大久保 義信

光人社 2002-11
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米軍のMREはマズさ全開だったが、この本に出てくるイタリア軍のレーション(軍隊糧食)は喰ってみたい。
他にも自衛隊ただひとつのバトルプルーフ(実戦証明)を受けて日々改良を受ける自衛隊レーションも食べたいねー(w

海軍食グルメ物語―帝国海軍料理アラカルト海軍食グルメ物語―帝国海軍料理アラカルト
高森 直史

光人社 2003-02
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海上自衛隊出身の筆者が帝国海軍時代の料理とレシピに纏わる物語を纏めています。肉じゃがやカレーと海軍が深くかかわっているのは有名なところだし、戦争当時、給糧艦(食料輸送船)<間宮>艦内で作られた羊羹なんて<間宮羊羹>と呼ばれ重宝がられていたとか。



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