2006年6月25日日曜日

ケースで学ぶ TOC思考プロセス / エリ・シュラーゲンハイム

ケースで学ぶ TOC思考プロセスケースで学ぶ TOC思考プロセス
エリ・シュラーゲンハイム 中井 洋子 内山 春幸

ダイヤモンド社 2004-08-20
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リゾートホテルのオーナーは苦しんでいた。最初の計画に基づいて建築されたホテルだったが、ホテルのエレベーターは常に込み合い、多額の予算を割り当てたレストランは込み合い、客はフロントの手際が悪いと苦情を述べていた。おかしい。コストを勘案して削減できるものは削減したのに、どうして客からこんな苦情が出るのか・・・。

というわけで、TOC(制約理論)を使った思考プロセス、それも様々なケースを提示した上での思考プロセスのステップを書いた非常に判りやすい本です。

まぁ、なんでこんな本を読んでいるかというと、ちょっと私事ですが、昨年度末にちょっとプロジェクトの破綻(デス・マーチよりも悪い泥沼化)に遭遇してしまい、アレコレと手をうってはいたんですが以前、「ザ・ゴール」がらみで読んだ思考プロセスを思い出して、これってこういうケースで適応すべきなんだろうな、と思ったためなのですよ。

TOCについては、「TOC 制約理論のひろば」で詳しく述べられていますが、わかりやすくいうと、「ボトルネックを最大限拡大、利用しよう」ということです。
あー、ちょっと判りやすくないですね(w つまり、何かことを成すときに最も足を引っ張る場所を見つけ出して、そこを最大限生かそう。というわけです。その中から、思考プロセス、クリティカル・チェーンという考え方が広がっていったのですが、この考え方、TOCが製造業から生まれた理論だったため、あまり思考プロセスが使える場所が限られているんじゃないの、って疑問が上の本を読んで結構解決できましたね。イロイロと使い道がありそうです。

業績が芳しくないと経営者はかなりの確率でコストカットを叫びだしますが、TOC思考プロセスでは通常のコスト計算ではダメだ。といいます(ここらへん、経営を知っている人ならもっとわかりやすいと思うのですが、自分ではまだまだ判らない点がありますが)。コストカットによって、組織本来がもつキャパシティ(余剰生産能力)などが削られ、本来求めるべきであるスループット(TOCでいうところの成果→利益)を拡大する力が失われる――というわけです。

さて、冒頭のケースですが、具体的な解決方法のケーススタディは本を読んでいただくとして、自分が「ここが問題点じゃないの」と思う点と筆者の答えが一緒だったり、まったく違う指摘があって目から鱗だったり、イロイロとタメになりました。ちょっとTOCは以前から暇があると読んではいたのですが、読むたびに発見がありますね。

というわけで、らしくないビジネス書のReviewでした(w それから、TOCを小説にして紹介した「ザ・ゴール」についても最後に紹介しておきますね。組織とか何かの生産に携わる人ならば読んでいて損はない作品だと思いますよ。

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か
ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か
エリヤフ ゴールドラット 三本木 亮

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